韓国が「チップ4」に消極的なのは結局中国が怖いからという話

半導体協力強化を目指して米国が主導する「Chip4」、韓国政府は一時期「参加要請はない」としていました。あくまで「アイデア」程度の意見交換であり、これを参加要請と見なすには無理がある、と。
けれどその一方で、実は8月中に返答するよう回答期限を切られていたそうです。
参加するのかしないのか?→参加要請ない→嘘でした... この流れ、ホントすごくよく見ますねぇ...。

ユンさんは「中国が誤解しないよう事前によく説明しなければ」的なことも言っています。結局はユンさんも今までの大統領と同じで中国の顔色(だけ)が気になるようです。

 



東亜日報系の週刊誌、週刊東亜の記事からです。

半導体供給網「チップ4同盟」提案、韓が気軽に応じられない理由


「グローバル経済問題を解決し、サプライチェーンに伴う物価引き上げで打撃を受けないためには協力が重要だ。韓国は半導体やバッテリーなど、核心部品供給網で重要な役割をするだけに両国が互いに協力して供給網のボトルネック現象を解決しなければならない。米国はサプライチェーンで特定の勢力・国家に支配的権限が移ることを防ぐため、同盟国およびパートナーと共にフレンドショアリングを推進している」

ジャネット・イエレン米財務長官が7月19日、ソウル江西区麻谷洞に位置するLGサイエンスパークを訪問し、フレンドショアリングの重要性を強調した一部だ。「フレンドショアリング(friend-shoring)」は、友人(friend)と企業生産施設(shoring)の合成語で「信頼できる同盟国とパートナー同士でサプライチェーンを構築する」という意味だ。フレンドショアリングの目標は中国、ロシアなど米国と異なる価値観を持つ国々が核心原材料、技術または製品の市場優位を不当に活用し、米国と同盟国の経済を混乱に陥れる行為を防ぐことだ。

(中略)

LG化学は国内1位のバッテリーメーカー、LGエネルギーソリューションの大株主で、バッテリーを新成長動力にして育成してきた。イエレン長官の今回の歩みは、5月に訪韓したジョー・バイデン米大統領が初めての日程でサムスン電子平沢半導体工場を訪問し「韓米半導体同盟」を強調したことと一脈通ずる。

(中略)

米国のフレンドショアリング体制で最も重要な品目は半導体だ。米国は韓国・台湾・日本をまとめて、いわゆる「チップ(chip)4同盟」を構築するという計画を推進中であり、すでに3月に各国政府に同盟結成を提案した。米国側の戦略は半導体4ヵ国の協力を強化し、中国半導体産業に打撃を与え、主導権を守るということだ。米国は半導体設計技術分野で世界最高だ。韓国はメモリー半導体分野の最強者だ。台湾はファウンダリ(委託生産)分野で世界1位、日本は素材・部品・装備分野の強国だ。

(中略)

中国政府は25年までに半導体自給率を70%に高めるという目標をたて、半導体産業に莫大な資金を投入している。中国半導体産業は急速に成長中であり、昨年全世界で売上が最も急速に増えた半導体企業20社のうち19社が中国企業であることが分かった。2020年、20大企業のうち8社が中国企業だった点を考慮すれば成長の勢いがさらに速くなったわけだ。

(中略)

米政府は韓国政府側に8月末までにチップ4同盟への参加を決定するよう通知した。しかし韓国政府はややもすると中国半導体市場を失う可能性のため躊躇っている。韓国の昨年の半導体輸出額1280億ドル(約168兆ウォン)のうち、対中輸出は502億ドル(約66兆ウォン)で39%を占める。香港まで合わせると60%にもなる。さらにサムスン電子は中国の西安と蘇州で、SKハイニックスは無錫と重慶で、それぞれメモリー半導体生産工場を運営している。中国政府は官営メディアを前面に出して連日報復措置などを取り上げ、韓国のチップ4同盟への不参加を強く圧迫している。中国共産党機関紙「人民日報」の英字姉妹紙「グローバルタイムズ」は「中国市場と断絶するのは韓国半導体企業としては商業的自殺行為に他ならない」とし「米国の提案に韓国は『ノー』と答えなければならない」と主張した。同紙はまた「韓国が最大交易国である中国に対する米国の技術分野牽制に盲目的に参加する場合、輸出中心の韓国経済は大きな打撃を受けるだろう」と威嚇した。

しかし国際半導体専門家らは技術力争いである半導体産業の特性上、米国が主導するチップ4同盟から抜ける場合、韓国が却って大きな被害を受ける恐れがある、と指摘する。最も多くの技術と特許を保有した米国と半導体同盟を強化し、技術力をより一層育てることが未来の韓国の「生存秘訣」という話だ。ジェームズ・ルイス米戦略国際問題研究所CSIS)首席副所長兼戦略技術研究局長は「韓国は米国・日本・台湾との協力を強化し恩恵を受けることができる」とし「米国は技術力強化のための合法的競争と成長のためにチップ4同盟を作る」と強調した。ルイス副所長は「中国は現在の所、半導体を大量生産することが出来ず、韓国産半導体の購入を中断すると言えずにいる」とし「韓国は中国半導体市場での影響力を活用して対抗せよ」と助言した。

(後略)



週刊東亜「美 반도체 공급망 ‘칩4 동맹’ 제안, 韓이 선뜻 답하지 못하는 이유(米半導体供給網「チップ4同盟」提案、韓が気軽に応じられない理由)」より一部抜粋

クアッドやTTPのときなど、事あるごとに「日本が反対する」を使って韓国が加入できない理由付けをしてきていましたが、裏を返せばいついかなる場合も韓国は「誘われていた」あるいは門戸は「開かれていた」と言えます。
入るか入らないかは韓国の都合だったわけで、そこには常に中国への「配慮」があるんですね。うん、知ってた。

けれど考えてみてください。
中国は2025年までに(出来る/出来ないは別としても)半導体自給率を70%に高めることを目標としています。
ということは、遅かれ早かれ韓国は中国国内でのシェアを失うことになります。どっちにしろ見込みのない市場なら、そうなる前に切るのも戦略としてアリだと思いますけどね。
理想は上手に「後ろ足だけ掛けておく」ですけど、韓国ってそういうのあんまり上手じゃなさそう。後ろ足で砂を掛けるのなら巧そうですけど。

中国への輸出依存度が高い韓国に少なからぬ打撃があることは間違いないと思います。実はそこで日本との関係が大事になってきたはずなんです。
例えば台湾。中国が台湾産のパイナップルを輸入禁止にしたとき、日本が手を挙げました。
この中国による禁輸措置は今も続いていますが、日本の輸入量は今年は2500トンに上ると見られ、これは2020年のおよそ2倍です。
台湾のパイナップル輸出量は約4万トンですから全体量から見れば微々たる貢献です。でも困った時に少しでもフォローしてくれる市場が近くにあるというのは孤立無援よりずっとマシなはずです。

韓国はそうした支援をしてくれる市場が無い。これがどれだけマズイ状況なのか認識し、いざという時のフォローアップも含めて米国(+その他参加国)との交渉材料にどう組み込むか...中国に忖度するよりそっちに尽力した方が良いように思います。