北朝鮮、韓国高官の訪米を「ご主人様の怒りを鎮めるため」と非難した話

先日、韓国の現政権を「親日売国奴」認定した北朝鮮が、今度は韓国の外交・安保担当者たちの訪米を非難しました。
訪米の目的は「終戦宣言」についての議論だったようです。


朝鮮Bizの記事からです。

終戦宣言を議論しに米に行った...北「外勢に使用人のように仕えて卑屈に行動」


北韓メディアが26日、ソ・フン青瓦台国家安保室長とソ・ウク国防部長官、チェ・ジュンゴン外交部第1次官など、韓国の外交・安保当局者の最近の相次ぐ米国行きを非難した。

北韓の対外宣伝媒体「メアリ」はこの日、「昨年9月から(韓国の)外交部と青瓦台、国防部などのいつくかの高位の当局者が米国の敷居に火が付くほど競争して米国に通っている」、「外勢に依存して命綱を継続するほかない者たちの、自尊心のない醜態」とした。
媒体は「南朝鮮(韓国)の言論や専門家によると、これらの米国訪問は『韓米同盟不和説』を鎮めるため」と「米国が疑いの目を向けることに不安を感じた韓国当局が、主人の怒りを鎮めるために外交・安保関係者を次々と米国に派遣しているということだ」とした。

(後略)

朝鮮Biz「종전선언 논의하러 美갔는데..北 "외세 할아비처럼 섬기며 비굴하게 처신"(終戦宣言を議論しに米に行った...北「外勢に使用人のように仕えて卑屈に行動」)」より一部抜粋


タイトル原文の「할아비」を「使用人」と訳したことについてちょっと補足。

「할아비」は、北朝鮮の言葉で「할아범」の意味です。この「할아범」は「할아버지(おじいさん)」の謙譲表現なので「じいさん」とか「じじぃ」みたいなノリで良いと思うのです。
以前は「年寄りの男の使用人」という意味でも使われていたそうです。そこから、「腰が低い老人」という意味合いもあるようです。
年功序列意識の強い韓国社会では、年寄りは堂々と(偉そうに)しているものなのに、ペコペコ腰が低いのは情けないと見なされますから、多分に侮蔑的なニュアンスが含まれていると思います。
ただ、日本語だと「じいさん」とか「じじぃ」と言っても、相手を侮ったり乱暴な言い様にはなっても「腰が低い」とか「誰かに仕える」イメージにはならないので、「使用人」としておきます。


さて、訪米した一団は「終戦宣言」について議論するために行ったわけです。
韓国は終戦宣言第一主義で、それから非核化という流れを主張しています。
それに対して米国が最重要視しているのは非核化。その流れの先に終戦宣言はあるかもしれない、という立場です。

米韓の意見のすれ違いをもって外勢に(へつら)っていると非難するのはズレているようにも思えますが…。


もしくは韓国の努力の方向性に対して「違う、そうじゃない」と言っているのかもしれません。

というのも、終戦宣言は北朝鮮にとって、むしろ邪魔だろうからです。
なぜなら、武力挑発というカードが使えなくなってしまいます。(...まあ、ちょっと弾道ミサイル飛ばすくらいなら韓国は目溢しをしてくれそうですけれど)
むざむざ自分から手足を縛りたいとは思わないでしょう。
ですので終戦宣言は現在、韓国以外望んでいないと思うのです。