GSOMIA破棄の話

日韓軍事情報包括保護協定(GSOMIA)を韓国側が破棄するそうです。
GSOMIAは1年単位のもので、90日前までに破棄を通告しなければ自動延長になります。携帯の2年契約縛りが自動延長されるみたいなものですね(例えがアレですが)。
破棄通告期限は24日でしたが、青瓦台(韓国大統領府)が破棄を発表しました。


私はGSOMIAは破棄なら破棄で構わないと思っていました。ただし、破棄を言い出すなら日本からではなく、韓国からであることが前提です。
なぜって、GSOMIAが無くなった場合、困るのは韓国だからです。


安全保障や軍事機密に関わることですから、開示情報としては決して多くありませんが、偵察衛星についてなら分かっていることがあります。
少し前に中央日報で報道された記事によると、韓国の防衛事業庁2021年から3年間掛けてレーダー搭載衛星4機と赤外線センサー搭載の衛星1機の計5機を打ち上げる計画を発表したとのことでした。
計画の完了は2023年です。今年は2019年です。計画に沿った衛星まだ1機も打ち上げられていません

では今の韓国の偵察衛星の状況はどうなっているかというと…ゼロです。自前の偵察衛星を持っていません。
そこでレンタルという方法を思いついたようですが、軍事目的の偵察衛星は(当たり前ですが)どこも*1貸してくれなかったので民間企業が保有する衛星から情報を買っています


対する日本は現在、8機の情報収集衛星を運用しています。将来的に10機まで増やす計画です。
今の体制で「世界中あらゆる地点を1日1回撮影可能」となっています。

衛星による情報提供は基本的に日本→韓国なわけです。
もちろん、衛星情報が全てではありませんが、日本がGSOMIAに求める最もウェイトの重い情報の一つとして北朝鮮のミサイル発射兆候の監視があげられます。
韓国にとっても一番身近な脅威でしょう。

GSOMIAで利益を享受していたのは日韓どちらだったのでしょうね。


そして、GSOMIA破棄となると米国への心証も悪くなります。

元々、GSOMIAは軍事協定を結んでいない(結べない)日韓の妥協案でした。
日米韓3カ国の情報共有のために必要だったのです。
そこから韓国が抜けるということは、首脳会談などで散々確認した「日米韓の協力」との言行不一致となります。

そんな韓国を米国が無条件に助けるでしょうか?今までのように日本への無条件で無制限な譲歩を迫るでしょうか?
例え譲歩を迫られたとして、そんな義理が日本にあるでしょうか?


*1:イスラエル・フランス・ドイツに打診も全て断られる