日本製鉄は即時抗告、三菱重工の原告も公示送達を要求する話

差し押さえ公示送達が発効(有効)となり、日本製鉄は即時抗告に動きました。

また、日本製鉄への公示送達発効の一日前には三菱の差し押さえ資産に対しても公示送達による対応を要求する意見書が、市民団体により大田裁判所へ提出されています。

日本製鉄絡みで「公示送達」が話題となるだろうことを見越した動きでしょうか?


日本製鉄に関する記事三菱重工業に関する記事、どちらもニューシースからです。

日本製鉄「韓国での差し押さえ公示送達発効に即時抗告」


朝鮮人強制徴用と関連した日本企業の資産に対する私たち裁判所の差し押さえ公示送達が4日の0時で発効したことに対して日本製鉄は不服申し立てをする即時抗告に出ると明らかにした。


日本経済新聞などによると、日本製鉄はこの日4 ~ 6月の四半期決算の記者会見で差し押さえ命令について「国家間の正式合意である日韓請求権 - 経済協力協定で完全かつ最終的に解決されたと考えている。外交交渉も勘案して政府と連携して対応する。即時抗告する予定」と明らかにした。


韓国最高裁判所の判決に基づいて原告側が差し押さえを要求したのは、日本製鉄とポスコが2008年に設立した合弁会社PNRの持ち分19万4000株である。今回、公示送達効力が生じたのは約8万1000株、約3600万円規模である。


日本製鉄は来る11日までに韓国地方裁判所に抗告すれば資産売却手続きを中断させることができる。地裁が即時抗告を棄却する場合、再び抗告が可能である。

このような一連の手続きを経て実際に売却命令が出るとすれば、数ヶ月ほど掛かり今秋以後に伸びる可能性があると媒体は予想した。


(後略)


ニューシース「일본제철 "한국서 압류 공시송달 발효에 즉시항고"(日本製鉄「韓国での差し押さえ公示送達発効に即時抗告」)」より一部抜粋


日強制動員被害者「差し押さえ三菱資産の迅速売却意見書を提出」


(前略)


3日、勤労挺身隊おばあさんと共にする市民の集まりによれば、ヤン・クムドクさんなど、損害賠償訴訟に参加した原告側代理人は、差し押さえた三菱の資産売却と関連手続きを「公示送達」で迅速に進行してほしいとする意見書を大田裁判所に提出した。


(中略)


ヤンさんなど5人の強制動員被害者と遺族は去る2012年10月24日に光州裁判所に三菱重工業を相手取り損害賠償訴訟を起こした。

続いて2018年11月29日に最高裁判所で勝訴したが、被告の三菱側はまだ賠償命令を履行していない。

このためヤンさんたち原告代理人は去年3月22日に大田裁判所を通じて三菱側が国内に特許出願している商標権2件と特許権6件を差し押さえて同年7月23日に大田裁判所から売却命令まで受けた。債権額は原告4名分で約8億4000万ウォンである。


しかし、本格的な手続き進行のために、大田裁判所は差し押さえ決定と売却命令書類を三菱側に送達したが、差し押さえ決定から16ヶ月が過ぎても送達可否を確認することができない状態だ。

原告代理人側は日本政府と三菱がハーグ送達条約による義務も守らないまま、意図的に発送手続きを引き延ばしているものと見ている。


(後略)


ニューシース「日 강제동원 피해자 "압류 미쓰비시 자산 신속매각 의견서 제출"(日強制動員被害者「差し押さえ三菱資産の迅速売却意見書を提出」)」より一部抜粋


日本がハーグ条約という国際条約違反にあるかのような言われようですが、違います。

この条約の10条(a)には、加盟国が拒否宣言をしない限り加盟国在住のものに対して直接裁判に関する書類を郵送することが可能となっています。つまり拒否宣言はしても良いのです。

日本は2018年12月21日にハーグ送達条約10条(a)に対する拒否宣言を行い、外国の裁判に関する書類の日本の被告への直接郵送を無効としました。

以降、日本の被告への裁判書類の郵送は中央当局を経由した外交ルートでのみ可能となります。

タイミング的に三菱重工への賠償命令判決を受けて拒否宣言をしたように受け取られるかもしれませんが、拒否宣言をしていない事そのものが以前から問題視されていました。ですから、切欠にはなったかもしれませんけれども、これだけが拒否宣言の理由ではありません。