北朝鮮は「最も自由のない国」の一つという話

米国ワシントンに本部を置く国際人権団体フリーダムハウスが「2021世界の自由度報告書(Freedom in the World 2021)」を発表しました。
政治的自由(40点満点)、市民的自由(60点満点)の合計100点満点で評価されます。

報告書は北朝鮮を「最も自由のない国」の一つに挙げました。発行以来、49年連続の最下位圏だそうです。


VOAの記事からです。


フリーダムハウス「北韓、世界で最も自由のない国」


(前略)

ワシントンに本部を置く国際人権監視団体フリーダムハウスは3日、「2021世界の自由度報告書」を発表し、北韓の自由の状況が世界でも最悪の中の最悪だと指摘しました。
北韓は政治的自由で0点、市民的自由で3点、総合点は3点でした。最高点は100点です。

フリーダムハウスは調査対象210ヵ国と自治領のうち点数が最も低い12ヵ国を「最悪の中の最悪」とし、そのうち北韓より点数が低いのは4ヵ国に過ぎませんでした。
シリアが1点ずつ低く、エリトリア南スーダントルクメニスタンが2点でした。

北韓はフリーダムハウスが世界の自由度報告書を初めて発表した1972年以来、49年連続で世界最悪の国家から抜け出せずにいます。
フリーダムハウスは昨年発表した「北韓国家報告書」で北韓が王朝のような全体主義独裁政府が率いる一党国家だと評価しました。監視が蔓延し、恣意的逮捕や拘禁が公然と行われ、政治犯に対して過酷な処罰を下すということです。

また、政治犯収容所を運営し、拷問、強制労働、飢餓などの残酷な行為を行っていると明らかにしました。そして「最近、小規模の私的な経済活動をはじめ、社会的・経済的変化が観察されているが、依然として広範囲で深刻かつ組織的な人権蹂躙が続いている」と指摘しました。

一方、フリーダムハウスは2020年に致命的な伝染病や経済的、物理的な不安定、流血が世界を襲った中で民主主義の守護者が大きな打撃を受けたと評価しました。

(中略)

国別では210の調査対象の内、83ヶ所が自由な場所、63ヶ所が部分的に自由な場所、そして64ヶ所が自由がない場所と評価されました。
米国は100点満点中83点で前年より3点下がりました。
韓国も3年連続83点を記録しました。

VOA「프리덤하우스 "북한, 세계에서 가장 자유 없는 나라"(フリーダムハウス「北韓、世界で最も自由のない国」)」より一部抜粋


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フィンランドノルウェースウェーデンは100点です。
ニュージーランドが99点、オランダ、ウルグアイ、カナダが98点、オーストラリア、アイルランドルクセンブルクデンマークが97点、ベルギー、日本、ポルトガル、スイスが96点です。

日本の点数は昨年と同じです。東北アシアの中で90点以上を貰えたのは日本と台湾(94点)だけです。
コロナ禍で色々と不自由を感じることもあるでしょうが本質的な自由は損なわれていない、ということでしょう。

日本の点数内訳は政治的自由が満点の40点、市民的自由が56点です。
減点部分は、DV問題やマイノリティーへの配慮・保護、ヘイト問題など。後は特定秘密保護に関する法律の曖昧さ(恣意的運用への懸念)などがあるようです。

記事では北朝鮮にフォーカスした内容になっていますが、実は中国もスコアは低いです。政治的自由-2、市民的自由11、総合9で北朝鮮と同じく「最悪の中の最悪」の一つに選ばれています。
そもそも中国は共産党一党独裁で選挙が無いですから政治的自由の点数がほぼ0なんです。唯一、公職腐敗に対する措置で1点入っています(習さんは腐敗撲滅キャンペーンをしているので)。
けれど、ウィグルや内モンゴル自治区に対する「文化的破壊」や「民族構成を意図的に変更」するような企てに対して-3が付いてます。

市民的自由については集会の禁止や労組問題、政府による強固な監視など「自由にものが言えない社会」であることから点数が低いようです。