海外SNSで流行っているらしいCOVID-19のデマ情報の話

海外(フランス)のメディアがCOVID-19に関するデマ情報として妙なものを伝えていました。
日本でも色んなデマが拡がっていますが、今の所これは拡散されていないようです。でも、もしかしたら今後輸入されて拡がるかもしれませんので、ご注意を。

デマの内容は、COVID-19の原因ウィルスは「中国の研究所によってSARSHIVを組み合わせて作られた」とするものです。これはデマです。大事なことなので、何度も言います、これはデマゴギーです、うそ情報です。


このデマは、中国メディアが載せた武漢大学中南医院のICU所長であるPeng Zhiyong(彭智勇)医師のインタビュー内容の曲解と、インド発の査読前論文原稿を組み合わせています。


インタビューで医師は「人体に対するCOVID-19の影響は、SARSとAIDSの組み合わせのようなものです」と発言しています。
ウィルスではなく、それによって引き起こされる症状が似ている、という趣旨の発言です。

医学雑誌「The Lancet」には、武漢でCOVID-19の治療を受けた52人のうち、85%の患者でリンパ球の減少兆候を確認した研究が発表されています。
リンパ球の減少=免疫系の崩壊をAIDSの症状として、肺炎の症状をSARSの症状として比喩的に用いたものと思われます。

ただ、リンパ球減少は既に15年前にSARS患者で観察されていた症状だったため、わざわざAIDSの症状を持ち出したことで要らぬ混乱を招いた感がなきにしもあらず、といったところです。


BioRxivにはインドの研究として、HIVウィルスとSARSウィルスとCOVID-19の原因ウィルスの間にアミノ酸配列の「奇妙な類似性」「偶然ではない」とする旨の査読前論文原稿があがっていました。

査読前ですから、内容に問題や矛盾が無いか検証される以前のものであり、なんの科学・医学的根拠も保証されていないものです。

この研究は既に取り下げられています。
取り下げられたということは、何らかの問題が指摘された可能性があります。ですが、「中国によるウィルス兵器実験」などの一部に根強い陰謀論者たちによって拡散されてしまったようです。

原稿がアップされていたサイトでは「査読前の予備報告」であり「衛星基準や臨床ガイドと見なされるべきでない」こと、「報道機関に取り上げられるべきでない」ことをバナーで警告しています。