5人に1人が食生活が原因で寿命を縮めている話

「世界の疾病負担研究(Global Burden of Disease:GBD)」というのがあるんだそうです。
死亡原因や病気の原因を世界規模で研究する共同研究プログラムです。
食事リスクの健康への影響を長年に渡って研究しています。

そこが発表したレポートによると、5人に1人が食生活によって寿命を縮めているそうです。
この数はタバコによるリスクを超えています。
更に日本では、ここ30〜40年くらいで変化も起きているようです。


対象となった195カ国の主要な食物と栄養素の消費を評価し、栄養素が目標摂取量に 満たない場合の死亡率と病気への罹患率に与える影響を調べることが目的、とのことです。
ここで言う病気とは、非感染症疾患(NCD)のことで、所謂 生活習慣病 です。


対象の死亡事例1,100万件のうち、1,000万件が心臓または血管の疾患だったそうです。
原因は 「塩分の取りすぎ」 です。

残りの100万件は「がん」と「2型糖尿病」とのことです。


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結果はこんな感じです。
紫色が死亡事例が少なく、10万人中105人未満のところです。オレンジに近づくほど死亡事例が増えます。
見えづらいですが、日本は紫です。


今回、調査対象となった195カ国の中で理想的な食事バランスの国はありませんでした。

ですが地中海沿岸部の国は食生活が原因の死亡が少なく、逆に東南アジア、南アジア、中央アジアでは食生活が原因の死亡例が高くなっています。

イスラエルは、食生活が原因の死亡例は10万人あたり89人と極めて少ないです。
ウズベキスタンは、10万人あたり892人と、約10倍です。


人口の多い上位20カ国の中ではエジプトが552人/10万人あたり、と食生活が原因の死亡例が最も多くなっています。
日本は97人/10万人あたり、と逆に最も少なくなっています。

日本と対象的なのが中国で、もともと塩分過剰摂取気味だったところに加工食品の需要が高まり299人/10万人あたり、という高い数値になっています。

結果の考察によると、日本の最大の問題は塩分の摂取量が多いことですが、30〜40年前に今の中国と同じくらいだった数値が劇的に減少しているそうです。


この研究チームは、心臓や血管系の疾患を食事で予防するには、野菜や果物の摂取が効果的としていますが、日本の食生活にはこれらが多く含まれることが要因ではないかとしています。


でも、日本でも30〜40年前より加工食品は増えています。
食事だけに要因を求めるのは無理があるような気がしてしまします。


食事が影響していることは確かでしょうが、全体的に所得水準の高い国が比較的死亡件数が少なくなっています。
医療技術という側面も大きいにではないでしょうか?
心臓や血管の疾患と言うと心筋梗塞脳梗塞など、血栓が詰まる病気が一般的です。
最近は発作後3時間以内であれば血栓を溶かす薬が効果的とも聞きます。

更には予防医療という観点です。
日本の場合、ゴールデンに健康番組を流し続けていることも効果的だったのかもしれません…。