韓国大統領選挙の争点は「どちらがより悪か」という話

韓国大統領選挙までちょうど一ヶ月です。 数値は調査会社によってマチマチですけれど1位ユンさん、2位イさんは変わりません。積極的にユンさんを支持している、というより「どっちがマシか」で選ばれている感はありますが...。

というのも、ペンアンドマイクの調査によると「どの候補者の家族に道徳的問題があると思うか」という質問に49.4%がイさん、43.6%がユンさんの家族に道徳的問題がある、と答えたのだそうです。
こんな世論調査が行われること自体が妙な話なんですけど、米国ジョージ・ワシントン大学の韓国政治専門家の分析によると今回の選挙は政策ではなく、「どちらがより悪か」というのが争点となってしまっているとのことです。

 

 

聯合ニュースの記事からです。

WP「韓国大統領選、スキャンダル、口論、侮辱に塗れる...歴代最悪」


米紙ワシントン・ポスト(WP)が来月9日に行われる韓国の大統領選挙について「国内外で重要な選挙」としながらも「醜聞と口論、侮辱に塗れている」と8日(現地時間)報じた。

(中略)

WPは「韓国人は政治スキャンダルに慣れている」とし「パク・クネ前大統領は2017年に権力濫用の疑いで弾劾され、シャーマンが政治に介入したという疑惑も受けた」と伝えた。
続いて「来る大統領選挙は『非好感の選挙』と呼ばれるほど新たに歴代最悪に到達した状態」とし「(両候補をめぐる)論争が果てしなく続いて有権者たちは疲れているという世論調査が出ている」と評価した。

(中略)

WPは「今回の大統領選挙は国内では所得とジェンダー問題を巡る紛争が深刻化し、国外では韓国の文化的・経済的影響力が大きくなる中で北韓と中国、米国、日本との関係で未来を形成しなければならない重要な選挙」と評価した。

にもかかわらず、両候補は実質的な政策討論の代わりに脱毛治療の健康保険適用や喫煙者権利の拡大といった政治的迎合だけがある」と批判した。

(中略)

米国ジョージ・ワシントン大学国学研究所の韓国政治専門家であるダルシー・ドラウトは「今回の選挙は『どちらがより悪か』という枠に縛られており、有権者の立場では自分が選択した候補が勝っても満足することは出来ないだろう」とWPに述べた。

さらに、韓国は歴史的に政党体制が弱く、以前から公約よりも候補個人の特徴が大統領選挙を主導しているとし、有権者が政治に対する不信を感じるなど、このような政治体制の短所が今回の選挙を通じて顕れていると分析した。



聯合ニュース「WP「韓国大統領選、スキャンダル、口論、侮辱に塗れる...歴代最悪」(WP "한국 대선, 추문·언쟁·모욕으로 얼룩져…역대 최악")」より一部抜粋

対立候補へのネガティブキャンペーンやスキャンダル報道についてはアメリカさんも人のこと言えんでしょ、と思わなくもないですが、まともな政策討論がなかったり脱毛治療の保険適用という大統領選の争点としては不思議な公約が掲げられているのは確かです。

大統領が変われば全て「リセット」とのやり方も、大統領個人の立場、認識が政党による政治より前面に出てくるから、と考えれば納得いくように思えます。