国が違えば犯罪の質も異なる、違いを認識することは「相手を知る一歩」の話

韓国のホテルの客室に隠しカメラが設置されていたことが報じられています。

10都市のホテル30軒、計42部屋に設置されたカメラで、少なくとも過去4ヶ月の間に1600人の盗撮映像がネット中継で有料配信されていたそうです。


記事内では「犯行に使われた小規模ホテルはモーテルやインなどと呼ばれる」としていますが、韓国の 「モーテル」は、日本で言うところの「ラブホテル」代わりに使われたりもします。
つまり盗撮の目的は…そういうことです。


韓国では盗撮が社会問題として取り上げられており、昨年にはイギリスBBCが「South Korea's spy cam porn epidenmic(大韓民国の隠しカメラ流行)」と題して韓国国内における隠しカメラの実態を報じています。

それによると、年間6,000件が通報されており、被害者の80%は女性となっています。(ソースは不明)


日本との比較


日本で同様のデータが無いかと犯罪白書を見てみたのですが、残念ながら日本では盗撮を個別データとして集計していません。


唯一見つけられたのは平成26年のデータで迷惑防止条例違反による盗撮が3,265件というデータでした。

迷惑防止条例違反で盗撮とされるのは

  1. 下着等の撮影
  2. 通常衣服を着用しない場での盗撮

この2点です。

そのため、韓国の犯罪認知件数と単純比較をするわけにはいかないのですが、参考数値として記載しておきます。


それにしても…6,000件とは人口10万人あたりにおおよそ12件です。(上記の日本の参考値だと10万人あたり2.5件…)

1日あたり16.4件、1時間あたり0.6件…韓国に在住であれば極力外出先でトイレを利用しない、などで自衛も可能ですが、旅行者だとそうもいきません。

特にこうした「盗撮が多い」というようなネガティブな情報はあまり観光客相手に知らされることはありませんしね。


モルカ(몰카)という言葉


インターネットで「韓国語 モルカ」と検索すると、「ドッキリ、サプライズ」というような意味が引っかかりますが、これは元々「隠しカメラ(몰래카메라)」の略語で、「盗撮用隠しカメラ」としても用いられる言葉です。


言語というのは生き物です。
既に死語となったラテン語は変化しませんが、使われている言語は変化し続けます。

略語や用語が生まれる背景には必要性があります。
社会的関心の強い事象は、それを言い表す専用の言葉を生みやすいってことです。


「モルカ(몰카)」という略語もそうした経緯で一般認知されたと思われます。
つまりそれだけ「盗撮」が一般的ということです。


盗撮・録音がなぜ一般的に…?


大韓航空を始めとした財閥企業の幹部の暴言や暴行の音声/映像記録が大きく報道されたことを覚えている方もいるかもしれません。

ああいった記録が出てくることにも繋がりますが、2015年の報道記事に「音声などの記録ファイルがないと相手を信じられない」といった内容があります。
記録された音声が法廷闘争に発展した際の証拠として使われることもあるとか。


こうした流れが映像に拡大されたと思われます。
需要により、デバイスが進化してより小型化すれば目立たなくなります。
本来自衛のための機器が悪事にも流用可能となったわけです。


観光目的で行くなら、だからこそ社会問題を知っておくべき


日本でも携帯のカメラ機能が一般的になった頃に盗撮が社会問題となり、機器メーカーがシャッター音を消せないようにしました。

スマホに移行してからも、その慣習を引き継いでいます。
欧米の人たちが事情を知ると、少なからず驚くようです。


日本と韓国は地理的には近いですが、やはり別の国ですので、犯罪傾向・社会問題には若干のズレがあります。

人種が似てる・地理が近いということに惑わされず、いや、似ているからこそ明確な「違い」を認識すべきです。

所違えば人が違う、人が違えば常識が違います。


「違い」を認識することは差別ではありません。
「違い」を認識することは「自分と他者の違いを認めること」で、むしろ「相手を認めること」になります。


観光目的で訪れるなら、現地の社会問題や犯罪の傾向を一度確認してみてください。

日本との違いを理解しておくことで、要らぬトラブルに巻き込まれずに済みます。
どうせなら良い思い出だけにしましょう。