朝鮮日報の社説から「【社説】「ますます大きくなっていく「D」の恐怖、自害型不況の影」」です。
「D」と言っても頭文字じゃありません。吸血鬼ハンターでもありません。デフレの「D」です。
【社説】ますます大きくなっていく「D」の恐怖、自害型不況の影
朝鮮日報 2019.10.02 03:18 9月の消費者物価上昇率が前年同期比0.4%下落し、8月(-0.04%)に続いて2ヶ月連続のマイナスを記録した。物価統計を取り始めて以来、54年ぶりのことである。政府は否定しているが、景気低迷の中、持続的に物価が下落するデフレ(D)を懸念せずにおれない。景気下降における政府の誤った政策処方まで重なっている。政策エラーで「失われた20年」の長期不況を招いた日本の失敗をそのまま負うのでは、という心配も出てくる。 今、韓国経済は生産・投資が不振で、輸出は10ヶ月連続のマイナスを記録している。製造業の生産能力が13ヶ月連続の下落であり、庶民経済は冷え込んでいる。雇用予算を数十兆ウォン使ったが、過去2年間で超短期の労働者が52万人増たして、週36時間以上のフルタイムの仕事は118万が消えた。それなら経済の活力を蘇らせる企業への宥和政策を取らなければいけない。ところが、むしろ市場の活力と産業競争力を落とし、企業を海外に追いやる自害性(自害性)政策を吐き出している。 最低賃金の急激な引き上げを始めとする高コスト政策、世界で最も過酷な週52時間勤務制、全世界の傾向と逆行する法人税増税政策などに固執して逆走行した。安く質の良い電気を提供していた原発を積弊として追い立て国家の競争力の源泉を崩している。言葉だけの改革成長であり、実際は技術革新を妨げる規制をより加えている。暴力労組だけ横行して民主労総は100万時代を謳歌している。ばらまき福祉に国民の税金を注ぎ込むせいで予算支出を3年ぶりに100兆ウォン以上増やした。これもまた民間部門の活力を削ぐことになる。 それでも青瓦台と政府は「経済が正しい方向に向かている」と主張する。しかし現場では経済がすでに長期低迷の初期に差し掛かったという警告が溢れている。主要国の中で韓国が特に深刻な低迷を経験する根本的な理由は誤った政策処方である。無能というだけでなく「立派だ」とは独り善がりに夢中だ。こうしている間にデフレの渦に巻き込まれれば「自害型(型)不況」を作った政府が抜け出すことができるだろうか。 朝鮮日報2019.10.02社説「[사설] 점점 커져가는 'D'의 공포, 自害형 불황의 그림자(【社説】ますます大きくなっていく「D」の恐怖、自害型不況の影)より
消費者物価指数(記事中では消費者物価上昇率)とは、ざっくり言うと 「モノの値段の変動」を表す指数です。
同じ物を買った場合、ある年(基準年*1)と比べて○%高くなった/低くなったと見ることが出来ます。
日本の8月の消費者物価指数は総合が101.8(基準年の値を100とする)で前年同月比で0.3%の上昇になっています。
この数値が100を下回ると、基準年に比べて物の値段が安くなったことを意味します。
消費者視点では、安くなるのは一見良いことのように思えますが、物の値段が下がる最大の要因は売れないからです。
SALEで安くなるのは売れ残り品…つまり売れなかったものですよね?
同じように売れないからモノ値段を下げますが、当然利益率も下がります。
売れない状態とは、需要と供給のバランスで考えると需要減/供給過多の状態です。
原因は、消費者の財布のヒモが硬くなっているからで、それは給与が下がった、リストラ、将来への不安…などなど不景気な理由が大半を占めます。
物が売れなくなると、販売会社や製造会社などの供給側の業績も悪化するため、給与カットやリストラが進み、ますます消費者の購買力が落ちていきます。
そうするとまたモノが売れなくなり価格を下げ…とモノの値段が下がり続け経済が萎縮しデフレーション(デフレ) となります。
つまり消費者物価指数が100を割り込むとデフレのサインかも知れないわけです。
韓国ではまだ100を割り込んでいませんが、昨年1%だった数値が年初から1%を割り込み、そのまま1%未満で推移を続けています。
8月に-0.04%と昨年比マイナスとなった際に中・高向けの無償給食の実施や福祉サービスの拡充など、公共サービスの拡大が物価を押し下げたと分析していました。
続いて9月が前年同月比で-0.4%と下げ幅が拡大したわけですが、8月の理由に加えて石油価格の下落、農水産物価格の下落を理由に上げて「一時的なもの」と判断しています。
韓国がデフレに突入したら、不買運動などよりよほど日本への影響が大きいように思います。
かと言って無闇矢鱈に手を差し伸べるのは賢い行動とは言えません。
勝手に自滅する分には放っておくべきです。相手は独立主権国家なのですから。
でも抱きついてこられないように注意が必要です。
*1:5年ごとに更新。西暦末尾が0年、または5年になる年。