在韓米軍の防衛費分担費交渉の話

在韓米軍の防衛費分担の交渉が一段落ついたらしいのですが、フタを開けてみればトランプさんの時に散々揉めていたよりも引き上げ率が高くなったそうです。

バイデンさんは同盟強化を名目に掲げていますから本来であれば韓国側が交渉で有利なはずなんですけどね。
事あるごとに「対北政策は米国の協力が不可欠」を強調しすぎて足元を見られたのかもしれません。


オーマイニュースの記事からです。

[韓米防衛費交渉案発表]南北関係改善が急がれる韓国、トランプのときより多く渡した


問題が多かった韓米防衛費分担金交渉案が「6年間で13.9%引き上げ」であることが分かった。これまでマジノ線とされてきた13.0%を超える水準であり、衝撃として受け止められている。
更にトランプ政権時代の2020年3月に暫定合意したものの、トランプ大統領の拒否により座礁した当時の引き上げ額は13.6%だった。トランプの時よりも今回の交渉案の引き上げ率が高くなったわけだ。

外交部は10日、在韓米軍の駐留費用に関する韓国側の負担額を決定する第11回防衛分担特別協定(SMA)の具体的な内容を公開した。

(中略)

外交部はまず今回の協定を2020年から2025年までの6年間有効な多年度協定だと明らかにした。
このうち協定無しで進んできた昨年度(2020年)の防衛費総額は前年の2019年度水準(1兆389億ウォン*1)で凍結することを決めた。

(中略)

続いて今年(2021年)の分担金総額は昨年に比べ13.9%増の1兆1833億ウォン*2で合意した。
政府は「12.9%は▲2020年度国防費増額率7.4%と▲防衛費分担金人件費最低割合拡大に伴う在韓米軍韓国人勤労者人件費増額分6.5%を足したもので、13.9%という数値は制度改善に伴う人件費増額分を勘案した例外的な増加率だ」と説明した。

(中略)

政府は今回の合意で「両国はバイデン政権発足以後、主要同盟懸案を早期に円満に解消することで堅固な韓米同盟が健在であることを誇示した」と付け加えた。

(中略)

暫定合意案がトランプ元大統領によって断られた後も大統領府は「13%がマジノ線」という態度を堅持してきたし、カン・ギョンファ当時外交部長官も国会で「その金額が韓国としては可能な最高水準」と明らかにしたこともあった。
そのため、バイデン政権に代わって2度目の会議で妥結した今回は少なくとも13%は超えないという期待があった。韓国人労働者の人件費が上がったためとはいえ「同盟を強奪しない」と述べたバイデン政権がむしろ重くなったという批判が提起される理由だ。

ソン・ヨンギル国会外交統一委員会委員長(共に民主党)も9日「バイデン大統領が候補時代に50億ドル要求するトランプ大統領を批判しながら『同盟を強奪するもの』と述べたが、大統領になってからはトランプ政府がしてきたことを否定しなかった」とし「利益をだまし取る姿ではないか」と嘆いた。

(中略)

来年から4年間、防衛費の引き上げ率を国防費の引き上げ率に連動させるのも特恵だという指摘が出ている。

(中略)

韓国銀行が発表した今年の消費者物価は1.3%上昇する見通しだ。しかし2021〜25年の国防中期計画上、国防費増加率は平均6.1%となっているため、少なくとも毎年6%以上の年間分担金上昇率が保障されるということだ。
多年契約を締結しながらも毎年総額を引き上げることも議論の余地があるが、それも米国側に最も有利な方式で引き上げるものだ。

平和統一研究所のパク・ギハク所長は「日本の場合、通常5年間協定を締結するが、一旦総額が決まれば協定期間内は概ねその水準を維持する」とし「現行の日米特別協定の場合、防衛費分担金は2016年に1920億円から始まり、2020年に1993億円で終え、5年間で年平均1.0%上がっただけ」と述べた。

(後略)

オーマイニュース「[한미 방위비 협상안 발표] 남북관계 개선 급했던 한국, 트럼프 때보다 더 많이 내줬다([韓米防衛費交渉案発表]南北関係改善が急がれる韓国、トランプのときより多く渡した)」より一部抜粋


「堅固な韓米同盟が健在であることを誇示した」、これのためな気がします。
米韓軍事演習は縮小実施(シュミレーションのみ)、対北政策での協調が上手くいっていない、日韓関係が上手くいっていない、クアッドに参加していない...この状況で韓国が韓米同盟の存在感を示すためにはこれしかカードが切れなかったのかな、と。

ちなみに2020年以降の日本の分担費は1年だけ暫定的に現行水準を維持することで合意され、防衛省は2017億円の予算を計上しています。翌年以降は交渉継続だそうです。
韓国の失敗(?)を参考に同じ轍を踏まないように気合い入れてお願いします。

*1:約989億円

*2:約1126億円