日本製鉄の韓国内差し押さえ資産への売却命令の話

年末のドサクサに徴用訴訟で差し押さえられている日鉄資産への売却命令が出されました。ただ、韓国のポータルサイトに関連記事が上がり始めたのが昨夜遅くから今朝にかけてだったので、もしかしたらヤフーに上がっている共同通信の記事の方が早かったんじゃないかと思います。

今朝になって各紙が報じていますけれども日本の新聞の引用報道がほとんどで、(自称)専門家の意見や原告のコメント、外交部の話など、韓国側の反応は一切書かれていません。
自国のことなのに他国の報道機関の引用だけで書かれた記事というのは韓国ポータルでは珍しくないものですが、それにしても違和感があります。
年末のバタバタのせいなのか、それともあまり触れたくない部分なのか?

 

 

聯合ニュースの記事からです。

日本製鉄、徴用訴訟の資産売却命令「遺憾」...日本政府も抗議


韓日間最大の懸案である徴用被害者賠償訴訟の被告企業である日本製鉄(旧・新日鐵住金)は30日、韓国栽培処が自社の韓国内資産売却命令を下したことについて、受け入れられないという立場を明らかにした。

共同通信などによると日本製鉄はテグ地裁ポハン支部が原告側の請求を受け入れ、韓国内の日本製鉄資産の現金化のための売却命令を下したことについて「極めて遺憾だ」と評した。

(中略)

同社は徴用被害者賠償問題に対しては「引き続き両国政府の外交交渉状況に基づき適切に対応する」とし「いわゆる韓国人元徴用工問題は日韓請求権協定によって完全かつ最終的に解決されたものと理解している」という既存の立場を改めて確認した。

(中略)

読売新聞によると、日本外務省はポハン支部から日本製鉄資産売却命令が出た後「絶対に受け入れられない」と外交経路で韓国政府に抗議し、適切な措置を要求した。
外務省のある幹部は「韓国裁判所の判決はこの協定(日韓請求権協定)に違反するものであるため違法状態の是正を要求し続けていく」と述べた。

(中略)

日帝の強制労働関連被害賠償訴訟をめぐり、被告である日本企業の資産売却命令が下されたのは今年9月にデジョン地裁が決定した三菱重工業の事例に続き、日本製鉄が2度目だ。
三菱重工業は売却命令に不服として即時抗告状を出したため、日本製鉄も同様の手続きを踏むものとみられる。

日本政府は2018年10月の日本製鉄と、同年11月に三菱重工業にそれぞれ慰謝料賠償責任を負わせる韓国最高裁の判決が出た後、同判決に応じなかった日本企業の韓国内資産が売却を通じて現金化されるなど実質的な被害が発生した場合、報復措置として対応すると威嚇してきた。
このため売却命令が執行され現金化につながれば両判決を機に硬直した韓日関係はさらに悪化せざるを得ない状況だ。

売却命令に対しては2度の抗告が出来る。
再抗告が棄却されれば売却命令が確定し、被告側が法的対抗の手続きをすべて踏んだ場合、売却命令確定まで少なくとも6〜8ヶ月かかるとみられている。
このため徴用訴訟問題は来年5月の韓国新政府発足後も韓日間の最大の対立懸案に繋がる可能性が高い。



聯合ニュース「일본제철, 징용소송 자산매각 명령 "유감"…일본 정부도 항의(日本製鉄、徴用訴訟の資産売却命令「遺憾」...日本政府も抗議)」より一部抜粋

ニューシスの方はもっとはっきり「韓日関係の悪化に拍車」と書いているんですが、それにしても引用報道と今までの流れを列記しただけでなんだか大人しいです。
報道が遅かったのもありますが、韓国内でもコンテンツとして飽きられているのかなぁ?という気がします。

 

慰安婦にしろ徴用工にしろ、日本を公然と非難できる「被害者アイコン」としては便利なものですけれど訴訟となると話は別です。
国際法違反」から全力で目を反らしたとしても、これによって(韓国の言う)「道徳的優位」が損なわれていることは確かですから目の上のたんこぶ状態なんでしょう。

また判決によって「日本を韓国の法で裁くことが出来る」と浮かれたものの、現実は思っていたように運ばずズルズルと現金化を引き伸ばすだけ。韓国側が弱腰状態というのも面白くないんだろうな、と思います。やたら会いたがって訪日議員がやってくるのも韓国側ですしね。
正直、次期政権が発足したとしても最初は求心力を高めるために反日ブーストから入るでしょうから関係改善は無理だと思います。

これで今年の更新は最後と成ります。1年お疲れ様でした。
昨年に引き続き、主にコロナで制限の多い年でしたが今の所オミクロンは大人しいようで何よりです。
私は今年は遠慮した初詣にも行けそうですし、親族の集まりにも参加予定です。
皆様も良いお年をお迎えください。