北朝鮮が「米国と仲良くしたい」と欧州議会に仲介を頼んでいた話

明けましておめでとうございます。
新年早々一発目でなんですが、今年も朝鮮半島の状況からは目が離せないかもしれません。

昨年の米大統領選直前あたりに北朝鮮のベルリン駐在大使館がアポを取り付け、12月に欧州議会関係者とのオンライン会談を実施、「米国との良好な関係を望む」と言ったそうです。


朝鮮日報の記事からです。

北、欧州議会側に「米国と良い関係を望む」と数回言及


北韓当局が昨年12月の欧州議会との接触で米国との関係改善を望む意思を明らかにした、とウォール・ストリート・ジャーナル(WSJ)が報じた。

報道によると、昨年11月に行われた米大統領選挙を数日後に控え、北韓はドイツ・ベルリン駐在大使館を通じて欧州議会韓半島関係代表団と接触した。駐ベルリン北韓大使館は英国の欧州連合EU)脱退決定後、ロンドンではなく北韓の欧州関係の「ハブ」の役割をしている。

この接触で12月初めに韓半島代表団長のルーカス・マンデル議員と駐ドイツ北韓大使の間で非公式なオンライン会議が開かれた。約1時間行われたこの会議で北韓は「米国が敵対政策を中断するなら強力な関係を構築するのが目標」と数回明らかにし「米国と良い関係を結ぼうと思う」と述べた。

(中略)

今回の言及は、バイデン米次期大統領の就任を控えたものであり、次期米国政府発足後、米朝非核化対話に再びエンジンをかける可能性があるという解釈も出ている。バイデン次期大統領はドナルド・トランプ大統領とは違い、低い段階の実務交渉からはじめ「原則に基づいた外交」を復元するという立場を明らかにしている。

朝鮮日報「北, 유럽의회 측에 “미국과 좋은 관계 원해” 수차례 언급(北、欧州議会側に「米国と良い関係を望む」と数回言及)」より一部抜粋


英国のEU脱退が決まった後は駐ベルリン大使がEUとの窓口を務めています。
ので、これは事実上の仲介依頼、米国の次期政権への伝言でしょう。
北朝鮮として一番避けたいのは、バイデンさんが副大統領と務めたオバマ政権当時のように「戦略的忍耐」が復活することでしょうから。
「戦略的忍耐」とは北朝鮮が自主的に非核化するまで対話に応じず譲歩もしない、という姿勢です。事実上の「放置」です。「傍観」とも言います。

記事では触れられていませんけれども、ずっと「米朝の仲介役」の顔をしていた韓国は完全に立つ瀬がありません。
間もなく任期切れの大統領に飴を与えても仕方がないと見限られたのかもしれません。