基準金利は下がってないのに貸出金利が下がっている話

昨年下半期、急激な基準金利引き上げを受けて韓国の市中銀行では預金金利引き上げ合戦が起こっていました。
そこにレゴランド事態に端を発した債券市場の凍てつきが起こると、11月には韓国金融当局が銀行に資金が集まりすぎることを防ぐために「預貯金金利引き上げを自重せよ」と要請しました。
そして今度は「貸出金利引き上げを自重せよ」と要請したとのことです。

 



ソウル経済の記事からです。

ヨンクル族、ようやく一息つけるか…住宅担保融資6%台に下落の見通し


最高8%台を超えた市中銀行の変動制住宅担保貸出金利が7%台に下がった。韓国銀行の基準金利引き上げにもかかわらず各銀行は金融当局の圧迫に加算金利を引き下げるなどして貸出金利を引き下げたためだ。

(中略)

24日、記入化によるとKB国民、新韓、ハナ、ウリ銀行など4大都市銀行の変動型住宅担保貸出金利20日基準で年4.600~7.148%水準だ。2週間前の6日(年5.080~8.110%)に比べ上限が0.962%ポイント、下限が0.480%ポイント下落した。

4大都市銀行のうち現在変動型住宅担保貸出金利の上限が7%を超えたところはハナ銀行とKB国民銀行だ。しかし両行とも旧正月連休直後に貸出金利引き下げが予定されており、今週中に金利上限が6%台に下がるだろうという見通しが優勢だ。

(中略)

市中銀行は貸出金利引き下げに積極的に乗り出したのは預貸金利差縮小を要求する金融当局と政界の圧迫が効果を上げたという分析だ。ある市中銀行関係者は「銀行の立場での適正預貸金利差は1.2~1.5%水準だが、現在4大銀行はそれに近いかそれ以下」として「だが、当局が金利引き下げを持続的に要求し収益と直結する加算金利を下げる形で追加引き下げを検討している」と話した。

ここに韓銀が今月基準金利を0.25%引き上げたが、市中金利が下方安定傾向を見せているのも銀行の貸出金利引き下げに影響を与えた。実際、変動金利の基準である資金調達費用指数(COFIX・COFIX)が昨年12月の預金金利下落などを反映し、今月17日から0.050%ポイント(新規取り扱い額基準)下がった。資金市場が昨年対比安定する姿を見せ、債券金利も下落している。

(中略)

もう一つの変数は預金金利だ。貸出金利の引き下げとあいまって預金金利も下落している。1年満期定期預金は主に銀行債1年物金利を反映して策定されるが、最近債券金利が下落し市場で少ない調達費用で資金を集めることができるだけに、銀行が預金金利を引き上げる誘引が減ったためだ。しかし預貸金利差の縮小を要求する金融当局と政界の圧迫に一部の銀行は預貯金の金利引き上げを検討し今後変動型貸出金利に影響を与えかねないという指摘も出ている。預金金利の引き上げは変動型住宅担保貸出の準拠金利であるコフィックスの上昇を招きかねないためだ。



ソウル経済「영끌족 드디어 한숨 돌리나…주담대 6%대 하락 전망(ヨンクル族、ようやく一息つけるか…住宅担保融資6%台に下落の見通し)」より一部抜粋

記事へのコメントは紹介しませんが、この措置に対して概ね好評です。「金融機関は天文学的な利益を上げている」との認識がその根底にあるようです。
ごく一部に「市場に逆らう官製金融による被害は結局国民に跳ね返る」とのコメントもありますが、ほぼ無視されています。