「国民の力」…が日本からの盗作、という話

韓国の政党、未来統合党の新しい党名が「国民の力(국민의힘)」となるそうなのですけれど、この「国民の力」というのが日本会議(韓国では極右団体認定)のスローガンに使われていたことがあり、それを持って「盗作」と一部で騒ぎになっています。

どこかの大学教授がフェイスブックに載せた記事が発端でした。最初に報道記事を読んだのは2〜3日前です。
「国民の力」なんて、対して珍しくもないありふれた表現ですから、流石に勘ぐり過ぎだろうとスルーしていたのですけれど、今日の午前の時点で5000件近いコメントが寄せられており、DAUMの「コメントの多い記事ニュース」ランキングでも上位となるなど、関心が高いようです。
「日極右団体のスローガン盗作」という記事タイトルが効いているのでしょうか?


ノーカットニュースの記事からです。

「国民の力」党名、日極右団体のスローガン盗作論議


(前略)

未来統合党は2日、全国委員会を通じて党名を国民の力に変更した。国民から出てくる力、国民のために行使される力、国民を一つにまとめる力を意味するというのが党の説明だ。

「国民の力」は分かち書き*1がない。外国語表記は、英語では「People Power Party(ピープル・パワー・パーティー)」、中国語では「國民力量(クォミンリーリャン)」、日本語では「国民の力(こくみんのちから)」だ。

しかし、新しい党名が公開されると盗作論議が膨らんだ。

(中略)

更に、日本の極右勢力のスローガンに使用されたという主張も提起された。
慶煕大法務大学院のカン・ヒョベク教授は5日、フェイスブックを通じて未来統合等の新しい党名は日本から輸入したと指摘した。「国民の力」が日本の極右総本「日本会議」の創立5周年と10周年記念式典に使われたスローガン(國民の力・こくみんのちから)と同じだとする説明だ。

(後略)

ノーカットニュース「'국민의힘' 당명, 日극우단체 슬로건 표절 논란(「国民の力」党名、日極右団体のスローガン盗作論議)」より一部抜粋


他にも与党の議員が2003年に発足した市民団体名と被っていることを指摘しているのですが、そちらの扱いは小さく、日本会議のスローガンと被っていることの方を大きく取り上げています。

ちなみに、このときの日本会議のスローガンは「誇りある国づくりへ国民の力を!」となっています。
帝国ホテルやビッグサイトで行われた記念式典の壇上に大弾幕が掲げられている写真が掲載されています。


4000件、5000件「いいね」を獲得しているコメントは↓のようなもので、


「やはりお前たちは骨の髄から日本人ヤローだった 倭国に失せろ お前たちは国民の荷物だ」
「国民の力、本当に率直に述べたみたい。彼ら自身が親日だから、アイデンティティを傷つけないようにして...日本をそのまま継承することに〜〜」


こんな感じです。
「日本」が絡むだけで「国民の力」なんて使い古されたありふれた表現という頭が働かないようです。いや、分かっていても「触れてはいけない/気づいてはいけない」視点になるんでしょうね。


*1:韓国語の表記方式で、単語・文節などの語句のまとまりごとに空白を入れて区切る方法。