実は喫煙者の方がCovid-19に罹りにくいかもしれない話

にわかには信じがたい話なのですが、フランスのパスツール研究所が実施した調査によると、喫煙者よりも非喫煙者の方がCovid-19への感染率が4倍高いという結果が出たそうです。(ソース

ただし、これによって喫煙を推奨するものではありません。
仮に調査の結果通り喫煙者の方が感染リスクが低いとしても、いざ感染した場合、重篤化しやすいのはやはり喫煙者の方であることに変わりはありません。中国の調査によると、喫煙者が重度の疾患を発症する可能性は、非喫煙者に比べて14倍高いとされています。

ただ、もしかしたらニコチンが何らかの保護作用があるかもしれない、ということでニコチンパッチを用いた臨床試験が申請されたそうです。


パスツール研究所は、パリの北東約60kmにあるクレピー=アン=ヴァロワの学校の教師、生徒約700名とその家族を対象に「非常に正確」な検査を行いました。この地方はコロナ被害の最も大きかった地域の一つです。

成人の検査の結果では、喫煙者からは7.2%、非喫煙者からは28%の感染が確認されました。非喫煙者の感染率は喫煙者の4倍です。


この調査結果と似た傾向を示す別のデータがあります。

同じくフランスはパリ、ピエティ=サルペトリエール病院で「陽性」と判定された480名の患者を元にした調査によると、平均年齢65歳の患者350名のうち、4.4%のみが喫煙者であったことが分かっています。
フランス保健当局の資料によると 18歳から75歳までの喫煙率は35% と出ています。
つまり、フランスの一般集団と比べると、 Covid-19集団の喫煙率には大幅な低下 が認められます。
偶然かもしれませんが、単なる偶然と片付けてしまうには惜しい気がする数値です。


これについて、研究者からは ニコチン性アセチルコリン受容体(nAChR)がコロナウィルス感染の際に重要な役割を果たすのではないか という仮説が出ています。
仮にそうであれば、ウィルスによるこの受容体への攻撃から、ニコチンが保護する作用があるのかもしれません。
更に、短期間で急に重篤化して死亡に至るようなケースは、免疫系の過剰反応(サイトカインストーム)が起こっているとされていますが、これらを軽減する効果もニコチンには期待できます。


現在、臨床試験の承認はまだ降りていないようですが、厚生大臣のオリビエ・ベランさんは「興味深い」と言ったそうです。

もちろん、ニコチンには中毒性がありますから色々と問題もあるでしょうが、5年後10年後に健康被害が出るとしても、今日明日死ぬかもしれない人に何も出来ないよりマシかな、と素人考えながら思ってしまいます。
実際の治療には使えなくても、コロナウィルスがどのような攻撃を行うか、その仕組みを解明する糸口になるかもしれませんしね。