「募集兵中心に軍を転換」して「女性にも100日間の基礎軍事訓練を課そう」という話

20代男性のことを「イデナム(이대남)」と言います。
先日のソウル市長と釜山市長の補欠選挙で与党は惨敗しているのですが、この時にイデナムたちの票が大量に野党である国民の力に流れたようです。
そのせいなのか来年大統領選に出馬すると言われている共に民主党のパク・ヨンジン議員が男性だけでなく女性にも100日間の基礎軍事訓練を課すことを提案しているそうです。
それと同時に軍を「募集兵中心に転換しよう」とも主張しているそうです。「募集兵中心」なのに「女性にも兵役」...なぜ両立するのでしょう?


韓国経済の記事からです。

「女性も100日軍事訓練」..「20代男性」へ求愛の民主党


来年の大統領選挙に挑戦するパク・ヨンジン共に民主党議員が「男女平等服務制」を叫んだ。男女いずれも100日間の義務基礎軍事訓練を受けさせ、全体兵役資源を増やし、現在の18ヶ月の義務服務期間を廃止し、募兵制中心に軍を転換しようという主張だ。

政界ではイデナム(20代男性)有権者の怒りに直面し、民主党が軍服務や就職の過程で逆差別など、彼らの気持ちを狙った提案を出しているという解釈が出ている。

パク議員は今月19日に発刊する著書「パク・ヨンジンの政治革命」で募兵制転換と男女平等服務制を主張する内容を記した。同氏は18日、自身のフェイスブックを通じ「現行の兵役制度を募兵制に転換し、支援資源を中心に軍隊を維持するものの、全国民に男女問わず40日から100日程度の基礎軍事訓練を義務的に受けさせよう」とし「女性の軍服務を通じて義務服務期間を減らし、兵役対象を広げれば青年世代の経歴断絶*1の衝撃を減らし、社会的エネルギーの浪費も防げる」と説明した。

(後略)

韓国経済「"여성도 100일 군사훈련"..'20대 남성' 구애 나선 민주당(「女性も100日軍事訓練」..「20代男性」へ求愛の民主党)」より一部抜粋


韓国は日本以上の速度で少子化が進んでいますから、どこかの時点で兵役中心による人員資源確保には無理が出てくるでしょうね。徴兵は募集兵より練度と士気が低いというデメリットもありますし。

しかし、募集兵中心に軍を転換すると言いつつ徴兵制を撤廃するのではなく、女性にも兵役を課すという方向性になるのがなんだか不思議です。

まあ、韓国は国民皆兵を是としている国(確かそう)なので、徴兵制を「廃止」という発想自体があってはならないことなのかもしれませんが...。

しかし、その根底には「苦労しなくて良いようにしよう」ではなく 「もう一方(女性)にも苦労を背負わせて、みんなで苦労しよう」 という発想がある気がします。
プラス方向ではなくマイナス方向でバランスを取る感じです。
基準点がマイナスだから、そこから抜けた人は「ズルい」と見なされるんでしょうね。みんなで「損」しているはずなのに、その人だけ「損」していないわけなので。

*1:原文「경력 던절」となっているが恐らく「경력단절」の間違いと思われる。