ユン政権発足から続く日韓の関係改善意欲に対する「温度差」の話

ちょっと前に日本に来ていた外交部長官のパク・ジンさん。8月には訪中が決まったそうで、韓国の外交の関心はすでに日本から中国に移ってる的な報道がチラホラ出てきています。
来月には中韓国交正常化30周年を迎えることもありお祝い(脳内花畑)ムードなのか、韓国の国益に基づいて「十分に説明して説得することが重要」と、要は「話せば分かる」との中身の無い主張(SBSの記事)です。訪中が近づけばまたトーンダウンしていくかもしれません。

で、そんなパク・ジンさんの訪日についての成績表(?)が出てきました。訪日単体というよりユン政権発足以降、訪日までの中間考査という感じでしょうか。「急ぐ韓国、冷淡な日本」という記事タイトルに色々集約されていると感じます。

 



世界日報の記事からです。

[特派員レポート]急ぐ韓国、冷淡な日本


パク・ジン外交部長官は18日、東京羽田空港で会った記者たちに韓日関係改善に対する強い意志を明らかにした。

「ユン・ソンニョル政府の外交部長官として日本を初公式訪問することが出来て嬉しい。過去を直視しながら未来を目指す真のパートナーシップを作るためのシャトル外交が本格的にスタートする時期だ」

2泊3日の訪日日程を開始して出したこのようなメッセージの基調はずっと維持された。訪日最終日の20日、韓国特派員らとの懇談会では「日本も関係改善のために私たちの努力に誠意を持って呼応する用意があると感じた」と話した。訪問成果に対する自評であり、今後の日本の態度がどうであるべきかに対する強い願いであり要求だった。

日本の反応は韓国の積極的な意志に比べれば冷たかった。パク長官に会った岸田文雄日本総理は「懸案解決のために(韓国政府が)引き続き努力して欲しい」と述べ、関係改善のためには韓国側の解決策提示が先行されなければならないという日本の政府の所謂「一貫した立場」から少しも退かなかった。

ユン・ソンニョル大統領が当選し、韓日関係改善に積極的に乗り出し始めて以来、これまで両国のこうした温度差はずっと続いている。
ユン大統領が当選人時代の4月に日本に派遣した政策協議団の団長を務めたチョン・ジンソク国会副議長は「一人では仕事を成し遂げるのは難しい」という意味の四字熟語「孤掌難鳴」に何度も言及し日本の呼応を要求した。先月、スペインのマドリードNATO北大西洋条約機構)首脳会議が開かれる前、韓国政府はユン大統領と岸田総理の単独首脳会談を期待したが実現しなかった。

(中略)

パク長官を迎えた日本政府の態度を伝えた日本メディアの報道を見ると侮辱感さえ感じられる。読売新聞はパク長官と林芳正外相の会談のニュースを伝え、最大の懸案である日帝強占期強制動員被害賠償判決と関連し「韓国政府が解決意志を見せているが(日本が受け入れられる)解決策を提示できるかは疑問」という外務省幹部の言葉を報じた。

(中略)

朝日新聞は「韓国側が岸田総理との会談を希望したが(日本政府は)外相会談の結果が出るまで会うかどうか決めていない」とし「関係改善を急ぐ韓国と慎重な日本の考えが今回も交錯した」と評価した。

22日、大学生の団体が「ユン・ソンニョル政府の屈辱的対日外交」を批判する記者会見を開いたという。日本軍慰安婦問題、強制動員被害などで韓国政府が日本に免罪符を与える外交をしているという主張だった。「屈辱」のレッテルを貼らなければならないほどなのかは、もう少し見守らなければならないようだ。

(中略)

しかし、両国政府の態度の違いが当惑するほど鮮明であることは明らかだ。この差異を韓国政府は国民にどのように説明し、解決策に対する同意を求めていくのか、という疑問が生じる。強制動員被害賠償判決、慰安婦問題は日本の加害から始まっただけに外交分野に限定されない正しい歴史確立、国家的自尊心が掛かった案件だ。関係改善という当為に執着し、国民的同意、支持が得られない結果が出れば今のような論議がいつでも再び起こる可能性がある。

(後略)



世界日報「[특파원리포트] 서두르는 한국, 냉담한 일본([特派員レポート]急ぐ韓国、冷淡な日本)」より一部抜粋

韓国が「お互いに」と言い出すときはまず間違いなく「そっちが解決する問題」「韓国に合わせろ」という意味です。
「お互い」に当たる韓国側の努力部分は「解決しようと言ってあげた」です。

朝鮮日報のように「なんとか盛り上げよう」としていた記事に比べれば随分まともに見えますけれど、韓国メディアも韓国の政治家も大前提として徴用問題、慰安婦問題を「日韓の二国間問題」と認識している時点でお話になりません。日本の加害がどうしたこうしたという結論もお話になりません。
さらに言うと、「被害者」が納得するかどうかが問題とする「被害者中心主義」を掲げてきていたのに、ここにきて「国民的同意」を持ち出しているのも意味不明です。

徴用工は1965年に、慰安婦は2015年に「二国間の問題」としてはケリがついています。
韓国が「私たちの努力に誠意を持って呼応すべきだ」と言った所で日本からは「そうですか。頑張ってください」としか言いようがありません。なにせ韓国の国内問題なんですから。口や手を出せば内政干渉になります。これを冷淡と言われてましてもねぇ...。

韓国政府が国民にすべき説明は「これは日韓の二国間問題ではなく韓国の国内問題」との現実を認識させるための説明でしょう。