米韓首脳会談、特にサプライズ無しだった話

米韓首脳会談が終わりましたが、特に面白みのある内容は発表されませんでした。
面白い(笑える?)という意味でなら、首脳会談前の方がイロイロあった印象です。
サムスン工場の視察の場でバイデンさんが協力会社の米国人に選挙で投票するよう呼びかけたり、ユンさんのことを「President Moon」と言ってしまってすぐに言い直したり。バイデンさん訪韓前に事前に現地入りしていた警護職員が酒に酔って暴行事件を起こして本国送還されていたり...。

それはともかく、ニュース1が共同記者会見でのユンさんの発言と、ホワイトハウスの発表した声明とをそれぞれ短く記事にしています。

 



ニュース1の記事から、まず共同記者会見での韓国側のまとめです。

ユン大統領「韓米経済安保対話新設...小型原発開発・輸出共同努力」


ユン・ソンニョル大統領は21日、「韓米は半導体・バッテリー・原子力・宇宙開発・サイバーなど、新しい産業分野で協力を強化していくことにした」と明らかにした。
特にユン大統領は「新型原子炉および小型モジュール原子炉(SMR)の開発と輸出増進のため、両国の原発産業界が共に努力していくことにした」と述べた。

ユン大統領は同日、龍山庁舎で開かれたジョー・バイデン米大統領との韓米拡大首脳会談が終わった後、共同記者会見で「私たちは経済が安保、安保が経済となる時代に生きている」としてこのように述べた。

(中略)

特にユン大統領は「その第一歩として、大統領室間の『経済安保対話』を新設し、サプライチェーンと先端科学技術など経済安保分野で両国が随時疎通し協力することにした」と述べた。

また「秩序でうまく作動する外国為替市場は、持続可能な成長と金融安定性に必須」とし「このため、私とバイデン大統領はさらに緊密に協議していくことにした」と話した。



ニュース1「尹대통령 "한미 경제안보대화 신설..소형원전 개발·수출 공동 노력"(ユン大統領「韓米経済安保対話新設...小型原発開発・輸出共同努力」)」より一部抜粋

IPEF参加確定という報道も出ていますし、「経済安保対話」新設云々はこの絡みでしょう。もしかしたら対中国について「韓国の立場を分かってくれ」と直訴するためのパイプかもしれませんが...。
しかし言っていることだけを見ると、安保と経済のツートラックをうたっていたムン政権時代と比べると大きな路線変更となっています。

外国為替どうこうの話はスワップでしょう。韓国側から要請したのかもしれません。
それでこれほどボンヤリした表現になったということは色好い返事が引き出せなかったのでしょうね。

 

同じくニュース1の記事から、ホワイトハウスの発表した声明のまとめです。

ホワイトハウス声明「韓米首脳、同盟強化・国際挑戦協力の約束」


(前略)

ホワイトハウスは同日、声明を通じて「両国首脳が韓米同盟を強化し、韓半島を超えてロシアのウクライナ侵攻などの、規則に基づく国際秩序に対する脅威など、国際的挑戦に対して共助することを約束したと明らかにした。

また、ホワイトハウスは両首脳が核心技術、経済およびエネルギー、安保、世界保健、気候変化などをはじめとする広範囲な最優先課題に対する協力を強化することを約束したと述べた。

この他にも、双方は立憲民主主義に対する共通の信念と個人の権利尊重、地域安保環境強化について議論し、北韓の脅威に対処するために抑止力を強化し、緊密な協力を続けることを約束したとホワイトハウスは伝えた。

(後略)



ニュース1「백악관 성명 "한미 정상, 동맹 강화·국제 도전 공조 약속"(상보)(ホワイトハウス声明「韓米首脳、同盟強化・国際挑戦協力の約束」)」より一部抜粋

無難にまとまったって感じです。
対北政策についてもあまり言及されていません。訓練の規模を強化する、というような内容はありましたが...。
バイデンさんがアジア歴訪で最初に韓国に行くと発表された時、対北政策重視へ舵を切ろうとしているのではないか、そんな話が一部で持ち上がったりもしていました。しかしこれを見る限り大した変化は無いようです。