ムン政権は「日本に関連した問題なら科学的根拠を無視して感情的に反発する」という話

「韓国人に生まれなくて良かった」な元駐韓大使の武藤正敏さん、韓国でも相当嫌われております。
雑誌の寄稿文は何度か読んでいるのですが、著作は読んだことがありません。そのため聞きかじった程度にしか主張は知らないのですけれど、ムンさんに対する評価...
北朝鮮しか頭にない」
「人事を見ると親北政策を推進しようとする意図が見える」
「ツートラック外交を強調しているが市民団体の抵抗を抑えることは難しいだろう」
「経済政策は門外漢」
...などは非常に適切だったのではないかと思います。流石と言いますか、大使として肌感覚で韓国を知ってこられたんでしょうね。

そんな武藤さんですが、福島原発の処理水に対するムン政権の「反応」についてJBPressに寄せたコラムが取り上げられていました。


内容はこちらで読めます。一言で表すと「韓国政府も処理水による影響はないと評価しているのに日本を猛批判するムン政権。都合よく事実を歪曲するため、まともな交渉が難しいダブルスタンダード」こんな感じです。


この寄稿文に対するオーマイニュースの記事です。

「韓国は怪談の国」...汚染水放出世論をあざ笑う嫌韓たち


「やっぱりか、韓国『処理水、影響なし』でも日本攻撃」
「韓国は怪談の国」

ムン・ジェイン大統領が去る16日、日本の福島原発汚染水の放出と関連して国際海洋法裁判所(ITLOS)に提訴を検討するよう指示した中で、日本「嫌韓」関係者が相次いでこれを非難する論評を出している。

日本国内の「韓国専門家」として知られる武藤正敏元駐韓大使は同日午後、日本のインターネットメディアである<ジェイビープレス(JBpress)>に「ムン・ジェイン政権が科学的根拠を無視して感情的に反発している」、「ムン・ジェイン政権はこれまで自分たちに好きなように事実を歪曲してきており、このような政権と信頼関係を作るのは非常に難しい仕事」とし、猛非難した。

(中略)

武藤元大使は「日本政府が福島原発から出た汚染物から放射性物質を除去した多核種処理設備(ALPS)処理水の放出を決定した後、政界やメディア、漁業関連団体が連日日本政府に対して非難し、(韓国に)日本批判の嵐が吹き荒れている」と書いた。続いて「汚染物から放射性物質を除去しても『トリチウム』は除去されないため心配の声が出ているが、トリチウムは雨水、海水、水道水にも含まれており、汚染水によってトリチウムが対内に入ってきてもその量は自然放射線による年間被曝量と比較すると非常に低い」と指摘した。

(中略)

また、「国民の力のアン・ビョンギル議員によると、韓国政府の省庁合同タスクフォース(TF)は昨年10月、「福島原発汚染水関連の現況」と題する報告書を出したが、専門家は『トリチウムが海に放出され、数年後に韓国海域に到達しても移動中に拡散し、有意な影響はないと予想される』と書いた」と明らかにした。

武藤氏は「それでも総理傘下の国務調整室は『専門家の意見は政府の立場とは違う』と明らかにした」、 ムン・ジェイン政権は、日本に関連した問題なら科学的根拠を無視して感情的に反発する場合がある」 と非難した。そして「ムン・ジェイン政権は日韓関係に限り、いつも感情的に対応して国内世論を刺激してきたが、そうした思考回路が事態の解決を拗らせている」と皮肉った。

(中略)

それだけではない。黒田勝弘産経新聞ソウル駐在特別記者兼論説委員も福島汚染水海洋放出について 「韓国は怪談の国」 と非難を浴びせた。17日に産経新聞内の「ソウルからヨボセヨ」というコーナーで論評を出し、「韓国が日本の福島第一原発処理水問題に大きな関心を示している」とし「最近、食品・環境汚染に対する国民の関心の高まりが背景にあるが、それよりも日本に被害意識があり、日本の問題なら非難と興奮が高まるため」と分析した。
さらに「韓国では、愛杭的なうわさは『ケダム(怪談)』という」、「過去、米国産牛肉を食べると狂牛病にかかりやすい、というテレビ放送で大規模なデモが起き、当時、李明博政権が倒れかけたほどだ」と指摘した。また「北朝鮮の魚雷攻撃が原因の『天安』沈没事件でも『信じられない』とし、北朝鮮の犯行を否定する怪談が横行した」と批判した。

オーマイニュース「"한국은 괴담의 나라"..오염수 방출 여론 비웃는 혐한 인사들(「韓国は怪談の国」...汚染水放出世論をあざ笑う嫌韓たち)」より一部抜粋


あざ笑うつもりはサラサラありませんけれども、ちゃんと科学的見地からの話をしましょうよとは思います。
残念ながらこの記事でも「嫌韓」と一括りにして済ませるだけでまともな反証はありません。

トリチウムの放流は韓国原発でも行われていることなのに、なぜ日本(福島)は駄目なのか?そのあたりの科学的根拠をきちんと示した上での反論・反証が、政界からもメディアからも出てこないので「ただの難癖」、「批判のための反対」と思えてしまうのです。
TFの報告書は一昨日紹介した記事の件ですけれど、これも「日本に有利な報告書を出すなんてけしからん」と、一部の議員から批判の声があがっているという話ですし...。

最後に、訳に関して。
どうしようかと思ったのですけれど、記事中で「放射能物質(방사능 물질)」となっていた箇所は「放射性物質」としました。

日本語では「放射線」を出す物質のこと(セシウムとか)を「放射性物質」、放射線を出す能力のことを「放射能」と言います。よって「放射能物質」という言葉はありません。
韓国語がそのあたりの認識をどうしているのか、いまいち分からなかったので漢字ではなく意味重視にしました。