「GSOMIA終了待った」に市民団体からは強い反発が起きている話

「GSOMIAの条件付き延長」の条件が知りたかったのですが、どの報道を見ても日本の輸出規制撤回を条件としており、今までと何も変わっていません。

聯合ニュースの報道では「韓国政府の今回事実上の延長を決めたのは、輸出規制問題で日本政府の態度変化の兆しがあったと判断したからだ」としています。ソースは不明です。

日本語記事なので読んでもらえれば分かりますが、聯合ニュースの視点は「米による圧力で日韓双方が譲歩し合った」というものです。
「米韓同盟に配慮した」「韓国は度量の大きさを見せた。次は日本の番だ」みたいな自画自賛っぽいのりで、ちょっとおもしろいです。


この「次は日本の番」の考え方は「面子(メンツ)」の考え方ですね。

「日本の輸出規制」 ー × ー 「GSOMIA破棄」

この2つのアイテムで綱引きをさせるのです。
韓国が「GSOMIA破棄」を引く力を弱めたら、次に日本に「日本の輸出規制」を引く力を緩めさせてバランスを取る、これが半島(大陸)における面子の考え方です。
こうやって面子を立てあって鉾を収めるのがあちらの交渉文化です。

でも日本からすると「日本の輸出規制(ホントは輸出管理)」の綱に 勝手に「GSOMIA破棄」を持ち出して結び付けたのは韓国ですけどね。
そもそも不用意に持ち出すべきカードでは無かったんですよ。


韓国の市民団体からは強い反発が起きているようです。
聯合ニュースの記事からです。

「GSOMIA終了延期」に進歩性向の団体「外交的屈服」と反発


政府が22日午後、日韓軍事情報保護協定(GSOMIA・チソミア)終了通期の効力を停止すると発表すると、これまでGSOMIA破棄を主張してきた進歩性向の市民社会団体が一斉に反発する声明を出した。

参与連帯はこの日、論評を出し「日本の報復措置には何の変化もないのに、政府は日本との対話を開始するという理由で協定終了を事実上覆した」と指摘した。

(中略)
民主労総も政府発表直後、声明を通じて「ムン・ジェイン政府は、安倍政権と米軍部、ついには青瓦台の前で「皇帝断食*1」中の黄教安(ファン・ギョアン)に屈服した」とし「最低賃金1万ウォン政策、国際労働機関(ILO)のコア条約批准、労働社会の公約のように、最終的に資本と外国勢力に屈した」と主張した。

民主労総は「政府の今回のGSOMIA延長決定は、今月30日の民衆大会をはじめ、今後行われる巨大な闘争の導火線になるだろう」と警告した。

この日の午後から光化門広場でGSOMIA終了を促す集会を開いている安倍糾弾市民行動も批判の声明を発表した。

彼らは「政府の今回の決定は『平和の脅威決定』であり、『積弊復活決定』」とし、「GSOMIAは日本軍慰安婦野合と同じく米国によって強要され朴槿恵政権が強行した代表的積弊協定であり、韓日軍事同盟に続く道」と反発した。
(後略)

聯合ニュース「'지소미아 종료 연기'에 진보성향 단체들 "외교적 굴복" 반발(「GSOMIA終了延期」に進歩性向の団体「外交的屈服」と反発)」より


巨大な闘争の導火線とは…第2のローソク宣言でしょうか?
安易にGSOMIA破棄カードをチラつかせた結果がコレです。


時事通信の報道では、「日本政府はこの間、輸出規制の緩和に応じる姿勢を見せなかった」と報じていますので、日本側の態度に変化があった様子は伺えません。

にも関わらず、韓国側から「GSOMIA破棄通告を撤回」してきたわけで、そこだけを見ると韓国が勝手に終了通知をして、勝手に終了通知を取り消しただけに見えます。(まさに一人相撲)


「GSOMIA終了」カードが思ったほど効果がなくて、引っ込めるに引っ込められずギリギリまで引き伸ばして有耶無耶のうちに継続、と受け止められなくもないです。

韓国側は「我々は(GSOMIAを)いつでも終了させられるという権利を留保している」という発言をなさったそうですが、これは違います。
GSOMIAは1年毎に更新されるものなので、「破棄の破棄」をした以上、来年までは自動更新されます。


1年間の執行猶予を得てホッとしているのは、果たして日韓(米)どちらでしょうね?


迷子の話

本筋とは関係ない話なのですが、韓国語でGSOMIAは「지소미아(チソミア)」と書きます。
「지소」は「支所」、「미아」には「迷子」って意味もあります。

「支所」は役所などの出先機関のことですから、本部の指示に従って事務処理を行うところです。
各省庁は青瓦台(大統領府)から見れば支所にあたると言えますね。

そこが「迷子」とは……韓国外相の康京和(カン・ギョンファ)さんは、21日に「日本の態度の変化がない限り、再考することはない」と従来の立場を繰り返して表明しています。
その翌日、期限切れ6時間前の土壇場での延長発表という、青瓦台と外相とのチグハグな様子を象徴するかのような名称の気がします。(本部と支所どころか、韓国政府の方針が常に迷子と言ってしまえばそれまでですが…)


*1:民主党のスポークスマンが自身のフェイスブックで行った批判。((「韓国党が健康絶食に続いて、皇帝絶食でありガプジル(パワハラ)断食を披露する」)
党役員に対し、24時間体制で現場を守るよう指示したり、30分毎の健康チェック、夜間の睡眠が阻害されないよう騒音対策を行うことなどの内容が盛り込まれた指示文書を揶揄している。