「ファクトチェッカー」アプリの話

韓国でAndroid向けアプリにYoutube動画を最大30本同時に「不適切」として申告できる「ファクトチェッカーアプリ」が登場したそうです。

YouTubeは動画の内容と広告をマッチさせるシステムが自動化されていますが、、動画が不適切と申告されると「黄色いドルマーク(収益マーク)」が表示されるようになります。
このマークが付くと広告が付かなくなり動画の収益性が落ちます。動画の内容が「ほとんどの広告主に適していない」と判断されるためです。

主に韓国関連を扱ったユーチューバーチャンネルで「不適切動画」の説明をたびたびされているようなので、気になる方は探してみて下さい。


東亜日報の記事からです。

自動申告「ファクトチェッカーアプリ」議論…「親ムン、第2のドルイドキング陰謀」


最近、ムン・ジェイン大統領支持者らを中心にモバイル・アプリ「ファクトチェッカーアプリ」が拡がっており波乱である。未来統合党*1はこれを「第2のドルイドキング陰謀*2」と規定した。

18日午前、国会で開かれた統合党院内対策会議でシム・ジェチョル院内代表は「最近、保守ユーチューブ映像を一挙に『不適切な映像』と自動申告しコメントを付けるモバイルアプリが登場し、左派がこのアプリを確信させている」と批判した。

彼は「自由右派ユーチューバーを抑制するアプリを作成流布する意図は、総選挙を控えて世論操作すること」とし「第2のドルイドキング陰謀」と主張した。

先月21日にGoogleApp Storeに登場した「ファクトチェッカー」アプリは、YouTubeチャンネルの映像を一度に不適切な映像と自動的に申告し、コメントを付けることができるよう設計された。

このアプリのホーム画面には、保守性向の最新ユーチューブコンテンツが数十挙がっている。このすべての映像を一度に申告することができる。アプリに必要な文言を書いた後「動画に自動コメント」機能をオンにしておけば、映像を申告する度に該当のコンテンツに自動でコメントが記入される。

(中略)

パク・ワンス事務総長も「ファクトチェッカーがYouTubeの『黄色い札』を狙って保守ユーチューブ向け閲覧を行っている」とし「第2のドルイドキング事態になるのではと、甚だ憂慮される」と述べた。

(後略)

東亜日報「자동 신고 ‘팩트체커앱’ 논란…“친文, 제2의 드루킹 음모”(自動申告「ファクトチェッカーアプリ」議論…「親ムン、第2のドルイドキング陰謀」)」より一部抜粋


別ソースによると、全部で30件の動画を一度に申告できるようになっているそうです。
常識的に考えて、普通に視聴している状態で30本も同時に申告する必要がある状況って想像つきません。
穿った見方をしなくても、記事内で指摘されているように「特定の主張」を行っている人たちの動画を片っ端から「不適切」通報することが目的のように見えてしまいます。


「虚偽の事実の拡散」というのは、あくまで事実確認が行えるもの…例えば「動物園からトラが逃げた」であるとか、白黒付けられる事柄についのことであって、個人の思想や主張に対して「ファクトチェック」するなんて不可能だと思います。

リンゴよりバナナが好きな人が、「私はバナナが好きだ!いや、むしろ愛してる!!」と叫ぶ動画をアップしていたとしてその動画に対して「リンゴのほうが素晴らしい」と不適切通知することに意味がありますか?って話。

まあ、思想の根底にある事実認識が歪んでいれば別かもしれませんが。(「バナナは神が作った果実なのに対してリンゴは悪魔が作った果実である。だからバナナは良い。でもリンゴよ、お前は駄目だ。リンゴが好きなヤツも駄目だ」…とかね)
でも、「ファクトチェッカー」が目指しているのはそんな次元の話ではないように思います。


*1:保守の最大政党。2月17日に自由韓国党から改名。

*2:ネットコメント部隊を使って世論工作を行ったとされる事件