「金大中 - 小渕宣言2.0」がまた出てきた話

金大中 - 小渕宣言2.0」の話がまた出てきました。場合によってハンギョレよりも左のカラーが濃く出ると言われる京郷新聞です。

結構長いのですが、読んでみると次のようになっています。

  • 日韓関係は「国益」を重視して考えなければならない。
  • 米国は日韓関係改善を望んでいる。(望まれている)
  • 日本は韓国と同じ経済秩序の国なので関係改善を望んでいる。(望まれている)
  • 国民が納得できる中長期的戦略が「金大中(DJ)-小渕宣言2.0」である。

こんな感じです。
ただ、最終的に「金大中(DJ)-小渕宣言2.0」でも限界がある、としており、結局何が言いたいのかよく分からないままボンヤリ終わっています。
両国とも夏に選挙があるけど、解決できれば選挙戦略が有利に進むよ!ガンバレ!5月のクアッド首脳会談はきっと良いキッカケになるよ!...みたいな。韓国はクアッドに関係ないんですけどね。

 



京鄕新聞の記事からです。

転換点が見えない韓日関係、このままと5年?


韓日関係改善を目指すユン·ソクヨル政府が発足前に暗礁に乗り上げた。日本は今年3月29日、歴史歪曲の表現などが盛り込まれた教科書293種に対する検定審査を終えた。

(中略)

実際、日本教科書検定問題は毎年3月になると起こる恒例行事だ。今回の事態をめぐり「日本がユン·ソクヨル政府との関係を狙ったというより、決まった計画によるもの」という専門家の分析が出ているのはこのためだ。しかし、波紋に対するユン次期大統領の行動をめぐっては様々な解釈が出ている。教科書問題が浮き彫りになる前日、相星孝一駐韓日本大使と会見し、「未来志向的な韓日関係を修復しなければならない」と強調した。また、問題が浮き彫りになった直後は「まだ当選者の立場なので、個別の外交事案に対する立場表明は不適切だ」と述べた。毎年3月に発生する韓日葛藤を知らなかったのなら情報力の問題であり、知っていたなら歴史認識に遺憾が残るところだ。
過去、日本政府が歴史問題に数回謝罪の意思を明らかにしたのは事実だ。同時に現在、日本政府が歴史問題を歪曲しようとしているのも事実だ。ユン·ソクヨル政府は、この二つの事実が作る矛盾の中で韓日関係の改善を言う。状況はさらに複雑にならざるを得ない。

(中略)

韓日関係の改善は、必ず国益に基づいて行われなければならない。単に「政府が韓日関係を悪化させたため」という名分にはならない。このため関係改善の最初の根拠は安保問題だ。米国バイデン政府のインド·太平洋戦略は中国、北韓などを域内の脅威要素と見る。代案は同盟国との連帯だが、長い間北東アジアの安保は韓日米三角安保体制が中心となった。韓国と日本は同盟関係ではないが、それぞれ米国との同盟を通じて結ばれた構造だ。ソン·ヨル東アジア研究院院長は「韓日関係が行き詰まっている状態は韓国外交全般に負担として働く」とし「直ちに安保的側面で韓日協力がまともに作動しなければ北韓問題を扱うのに困難になる」と述べた。さらに「米国にとっても韓日協力体制が弱まれば、対中牽制に必要なレバレッジ確保が難しくなる問題がある」と付け加えた。

(中略)

ユン次期大統領は経済と安保が一つになる「経済安保時代」を何度も強調した。米国は自由主義経済秩序を運営する国家間の供給網再編を急いでいる。日本は韓国と同じ経済秩序を運用する国という点で関係改善が必要かもしれない。また、輸出主導型経済を運営する韓国は、域内経済協力参加のために周辺国との関係を考慮しなければならない。ムン・ジェイン政府が推進中の包括的·漸進的環太平洋経済連携協定(CPTPP)への加盟が代表的だ。日本はCPTPPの主要参加国である。大統領選挙期間中、週刊京郷と会ったユン·ソクヨル陣営関係者も、CPTPP加入を肯定的に検討するという立場を明らかにした。
専門家らは国益だけを考慮すれば、韓日関係の改善が欠かせないと口をそろえる。問題は歴史問題で絡んだ国民の不快感が名分を圧倒するという点だ。パク教授は「韓日関係を単純に二国間関係だけで接近すれば、国民を説得するのは容易ではない」とし「よりマクロ的観点で国民が納得できる中長期的戦略が必要だ」と述べた。これに対してユン次期大統領が出した解答は「金大中(DJ)-小渕宣言2.0」だ。

(中略)

金大中-小渕宣言」も状況的限界はある。 謝罪に対する韓国の肯定的評価をめぐり、日本の保守勢力は「過去史問題に終止符を打った」と解釈する。「未来志向的な関係を目指す」という文章をめぐっても「韓国は日本に謝罪表明を要求しない」という見方がある。韓日関係の改善は過去の歴史問題を「周辺化*1」するという批判から自由ではない。

(中略)

韓国は今年6月の地方選挙を、日本は7月の参議院選挙を控えている。両国の政治日程が忙しく動いている状況で、韓日関係改善のきっかけを作ることは容易ではない見通しだ。ただ、5月の韓国大統領就任式と東京で開かれるクアッド首脳会談が第一の転換点になるという分析はある。

(後略)



京鄕新聞「전환점 안 보이는 한일관계, 이대로 5년 더?(転換点が見えない韓日関係、このままと5年?)」より一部抜粋

米国が主導するサプライチェーン再編において、韓国が果たせる役割(韓国の席)があること、これを前提としています。
しかし、記事の言うように「よりマクロな視点で」眺めれば、その韓国の席には台湾が座ることも可能です。というか、今まさに台湾が座ろうと積極的に動いています。
米国としても、席を用意しているのにいつまでも座らない韓国より、進んで座ってくれる台湾の方が話も弾むというものでしょう。すでに「韓国が(こちら側に)居たいなら居てもいいけど、席は自分で用意してね。あ、これは台湾の椅子だから」状態でもおかしくないのではないか?そんな気がしています。

韓国政府が本当に「国益」を考えて国民を説得するつもりがあるのなら、その辺りの現実を包み隠さずさらけ出す覚悟が問われるかと。

 

記事の太字部分を読んでいて感じたことですが、周辺国の都合を韓国に都合よく解釈しているように思えてなりません。
韓国が「どうする」ではなく、「周りが韓国を必要としている。だから関係改善の可能性がある(韓国は何もしなくて良い。あちらから望んでくる)」そんな風に読めるのです。

*1:物事の本質から外れていくこと。