「北との交渉では人権問題も扱わなければならない」という話

トマス・オヘア・キンタナさんは北朝鮮の人権状況に関する国連特別報告者です。
最近、北朝鮮に関する報告書で韓国について言及し、「北朝鮮との経済的、人道的協力も人権が基本となるシステムが結び付かなければならない」、「北朝鮮との交渉では人権問題も扱わなければならない」と強調したそうです。

まるで韓国が北の人権侵害から全力で目を背けているかのような言い方です。(実際そうですが)
ただ、韓国統一部の言い分では「実際の状況と違う」んだそうです。


聯合ニュースの記事からです。

統一部「北韓人権増進のために国際社会と協力して努力する」


統一部は11日、「国連など国際社会と協力し、北韓の人権が実質的に増進されるよう政府が出来るだけ努力をしていく」と述べた。

統一部当局者は同日、トマス・オヘア・キンタナ国連北韓人権状況特別報告者が10日(現地時間)提起理事会が進行中の国連人権理事会に提出した報告書で、韓国政府に北韓人権関連韓国事項を提示したことに対する立場を問うと、このように答えた。

(中略)

キンタナ報告者はこの報告書で「北韓と交渉する際は人権問題を含めなければならない」という内容をはじめ、北韓人権改善のための提言を記載した。ここには通信の自由に対する制限を下げ、北韓住民との交流を円滑にしなければならないという内容も含まれている。
これを巡り、一部で事実上「対北ビラ禁止法」(南北関係発展に関する法律改正案)を批判する勧告事項という指摘が出たのに対し、この当局者は「今年新たに提示された勧告ではなく、2019年と2020年にもほぼ同じ表現の勧告事項があった」と反論した。
「この勧告は2018年に南北関係が様々な形態の会談を通じ活性化され、南北間の人的交流も以前より拡大するように様々な制度的基盤を改善・整備しろという趣旨と理解する」とし「政府はこれを念頭に置いて南北交流協力法改正などを推進してきた」と説明した。

北韓との経済・人道的協力時、「人権に基づいた枠組み」に基づいて行われなければならない、という勧告については「韓国政府がこの勧告と異なる立場であっても、この勧告の履行について躊躇しているとの批判は実際の状況と異なる」と説明した。

そして統一部が世界食料計画(WFP)や国連児童基金ユニセフ)と対北韓事業を進める際、業務協約(MOU)などに人権に基づいて事業を進めるという内容を明示してきたという点を強調した。

聯合ニュース「“통일부 "북한인권 증진 위해 국제사회와 협력해 노력할 것"(統一部「北韓人権増進のために国際社会と協力して努力する」)」より一部抜粋


「いや、待ってくれそれは誤解だ。我々は人権に基づいて支援事業を進めている」ということのようです。

でも多分、キンタナさんが言っているのはそういうことじゃないんじゃないかなぁ?という気がします。微妙に論点がズラされているように感じるのは気のせいでしょうか?
人権に基づいた枠組みで人道的支援を行え、と言っているのではなく北朝鮮に対して人権問題を提起しろ、と言っているのではないかと。
経済的支援も人道的支援も、北朝鮮の人権改善に結びつかなければ意味がないということです。
ですが韓国のやり方だと、北朝鮮による人権侵害の尻拭い(肩代わり/穴埋め)を国際社会や国際NGOが行うことが目的になってしまっていて、根本的な解決になっていません。底の抜けた桶に水を注いでいるようなもんです。