「中国共産党創立祝賀は民主主義国家の大統領の言うことじゃない」という話

日本は深夜に菅さんとバイデンさんとの電話会談が実施され、尖閣の安保適用確認と北朝鮮の非核化および拉致問題の早期解決について協力する旨、ホワイトハウスの公式発表にもきちんと掲載されました。とりあえず一段落でしょうか。

前回のトランプ政権の際は、日本の翌日に韓国との電話会談が行われています。韓国はこの辺の順番にものすごく敏感で、日本の電話会談についても報道されています。(主に日本メディアの報道を取り上げて「慰安婦・徴用工の意見交換は日本が一方的に言ったに違いない」的なものですが)

今回の韓国との電話会談はどうもまだ予定が立っていないようです。中央日報が「いつベルが鳴るのか」とヤキモキしつつ、過去、朝鮮半島問題が米国政府内で「軽視」されていた時期の電話外交の順序についてブチブチ言っています。
でも、今回後回しにされているのはムンさん自身の自業自得かもしれません。
ムンさんは26日に中国の習近平さんと電話会談を行い、その席で中国共産党創立100周年を「心からお祝い」しているのです。



ペン・アンド・マイクの記事からです。

米専門家ら直撃弾「ムン大統領の『中国共産党創立祝賀』発言は自由民主主義国家の大統領の言葉ではない」

(前略)

米中央情報局(CIA)分析官を務めたス・キム*1ランド研究所政策分析官は28日(現地時間)、自由アジア放送(RFA)に対し、「ムン大統領のこうした発言は『民主主義対共産主義』そして米国と中国に対する彼の立場について疑問を抱かせる」と指摘した。

キム分析官は「ムン・ジェイン大統領の祝賀発言は自由民主主義国家の大統領として中国共産党(CCP)を支持するように見える」、「これは自由民主主義という韓国を統べる理念と相反するもので、韓国の同盟である米国をはじめ、他の国々の眉をひそめさせる」と話した。

彼女は「ムン大統領の発言が純粋に米国と中国の間でバランスを取るために行われたものかどうか考えなければならない」とし「例えそうした目的だとしても、共産主義あるいはその遺物を支持するような発言をあえてする必要はない」と述べた、とRFAは伝えた。

マーク・フィッツパトリック元米国務副次官補(非拡散担当)は28日、RFAに「ムン大統領の発言は形式的な祝賀の言葉である可能性があるが、『心からお祝いする』という表現は虚飾的で過度に媚びる言葉」としこの発言で米国と中国との間でバランスを取ろうとするものなら「間違った」と強調した。
フィッツパトリック元副次官補は「米国は韓国の唯一の同盟国であり、中国は自由に反対する弱者を一党共産主義体制をもって苦しめる隣国」とし「韓国が米中間でバランスを取るのは理屈に合わない話で韓国の選択は米国でなければならないことは明らかだ」と述べた。

アレクサンダー・バーシュボウ元駐韓米国大使も28日、RFAに対し「ムン大統領の発言は地域および世界的に行われている中国共産党の攻撃的で不安定な徴発政策を無視するようだ」とし「このため、米国の民主党共和党の関係者すべてに疑問を呼び起こしそうだ」と述べた。

(中略)

一方、デトラニ前6ヵ国協議次席代表はRFAに対し「中国は韓国の隣国であり、北韓問題を平和的に解決すべき重要な国だという脈略からムン大統領のこの発言は適切なものとみられる」と述べた。

ハリー・カジアニス国益センター局長もRFAに対し「ムン大統領の発言は浮上する強国・中国と北韓問題を扱う上で中国が必要な彼の地政学的現実を反映する」と述べた。

(後略)

ペン・アンド・マイク「미 전문가들 직격탄 “문대통령의 ‘중국공산당 창립 축하’ 발언은 자유민주주의의 국가 대통령 할 말 아냐”(米専門家ら直撃弾「ムン大統領の『中国共産党創立祝賀』発言は自由民主主義の国家大統領の言葉ではない」」より一部抜粋


朝鮮日報によるとムンさんはこのとき「習近平首席の強固な指導の下、中国が防疫の成功を収め、全世界の主要国の中で唯一プラス成長国となった」、「中国共産党の創立100周年を心からお祝いする」と伝えたそうです。

予定は未定ながらムンさんはバイデンさんとの電話会談を控えています。中国側の意図は見え見えですね。けれど問題はムンさんの方です。
なぜこのタイミングでの中国との電話会談を受けたのでしょう?
なぜわざわざ「韓国は中国寄り」と受け取られかねない行動をするのでしょう?
脳内お花畑の本当にうっかりさんなのでしょうか?それとも、例えそう見られたとしても上手く立ち回れるという自信があるのでしょうか?

それとも自身の大統領としての「実績(レガシー)」と考えている「南北平和の進展」に拘るあまり、米国ではなく中国の力を借りて成し遂げようと方向転換を図ったのでしょうか?


*1:Soo Kim