韓国の言う「関係改善」は2019年7月以前の状態に戻すこと、という話

ムンさんの訪日は結局実現しませんでしたね。
来る/来ない事態にはあまり興味がなかった(問題は来てから、かと)のですけれども、訪日キャンセルについて「日本のせい」とするような報道がちらほら目に付き始めました。
そんな中に、韓国が言う関係改善の定義が「2019年7月以前の状態に現状復旧すること」と読み取れるものがあります。
2019年7月、ということは日本の輸出管理強化以前の状態ということです。つまり韓国を「ホワイト国(現・グループA)」に入れろ、という意味ですね。それが「現状復旧」だと。
変ですねぇ、脱日本を推進しているのですから別に必要ないでしょうに。なぜ拘るんでしょうかね?


東亜日報の記事からです。

ムン大統領の訪日は実現しなかったが...韓日関係改善、任期内の機会はあるか


ムン・ジェイン大統領の東京オリンピック契機の日本訪問が「不発」となり、これを韓日関係改善の機会にしようとした我が政府の水面下の努力も、ひとまず「なかったこと」になったようだ。

しかし韓国政府はムン大統領の今回の訪問実現とは別に「(ムン大統領)任期末まで引き続き日本との対話努力をしていきたい」(大統領府高官)という立場であり、年内あるいはその後にでも韓日首脳会談が実現するかどうか注目される。

当局者によると、当初韓国政府はムン大統領の今回の東京オリンピックの訪日と韓日首脳会談の開催を通じ、両国関係を 「2019年7月以前」に戻す案 を模索してきた。

韓日両国はここ数年間、日帝強占期に強制徴用や日本軍慰安婦被害者問題など、一連の過去史問題を巡って対立してきたが、これとは別に△2年前、韓国に対する日本側の輸出規制強化措置の発動と、△それに伴う韓国政府の韓日軍事情報包括保護協定(GSOMIA・ジーソミア)の「終了」通知(現在は猶予)をすべて 「現状復旧」する措置を取るならば、「少なくとも両国間の葛藤は現水準以上に悪化することだけは防ぐことができる」との判断からだった。

韓国政府が昨年下半期以降、日本との過去歴史問題と未来志向的な協力を分離するいわゆる「ツートラック」対日外交を模索してきたのもこれと同じ脈略だ。

(中略)

しかし日本政府はこのような水面下の協議が進められている最中に「国際法違反」を主張し、徴用・慰安婦など過去史の対立解消の責任を韓国側に回したり、自国のマスコミを通じて首脳会談の時期などを巡り、「韓国が物乞いしている」という形の宣伝を繰り返してきた。その結果、なんとか進展をmしえた両国間協議にもブレーキが掛かってしまった。

これに関し、韓国外交部は11日「両国外交当局間の競技内容が最近、日本政府当局者らを通じて日本の立場と視点で一方的にマスコミに流出していることに強い遺憾を表する」とし「こうした状況では両国政府間協議は継続しにくい。日本側が慎重に対応することを求める」という立場を示した。

しかしそれから1週間も経たないうちに相馬博久駐韓日本大使総括公使が性的表現まで使いながら韓国政府の対日外交を卑下した事実がメディアに報道され、これが韓国政府の「ツートラック」外交推進力を弱める決定打となった。

(中略)

こうした中、専門家の間では今年9月の自民党総裁選挙と続く総選挙(衆議院選挙)、そして来年3月の勧告大統領選挙など両国の政治日程を考慮すると「当分の間、首脳間の会談は容易ではないだろう」という見方が出ている。一部では「ムン大統領と菅義偉日本総理は任期内の会談事態が不可能になる可能性もある」という見方も出ている。

(後略)

東亜日報「文대통령 방일 불발됐지만…한일관계 개선, 임기내 기회 있을까(ムン大統領の訪日は実現しなかったが...韓日関係改善、任期内の機会はあるか)」より一部抜粋


「水面下での協議を台無しにしたのは日本」だそうです。「ツートラック外交」なんて一度も機能したことが無いということは見ないふりです。

それはともかく、おかしなことが書いてありますね。日本の輸出管理強化(あちらが言う輸出「規制」強化)は徴用・慰安婦訴訟への報復というのが韓国側の見方だったはずです。
ところが記事では「これとは別に」として問題を別扱いにしています。その上で「輸出管理強化」に対して「GSOMIA破棄」を持ち出したという形にすることで韓国政府の措置を正当化しています。
いつの間にか話がスリ替わっています。いつものことですが。政治日程の見通しによる首脳会談の実現性の低さなど、比較的現実的な見方をしているだけに、ここだけなんだか目についてしまいます。
2019年7月以前はすべて「過去史」というボックスに押し込んだ上で、「ツートラック」とやらを持ち出して箱ごと棚上げにしてしまおうという魂胆にしか思えません。そして2019年7月の問題からまず解決しよう、と迫るつもりなのでしょう。

相馬さんの発言はムンさんには渡りに船だったでしょうね。「日本のせい」にして訪日をキャンセルできますから。(相馬さんも「自己満足」くらいの表現で済ませておけば良かったのに)
しかし「オフレコ」の約束でした話まであっさりオープンにされてしまっては、今後の韓国マスコミの取材に差し障ると思うんですけどねぇ。取材を受けてもプレス資料で十分な通り一辺倒の話しかしなくなりますよ。