米国、中国国内向け半導体装備輸出への規制拡大の話

米国が半導体装備の対中輸出を規制する動きに出るとの報道が出ました。
対象となるのは14nm以下の工程に使われる装備で、ターゲットは中国企業ではなく、中国国内にある工場への搬出となっています。
サムスンやSKは中国に大規模半導体工場を持っていますから影響は避けられないでしょう。昨年基準での韓国の半導体装備依存度は米国が25.7%と最も高く(次いで日本25.0%とオランダ25.0%)、中国国内工場であっても事情は対して変わらないのではないかと思われます。

 



聯合ニュースの記事からです。

「米、中に半導体装備輸出規制を拡大する方針」..韓企業の影響注目


バイデン米政府が来月、中国に対する半導体装備輸出規制を拡大する計画だとロイター通信が複数の消息筋の話として11日(現地時間)報道した。

報道によると、米商務省は自国で生産された半導体製造装備を14ナノメートル(nm・10億分の1m)以下工程の先端半導体を生産する中国内工場に許可なく搬出できないようにする新しい輸出規定を発表する方針だという。

これに先立ち今年始め、商務省は米半導体装備メーカーのKLA、ラムリサーチ、アプライドマテリアルズの3社はすでに商務省の指針に従っていると、米政治専門メディアThe Hillは伝えた。

商務省は先月、米国の半導体企業であるNVIDIAAMD人工知能(AI)用半導体に対しても許可なしに搬出しないよう公文書を送った経緯があるが、この措置も発表される新しい規定に明文化される可能性があるとロイターは伝えた。

これは米国が自国内の特定企業だけに適用していたAI用高性能半導体および半導体製造用装備輸出規制を産業全般に拡大するという意味と解釈される。

これと共に米当局者らは外国企業が中国に技術を販売できないように同盟国にも自国と類似した政策を導入するよう水面下でロビー活動を行ったりもしたとロイターは消息筋2人を引用して伝えた。

商務省報道官は9日、追加規制関連の質疑に答弁を拒否しながらも「追加措置を施行するために包括的に接近している」とし「米国の国家安保と外交利益を保護するためのもの」と話した。

これは米・中技術覇権競争が過熱する中で米国がまだ優位を占めている半導体装備産業など技術分野を中心に中国の影響力を遮断するための延長線と解釈される。

しかし最近、北米で最終組み立てられた電気自動車に限って補助金を支給するようにした米国のインフレ削減法(IRA)発効で韓国電気自動車メーカーの打撃が避けられないという見通しが出たのに続き、韓国の輸出主力品目である半導体も影響を受けかねないという懸念が出ている。
中国にある韓国半導体企業の工場が米国から核心装備を受給されるにあたって支障をきたす恐れがあるためだ。

(後略)



聯合ニュース「"미, 中에 반도체장비 수출 규제 확대 방침"..韓기업 영향 주목(「米、中に半導体装備輸出規制を拡大する方針」..韓企業の影響注目)」より一部抜粋

一旦、韓国に輸入してそこから中国に運び込むなんて迂回路も多分使えないでしょうね。それだと規制の意味が無いですから。

このためというわけではないでしょうが、今月の国連総会で韓国政府は米国、日本とそれぞれ両者会談を推進中だそうです。以下、ニューシースの記事から該当部分だけ抜粋です。

キム・ソンハン大統領室国家安保室長は12日午後、龍山大統領室ブリーフィングで「ユン大統領は就任後初めて国連総会に出席するためにニューヨークを訪問する」とし「9月20日の基調演説を含む主要首脳両者会談、国連事務総長面談、同胞との面談などを推進中」と明らかにした。

主要首脳との両者面談としては、米国、日本との両者会談の成否が注目されている。

(中略)

大統領室の上)級関係者は「日本との両者会談は首脳会談になるのか、それともフルアサイド(略式会談)になるのか分からないが推進中」とし「確定は出来ず、最終的な発言は出来ない。確定すれば話す」と話した。

(中略)

米国との両者会談の実現時にインフレ削減法案についての議論もある見通しだ。インフレ削減法が施行されると、韓国産電気自動車などの製品が補助金の恩恵を受けられなくなり韓国企業が差別を受ける恐れが出てくる。

今のところ日本側に首脳会談関連の記事は上がっていないと思いますが、米国は同盟国にも同様の対応(対中半導体装備輸出規制)を求めているようですから、仮に日韓首脳会談となった場合、韓国企業への「配慮」を求めてくるかもしれませんね。