1年間で最大3万8千人が不法私金融に押し出された可能性の話

2021年に韓国では貸金業...日本ではレ〇クやアイ〇ルなどの「消費者金融」と呼ばれる業者ですね、そこの法定最高金利が年率20%に引き下げられました(それまでは24%)。これらの業者は合法(適法)に含まれる業者です。第1・第2金融圏と呼ばれるものです。

法定金利の引き下げと聞けば、消費者保護の観点から見れば歓迎されそうなものですが、家計負債の膨れ上がった韓国では別の側面の問題が浮上しています。それが「業者の貸し渋り」により違法な私的金融(ヤ〇金)を頼らざるを得ない人たちの増加です。
公式な統計データがあるわけではありません。が、法定最高金利が引き下げられた前後の信用評価点を元に算出されたデータで、1年間で10.6%~23.1%が不法私的金融に追いやられた可能性が提起されました。

金利上昇に伴い第1・第2金融圏も資金調達に難儀している昨今、「法定最高金利を引き上げるべき」との主張があります。それで不法業者に頼る人たちを救える、と。本当にそんな単純な話で良いのか?はさておき、多分これもそういった流れの記事の一種と思われます。

 



KBSの記事からです。

「法定最高金利引き下げで3万8千にが不法私金融に追い込まれる」


一昨年(2021年)、法定最高金利が年24%から20%に引き下げられ、多くは3万8千人が貸付業者など制度圏の金融市場から追い出され不法私金融に追い込まれたと分析されました。

イ・スジン韓国金融研究院選任研究委員は今日(5日)、「2021年最高金利引き下げ以後の貸付利用者変化分析」報告書でこのように明らかにしました。

イ研究委員がNICE評価情報で提供される資料を利用して分析した結果、2021年7月の最高金利引き下げ以後、1年間に1万8千人から3万8千人程度が貸付貸出市場から排除され不法私金融市場に流入したと推定されました。

(中略)

2021年7月の最高金利引き下げ以後、貸し出しを利用せず1・2金融圏でも新しく貸し出しを受けたことがない借主の信用評点・貸出残額変化を考慮すると貸出利用者減少分の10.6%から23.1%が貸出市場から排除された可能性が高いと分析されました。

10.6%は2022年6月末の信用評点が350点以下の場合で長期延滞などにより貸し出しが承認されなかった可能性が高い借主群の比率です。

23.1%は2021年7月以後、1・2金融圏で貸し出しを新たに利用していない借主(減少分の35.8%)のうち、貸し出し市場排除の可能性が最も低い借主群12.9%を除いた比率です。

(中略)

金融監督院の貸付業実態調査の結果、2022年6月末の貸付利用者は1年前より16万6千人減少しましたが、このうち10.6%から23.1%が貸付市場から排除されたと仮定すると、その規模は1万8千人から3万8千人です。

この結果は金融委員会が発表した最高金利引き下げに伴う不法私金融利用者増加規模の3万9千人、金融委員会・金融監督院追跡調査に表れた2018年最高金利引き下げに伴う不法私金融利用者流入規模の3万8千人とも似た数値です。

(後略)



KBS「“법정 최고금리 인하로 3만 8천 명이 불법사금융 내몰려”(「法定最高金利引き下げで3万8千にが不法私金融に追い込まれる」)」より一部抜粋

記事だけだと数字の根拠がよく分かりません。なんか単純な引き算をしているだけのような...。法定最高金利引き下げ前後の1年で第1・第2金融から新たに貸し出しを受けた人の増減率を単純に出しているだけ...?ちょっとよく分かりません。

まあ、去年の6月時点ならまだ政策金利は1.75%(7月に2.25%)だったので「格段の影響無し」として、それなのに貸し出し利用者が減少しているのは業者の貸し渋りにより押し出されたから、と単純に判断したのかもしれません。


しかし、だからと言って法定最高金利を引き上げたら、そりゃ適法業者から貸付は受けられるかもしれませんけれど、利子を返すだけで一杯一杯の状況は同じでしょう。相手が「合法」なだけに取り締まりもなく却ってタチが悪いように思います。