2019年、脱北漁民強制送還事件の話

韓国で今、2019年に発生した脱北船員強制送還事件が再び取りざたされています。
イカ漁船の船員3名が労働環境の過酷さから船長を含む自分たち以外の船員16名を殺がいし、うち1名は北朝鮮で捕らえられ、残り2名は船で軍事境界線を越え韓国海軍に捕縛されました。
その後、取り調べの最中に韓国への帰順意思を示しましたが、海軍に発見されてから捕まるまで2日近く逃亡を繰り返しているなどの状況から「帰順意思に真正性なし」と判断され板門店を通じて北に強制送還されました。送還後、2人とも処刑されています。

この事件について6月に反憲法的との声があがり、人道的な観点から当時大統領(ムンさん)が統一部や国情院にどのような指示をしたか真相究明すべきだとの話になりました。
統一部、国防部、国情院などは「当時の判断は誤りだった」と言い出し、当時の責任者を告発したり捜査したりと手のひらをクルクルしています。
再調査の過程でこの2名の供述が大部分異なっていたことも分かってきており、ムン前政権の責任問題へと発展するかもしれません。

 



聯合ニュースの記事からです。

「脱北漁民2名を別々に尋問すると、証言が不一致...北送直後、共に処刑


2019年に発生した「脱北漁民北送」事件当時、北韓漁民2名の陳述が殺害人員規模をはじめ相当部不一致だったことが21日把握された。
これは「漁民2名を分離尋問したにも関わらず16人を殺害したという陳述が一致した」とし「殺人犯を北送」の正当性を主張してきた前任のムン・ジェイン政府関係者の主張と対立する。

(中略)

政府高位関係者はこの日、聯合ニュースとの通話で「漁民2名の証言が大きく違った」とし「まず殺害した人々の名前に関する記憶が異なり、これらの証言を土台に照らし合わせても全体規模が15人なのか16人なのかも把握できないほど違った」と明らかにした。
犯行手口や使用した道具に対する供述も異なる部分があったと同関係者は伝えた。

(中略)

一方、政府は同年11月5日、亡命意思を明らかにした北韓漁民2名を北韓に送還するという通知文を北韓に送ってから2時間後に金正恩国務委員長を釜山の韓・ASEAN特別首脳会議に招待する親書を送ったことが分かった。

(中略)

また当時、青瓦台は国家情報院などが報告した「亡命確認資料」という文書の題名を「越線報告書」に変更したことが分かった。



聯合ニュース「"탈북어민 2명 분리 심문시 증언 불일치…북송 직후 모두 처형"(「脱北漁民2名を別々に尋問すると、証言が不一致...北送直後、共に処刑)」より一部抜粋

記事へのコメントは1700件を超えています。

 

「信者たちには指令が下ったのか?言うことが無いので民生が先だとデマカセを話す議席170席の巨大野党のせいには誰もしないのか?」(共感2698 非共感458)

「だから金正恩によく見せようと人権を無視して脱北者を送還させたのでそうして死んだ。そういうことだよね?でも金与正に『茹でた牛の頭』って怒られて?wwww」(共感1648 非共感168)

「ムン罪人はスパイのような大統領だった」(共感1005 非共感184)

「帰順がなかったからってなんで嘘をついたんだ?2人が16人を血痕の跡も残さず殺すという話はなぜするのか?」(共感790 非共感67)

この件を紹介したのは韓国で大きな話題になっているというのがまずあります。
それと、国防部、統一部、外交部が揃って過去の政権で行った公的発表を「否定」したことを受けて、先週16日のSBSの記事に次のようなことが書かれていて、それが韓国らしいなという気になってしまったからです。

 

国防部に続き統一部、外交部が前政権でしたことを否定する発表をしました。2〜3年前の公式、半公式ブリーフィングで政府の外交安保報道官が公表した言葉がすべて偽りになりました。

それでは、国防部、統一部、外交部が今言っていることは真実でしょうか?もし5年後に政権が交代したら、また言葉を変えるかもしれません。2〜3年前の真実が今日偽りになったように、今日の真実は5年後に偽りになることがあります。今日の偽りは5年後に真実として復権されるでしょう。

その「5年後に言葉が変わる」を韓国はずーっと日本にやってきたんですよねぇ...。