有権者100万人集まれば改憲発議できちゃうようにしよう、という話

韓国で、有権者が100万人集まれば改憲発議が可能になる憲法改正案が発議されました。
発議されただけなので通るかどうかは分かりません。
ですが、与野党議員148名(韓国議会の定員は300名)により、事前発表や記者会見なく突然提出されたものだそうです。
もし可決されれば4月15日の総選挙と同時に国民投票が行われることになります。



03.18追記

3月11日付の官報にサラっと掲載されたそうです。これで公示されたことになります。
残りの手順は「60日以内に議決」と「議決後30日以内の国民投票」です。



ペンアンドマイクの記事からです。

カン・チャンイル、キム・ムソンなど与野党議員148人、総選挙一カ月余りに控えて改憲奇襲発議…一体何の魂胆が?


キム・ムソン未来統合党議員とカン・チャンイル共に民主党議員など与野党の国会議員148人が、いわゆる「ワンポイント改憲案」を6日に奇襲的に発議したことが分かった。総選挙を一ヶ月以内に控えて憲法を修正すると出しゃばり、国会が報道資料や記者会見もなしに、この日の午後、国会事務局に静かに改憲案を提出したのである。改憲案が本会議を通過した場合、4・15総選挙で国民投票に掛けられることになる。

改憲案は有権者100万人の発議で改憲を提案することができるという内容を含んでいる。現行憲法128条1項は、国会在籍議員の過半数または大統領だけが改憲を発議することができると規定している。(中略)100万人は民主労総のような全国組織と各種市民団体を合わせる左派陣営がいつでも動員可能な規模だ。

改憲案は「提案理由」として「分権と協治の時代精神の汎国民的共感」「国民発案制度を通じた国民の参加」「国民参加制度を保証して広場民主主義を投票民主主に転換」などを挙げている。

二重「国民参加を制度的に保証して『広場民主主義』を『投票民主主義』に転換」というくだりは、ロウソク弾劾事態のような広場の狂気を合法的に憲法に反映することができるようにするという点で懸念が提起される。>

(後略)

ペンアンドマイク「강창일 김무성 등 여야 의원 148명, 총선 한 달여 앞두고 개헌안 기습 발의...도대체 무슨 꿍꿍이 속셈?(カン・チャンイル、キム・ムソンなど与野党議員148人、総選挙一カ月余りに控えて改憲奇襲発議…一体何の魂胆が?)」より一部抜粋


よそさまの国のことですから、とやかく言うのもどうかと思うのですが、ご近所なだけにこうした動きは少し気になります。


韓国は日本同様、間接民主主義(議会制民主主義)国家です。
間接民主主義とは、選挙により国民が選んだ代表に一定期間、権力の行使を信託し政治を委託する形態を言います。


韓国の有権者は約4200万人、国会議員の定員数は300人です。
国会議員が改憲を発議できるのは過半数が集まってからです。

建前上、国会議員の過半数有権者過半数に相当しますので、改憲発議は有権者過半数(2100万人)から支持されていることを意味します。

それでようやく発議できるものを、直接とは言え有権者が100万人集まっただけで発議できるというのはかなり強権な気がします。


もちろん発議ですので、その後議会で審議されてから国民投票という流れに変わりはありませんが、乱発されれば議会運営がままならなくなりそうです。
国民請願掲示板の現状を見るに、その可能性は十分ある気がします。