銀行に資金が集まることを防ぐために預金金利の引き上げを自制するよう要請する話

韓国の金融当局が金融機関(主に銀行)に対して「預貯金金利引き上げを自重せよ」と要請しているそうです。銀行の預貯金金利が上がると、そこに資金が集中して第2金融圏の資金流動性が低下するというのが理由として挙げられています。
第2金融圏とは具体的に、郵便局預金保険、証券会社、総合金融会社、保険会社、カード会社、投資会社、協同組合、貯蓄銀行などが含まれます。

 



朝鮮Bizの記事からです。

当局「預金金利引き上げ自制せよ」...銀行圏「上げろと言ったのに今更言葉を変える」


(前略)

21日、金融界によると記入当局は最近、市中銀行に預貯金金利引き上げ競争を自制してほしいとのメッセージを送った。金融委員会は最近、相次いでキム・ジュヒョン委員長と市中銀行頭取懇談会、銀行圏金融市場点検会議を開き「銀行圏への市中資金集中現象が第2金融圏の流動性不足を引き起こす恐れがある」として「過度な資金調達競争を自制してほしい」と頼んだ。

理由は2つだ。まず、第2金融圏から銀行圏への「資金の偏り」を防ぐためだ。銀行が高い金利で市中資金を吸い込めば、相対的に健全性が脆弱な貯蓄銀行など第2金融圏の流動性不足を引き起こす恐れがある。優良債などを通じて資金調達が可能な市中銀行とは異なり、貯蓄銀行は資金を集められる窓口が預・積立金と制限的だ。実際、市中銀行が定期預金金利を5%台に引き上げると、貯蓄銀行圏も6%台に進入した状況だ。

脆弱借主の償還負担が大きくなっているという点も当局には負担だ。預・積立金金利が上がればCOFIX・資金調達費用指数が上昇する。信用貸出だけでなく、住宅担保貸出とジョンセ資金貸出など銀行圏変動型貸出金利の基準になるCOFIXが上がれば貸出金利も上昇する。先月の新規取扱額基準でCOFIXは9月(3.40%)より0.58%ポイント高い3.98%で、歴代最高水準を記録した。基準金利の追加引き上げが予想され、住宅担保貸出金利の上段もやはり8%突破を目前にした。

銀行圏は当局のこのような動きに困惑しているという立場だ。当初、銀行の預金金利引き上げ競争が始まった背景には今年はじめから当局が主導した預貸金利差(貸出金利と貯蓄受取金利の差)公示などの政府政策があったためだ。ユン・ソンニョル大統領の大統領選公約の一つである預貸金利差公示は銀行の過度な「利子商売」を防ぐために8月から本格施行された。制度導入後、各銀行は政府の意図通り1位を避けようと貸出金利を引き下げる一方、新庄金利の上昇分以上に受取金利は引き上げてきた。

当局の銀行債発行自制注文も預金金利を引き上げざるを得なくなったという分析も提起された。銀行債は韓電債とともにレゴランド事態前から債券市場の資金を吸い込んできた。ところが、レゴランド発の債券市場萎縮事態で残った債券需要まで銀行に集中すれば資金梗塞が深刻化しかねないという判断により、当局は銀行債発行自制令を下した。銀行は主要資金源である銀行債が詰まったので預・積立金依存度が高くなり金利を高めて誘引を強化するほかはないという立場だ。

(後略)



朝鮮Biz「당국 “예금 금리 인상 자제하라”… 은행권 “올리라고 하더니 인제 와서 딴말”(当局「預金金利引き上げ自制せよ」...銀行圏「上げろと言ったのに今更言葉を変える」)」より一部抜粋

私の受け止め方が変なのかもしれませんが「第2金融圏が困るから銀行は遠慮しろ」の理屈は、「スーパーがパンを安く売っていたら町のパン屋さんが困る。スーパーはパン以外にも売るものが沢山あるのだから遠慮せよ」と同じように聞こえます。

余力のある所は自力で生き残れ、それ以外を政策でバックアップする、ならまだ分かるんですけど、ここで言われているのは余力のある所に「忍耐」を強いること。そこで本来生まれるはずだった利益を他所に回せという非常に後ろ向きな対策です。
家計負債をこれ以上膨らませるわけにはいかないため、ローン融資を積極的に進めて国民にジャンジャン借金を負わせて経済を回すことはもう出来ません。それにしたってもう少しマシな案は無かったのでしょうか?