ムン政府が大々的予算投入で育成推進を宣言していた基幹産業、逆に後退していたという話

日本の輸出管理強化(あちらの言う「輸出規制」)以降、韓国ではありとあらゆる面で日本依存度を下げようとしていました。
ノー・ジャパンや核心素材の国産化などが代表的ですが、基幹産業にも力を入れる宣言をしていました。韓国では根本産業として6つ(鋳造、金型、焼成加工、溶接・接合、表面処理、熱処理)指定されていたものを、昨年新たに8つ(押出し・プレス、3Dプリンティング、精密加工、エンジニアリング設計、産業知能型ソフトウェア、ロボット、センサー、産業用フィルムおよび紙類)追加されて全部で14つになりました。
これらに「大々的予算」を支援しようという支援事業計画があったようです。

ところが提出された報告書によると、これらの根本産業で韓国が世界一の技術水準を誇るものは1つも無く、それどころか技術水準で世界一を9個持つ日本と比べると、その技術格差は1.3年と、昨年の0.7年より0.6年格差が広がるという本末転倒な結果だったことが分かりました。

 



毎日経済の記事からです。

[単独]根本産業最高技術、日本9個 vs 韓国0個


製造業の根幹となる根本産業分野で韓国の競争力がますます悪化していることが確認された。ムン・ジェイン政府が日本の輸出規制に対する対応策として根本産業に大々的な予算を投入して育成すると宣言したが、効果は微々たるものだ。

25日、韓国産業技術評価管理院がク・ジャグン国民の力議員室に提出した「2022年根本産業技術水準追加調査」の結果によると、14の根本技術分野で国別最高技術水準は日本が9、米国が5である反面、韓国は一つもないことが分かった。根本産業の細部分野としては、鋳造、金型、焼成加工、溶接・接合、表面処理、熱処理など既存の6大根本技術を含め「根本産業法」改正以後に追加された、押出し・プレス、3Dプリンティング、精密加工、エンジニアリング設計、産業知能型ソフトウェア、ロボット、センサー、産業用フィルムおよび紙類など8大新規技術がある。

総合的な国別水準を見ると、日本が最も優秀でその後を米国、欧州、韓国、中国と続いた。国家間の技術格差を見ると、米国が日本と0.1年で最も少なく、続いて欧州(0.2年)、韓国(1.3年)、中国(1.9年)の順だった。韓国と日本の技術格差は昨年の0.7年から2022年に1.3年と、むしろ0.6年増えた。

韓国の技術水準が比較的高い上位2分野は溶接・接合と押出し・プレス加工であり日本の技術力を基準に90%水準を示した。技術水準下位3分野はロボット、産業知能型ソフトウェア、センサーで日本の80%水準にとどまった。



毎日経済「[단독] 뿌리산업 최고 기술, 일본 9개 vs 한국 0개([単独]根本産業最高技術、日本9個 vs 韓国0個)」より一部抜粋

もう少し細かく見ると日本を100とした場合、格差は米国99.3、欧州97.0、韓国89.0、中国81.4となります。
根本産業とは、日本では多分確たる規定がないと思います。基幹産業とか基礎産業とかに分類されるものでしょう。大企業というより、中小企業や町工場が強いところですね。(日本もこの辺、あんまり大事にしてない印象...口では絶賛するのにね)

ムン政権が大々的に予算を投入して育成宣言をしていましたが実際はそうなっていません。嶺南日報によると産業部が発表した根本産業競争力強化支援事業の支援状況を見ると、昨年、総額138億9千万ウォン(約14億円)が支援されているのですが根本産業企業に指定されているのは429社です。1社あたりわずか3千万ウォン(約300万円)です。




引用記事のソースリンクはNaverの記事なのですが、毎日経済の記事ページの方に付いていたコメントがちょっと気になったので紹介します。

(※技術も理性もなく合理性もなく反米だ反日だと騒ぐ左派のせいだ、的なコメントに対するレスとして)
「何を言っている。これは左右の問題ではなく、どちらも同じなのに必ず政治問題に持ち込んでくだらないことばかり言うのか。

 根本産業が発展できないのは、そこに行って働く人がだんだん減っているからだ。なぜか?未来が見えないから。
 年配の人たちは週52時間制のせいで収入が減って、青年層は他職種や大企業との賃金差、福利厚生の差が大きくなって格差がますます広がるからだ。
(中略)
 根本企業は長く勤める熟練工などがあってこそ回るのに、このように働く人たちが減る政策をしているので後退して発展するだろうか。
(中略)
 これまで左右を問わず中小企業、根本企業を支援する制度を行ったところはどこにあったのか?再操業支援策を打ち出したことはあっても主に大企業中心だった」

「未来が見えないから」は私は違うのでは無いかと思います。
単に大変だからです。技術ですから一朝一夕で身に付くものでもありませんし、即成果を求める韓国社会とはそもそも相性が悪いでしょう。

後は肉体労働というところもネックでしょう。
昔はそれなりに成り手が居たのは大多数が庶民(農民)の意識があったからです。それが今や韓国の大学進学率は95%(OECDトップ)。みんなが両班の意識になったのです。両班は肉体労働なんてしません。(省略しましたがコメントでも「外国人労働者でとりあえず埋め合わせろ」みたいなことが書かれています)

徴用工(ほんとは募集工)の炭鉱労働者たちを見る目にもこうした視点は少なからず影響していると思うんですよね。炭鉱労働=肉体労働+重労働=士大夫のやることではない=強制されたに違いない...みたいな。