先日、新たにドイツのベルリン市に設置された慰安婦像ですが、撤去するようベルリン市ミッテ区側から設置した韓国系市民団体へ正式に通知されたそうです。
以前、こちらで慰安婦像設置の記事を紹介したときは、私見として「芸術作品との認定での設置であれば、撤去は難しいかもしれない」とお伝えしましたが杞憂だったようです。
どうも設置されていた碑文に政治的意図を感じさせる文言があったようです。しかも、その碑文の内容は設置申込みの時点では行政側に伝えられていなかった（伏せられていた）という徹底ぶり。これで「政治的・歴史問題的意図はない」とするのは道理が合いません。
ハンギョレ新聞の記事からです。
ベルリン少女像撤去...韓 - 日関係の改善に、突然悪材料とされる
（前略）
ベルリン市ミッテ区に7日（現地時間）、少女像の設置を主導した韓国関連の市民団体であるコリア協議会に14日までに少女像を撤去するよう求めた内容の公文書を送った。区当局は、自主撤去がされない場合は強制執行の上、関連費用をコリア協議会に請求するという内容も付け加えたことが分かっている。コリア協議会は直ちに抗議声明を出し、今回の決定が「芸術と表現に対する根本的な侵害」と明らかにし、方針の撤回を求めたが受け入れられるかは未知数だ。
ベルリン市当局が少女像設置から10日も経たず撤去決定を下したのは、日本の外交当局の全方位的抗議を受け入れたためと思われる。実際、ミッテ区の少女像撤去を要求する公文書には「日本の各地域とベルリンの間に緊張関係を起こした」という点を挙げ、シュテファン・フォン・ダッセル ミッテ区区長も少女像が韓・日対立と関連していると明らかにし、「国家間の歴史議論で片方を支持する事態を避けたい」と語った。当初、少女像を政治的に中立な「芸術作品」と考え、1年間、期限設置を許可したが、そうではないという事実を一足遅れて確認し、仕方なく撤去を決定したという説明である。少女像を日本軍「慰安婦」制度を通じて蹂躙された女性の人権を象徴するモニュメントとして見ず、韓・日間の歴史葛藤の象徴として捉えたものである。
（中略）
日本政府の積極的な外交攻勢で少女像が撤去の危機を迎え、韓国政府の立場を困らせた。ムン・ジェイン大統領は先月16日、菅義偉新首相に祝賀の書簡を送り、「対話の扉はいつでも開いている。日本の積極的な呼応を期待する」という言葉で、史上最悪にまで悪化した韓・日関係改善に意欲を見せていた。そのためか、キム・インチョル外交部スポークスマンは8日の定例会見で、日本政府の少女像撤去圧力についての質問を受けて「これを人為的に撤去しようと政府が関与しているのは、問題の解決には決して役に立たず、日本が自ら明らかにした責任の痛感と謝罪反省の精神に逆行する動き」と批判しながらも「民間の自発的な動きに政府が外交的に関与するのは望ましくない」と留保的な態度を維持した。
（後略）
ハンギョレ新聞「베를린 소녀상 철거…한-일 관계 개선에 돌발 악재 되나（ベルリン少女像撤去...韓 - 日関係の改善に、突然悪材料とされる）」
日本の抗議を受けて改めて調べてみたから、というのはあるかもしれません。
そしたら、飽くまで「芸術作品」として設置を許可したのに、申請時点では伏せられていた碑文の内容が明らかに政治的意図を持って書かれていることが判明したので許可を取り消した、こう考えた方が自然です。
伏せられていた碑文の内容は「第二次世界大戦当時、日本軍がアジア・太平洋全域で女性を性奴隷として強制的に連れて行った」という内容が含まれていたようで、明らかに事実に反した内容です。
「日本の抗議にベルリンが屈した」というのは、かなり歪んだ見方に思えます。実際、ミッテ区長が言うように「中立」の立場を維持するためには関わらない（消極的中立）のが一番です。
韓国政府が立場を公にしないことが不満であるかのような書きっぷりですが、韓国政府が動かないのは、日韓関係のためではありません。動きたくても動けない、という方が正しいです。
なぜなら、もし韓国政府が動けば、元がどうあれその時点で「政治問題化」するからです。
韓国政府自らが「慰安婦像（少女像）は歴史問題と政治的意図をもって設置されている」ということを宣伝することを意味します。（個人的にはキム何某が会見で述べた「謝罪」やら「反省」やらが既にアウトな気がしますけどね。少女像は日本人の謝罪と反省を象徴している、という認識って意味でしょ？）
別ソース記事（確か、聯合ニュース）では、市民団体は設置を「秘密裏に」行ったとあります。つまり、計画時点でバレれば反発があることが分かっていたわけです。
設置前に市民から反発があれば、そもそも設置自体が許可されなかったはずです。もうダメじゃないですか、この時点で。
