Huaweiの最新スマホにSKハイニクスのメモリ...先端装備搬入猶予措置延長へ悪影響?な話

韓国半導体産業の回復は今年下半期...すでに第3四半期も残り1カ月を切っていますが...と見通されています。少し前にはNvidiaが前年同期比売上高2.0倍、営業利益13.6倍という決算レポートを発表し、いよいよかと期待されていましたが、実際はまだ韓国半導体に回復の気配はありません。

そんな中、先月中国Huaweiが発売したスマートフォン(Mate 60 Pro)にSKのメモリチップが使われている事実が明らかとなり物議を醸しています。
なぜなら米商務省は2019年5月にHuaweiをエンティティリスト(輸出管理規制に基づく禁輸措置対象リスト)に入れており、米国政府の許可なく米国企業から部品・技術などを輸出できないようにしているためです。
これは米国企業の部品・技術を使って製作された第3国の製品も規制対象に含まれます。

そして、使用が確認されたのは汎用のLPDDR5のDRAMNANDフラッシュメモリです。当初、ブルームバーグは規制前(2020年5月以前)に買い溜めしていたものを使ったという可能性も提起していましたが、 後に今年に入ってから製造されたものと確認されたそうです。(そもそもLPDDR5は2018年に流通し始めたものなので1年足らずで十分な在庫が確保できたとは思えません)

 



ハンギョレの記事からです。

「韓国半導体」、また足かせになるのか…ファーウェイのスマートフォンが招いた影響


(前略)

ファーウェイが先月末に発売したスマートフォンにSKハイニクスのメモリチップが使われた経緯はまだ五里霧中だ。8日、半導体業界と外信などによると、ファーウェイスマートフォン「Mate 60 Pro」に搭載されたメモリチップは、低電力ダブルレート5(LPDDR5)DRAMと、ユニバーサル・フラッシュストレージ(UFS)NANDフラッシュだ。全世界の関心が集中した「7ナノメートル(nm・1nmは10億分の1m)プロセッサ」チップセットとは全く異なる性格のは汎用メモリだ。SKハイニクスは2020年5月、米国の輸出規制強化以後「ファーウェイと取引した事実はない」という立場だ。

業界では「流出経路」に対して多様な観測が出ている。まずファーウェイがメモリ物量をあらかじめ確保しておいた可能性だ。問題のメモリ(LPDDR5)は汎用製品であり、ファーウェイが米国の制裁が全方位的に強化される前に部品在庫を十分に積み上げた可能性があるということだ。

(中略)

半導体業界関係者は「注文制作の非メモリチップセットとは異なり、DRAMは規格化された汎用製品なので在庫量が多い中間業者を通じて物量を調達することが不可能ではない」と話した。しかし、また別の業界関係者は「試作品でもなく数千万台に達する多くの物量を公式取引ではない経路で調達するのは容易ではない」という交錯した反応を出した。

(中略 ※それより7nmのプロセッサやばくね?先端装備なしで作ったの?な話。米国当局は独自開発したのかどうかについては慎重な立場を維持)

米国議会を中心に「対中技術規制が無力化された」として制裁強化を要求する声が大きくなっている。ここに中国が米国の代表企業であるAppleiPhoneに対する禁止令カードまで取り出したため、両国の葛藤水位はさらに高まる公算が大きい。

(中略)

最大の問題はサムスン電子とSKハイニクスの中国半導体工場に先端装備搬入を許可するかどうかだ。

(中略)

韓国政府と業界は延長の可能性が高いと展望してきたが、猶予可否決定を目前にして突如悪材料にあう状況になった。猶予措置を延長されても装備搬入基準などがさらに厳しくなるのではないかという憂慮も出ている。産業資源部関係者は「半導体装備搬入問題は長い間米国と協議してきた事案であり、ファーウェイ問題とは関係ないと見る」と話した。



ハンギョレ「‘한국 반도체’ 또 새우등 되나…화웨이 스마트폰이 부른 후폭풍(「韓国半導体」、また足かせになるのか…ファーウェイのスマートフォンが招いた影響)」より一部抜粋

この件の調査に米商務省が正式に着手したそうです。
サムスンとSKは今、先端半導体製造装置の輸出規制対象から外れています。1年という期間限定でその期限が来月に切れます。

実は今年6月に真偽不明ながらこの措置を「当面は容認」として無期限猶予するかのような報道が出ました。ウォールストリートジャーナルが米商務省の次官の発言として会合参加者の「声」を報じたものです。ややこしいですが、要はまた聞きの伝聞。公式の表明ではありません。

しかしハンギョレは「対中輸出規制適用の猶予措置を当面延長するとの計画を明らかにしたということだ」と確定事項のように報じていました。今回の件でコレがご破算になるかもしれないと心配しているのです。