米韓、国為替市場関連の協力強化を再確認するも今回も「通貨スワップ」に言及なしの話

FRB議長(日本の日銀総裁に相当)で今は米国財務長官のイエレンさんが訪韓しています。「今度こそ米韓スワップ」と期待する報道が出ていましたけれども、またもや何の言及も無く終わったそうです。
日程の中でバッテリー工場(LGだっけな)を視察された際に記者から質問があったらしいのですが、それにも一言も返答しなかったとか。

 



ニュース1の記事からです。

流動性供給措置など、多様な協力」...韓米通貨スワップ、どのように議論されたのか


韓国を訪問中のジャネット・イエレン米財務長官が訪韓初日の19日、ユン・ソンニョル大統領に続き、チュ・ギョンホ副首相兼企画財政部長官、イ・チャンヨン韓国銀行総裁など主要経済官僚たちと会った。

(中略)

企画財政部によると、チュ・ギョンホ副首相は同日、イエレン長官と会い、最近の金融・外国為替市場の動向を点検し、両国間の外国為替市場関連の協力強化を再確認した。

両国長官は「韓国内の外貨流動性状況はかつての危機時とは異なり、依然として良好で安定的だ」と診断した。だがグローバル金融市場流動性の急変動や域内経済安保危険要因などに言及し「外国為替イシューに対して先制的に適切に協力していくことにした」と明らかにした。

チュ副総理との出会いで韓米通貨スワップ再締結問題が議論されると期待されたが、会った直後に企画財政部側が明らかにした資料では「韓米通貨スワップ」という直接的な言及はなかった。

ユン・ソンニョル大統領も同日、イエレン長官に会った席で「両国首脳間の合意趣旨に従って、経済安保同盟強化の側面で外国為替市場安定のための多様な方式の実質的協力方案を両国当局間で深く議論してほしい」と言及した。しかし結局、主要経済官僚との議論で具体的な内容が「合意」されなかった可能性が大きいと見られる。

ただ、外国為替市場の不安定性と関連した協力が必要だという点は明確に言及した。特に企画財政部は「チュ副総理とイエレン長官は韓米両国が必要時『流動性供給装置』等、多様な協力方案を実行する余力があるということで認識を共にした」と明らかにし、今後議論が続く可能性があることを示唆した。

(中略)

通貨スワップを通じて外国為替市場内の安定化を図ることができるということには異見がない。通貨スワップは金融市場不安に備えて両国が通貨を交換できるようにする協定で、私たちの立場では基軸通貨であるドルを借りることができる一種の「マイナス通帳」の役割をする。最近、金融市場の不安定性が高まっている中でドル通貨スワップを締結するならば一種の「経済危機安全弁」の役割をすることだ。

(中略)

ただ、米国としては韓米通貨スワップ締結に大きな誘引動機がない。11月の中間選挙を控えたバイデン政権としては先月9.1%まで跳ね上がった消費者物価上昇率を下げることが最も急がれる課題だ。

ドル高現象は米国の輸入物価を下げるため物価安定に役立つ。ウォン・ドル為替レートが高ければ韓国製品を安い価格で買えるが韓米通貨スワップ締結で為替レートを下げあえて輸入物価を高める理由がない。

米国はグローバル金融市場にドルが足りない時ドルを供給する手段として通貨スワップを利用するが、今は米連邦準備制度理事会流動性を吸収する状況だ。そのため韓米通貨スワップに積極的ではないという分析が出ている。

イエレン長官の今回の訪韓も、イエレン長官本人が通貨スワップ締結の主体ではないという点もあるが、何よりもこのような経済状況のために慎重な姿を見せたものと予測される。

(後略)



ニュース1「"유동성 공급장치 등 다양한 협력"…한미통화스와프, 어떻게 논의됐나(「流動性供給措置など、多様な協力」...韓米通貨スワップ、どのように議論されたのか)」より一部抜粋

韓国の外貨準備高が減っています。2008年以来、最大の減少幅を記録したばかりです。これは当局が通貨防衛のために「介入」したためと見られています。(詳しくはこちら
そのため韓国国内から「通貨スワップを」との声が今まで以上に大きくなるのは分かるのですが、記事で話題になっている「流動性スワップ」はその名の通り、市場に出回るドルの流動性を維持するためにしか使えず、通貨防衛には使えないことになっています。
よって、仮に流動性通貨スワップが結べたとしても為替安定化にはさほど寄与しないか、一時的なものにしかならないのじゃないかなぁ、という気がしています。
流動性スワップがどういうものかは過去の記事で簡単に触れていますので興味のある方は参考までに。