韓国文化財庁、14年間日本の時計店製作品を「文化財」登録...中国メディア「専門性の欠如」を指摘した話

韓国文化財庁が最近、2009年に国家登録文化財に指定した銀製李花文花瓶の登録を解除しました。
この花瓶は1910年に李氏王室御用達の工芸品を作成する工房で製作された、と説明されていましたが、実際は日本の小林時計店が製作したものだったことが分かったそうです。花瓶の底面にはっきり「小林」と刻まれており、これが小林時計店のことだったとのこと。

中国官営メディアがこの件を取り上げ、韓国の専門性の欠如を指摘しています。そして「他国(中国)から学べ」と。

 



世界日報の記事からです。

中国官営「韓国、遺物登録および管理に専門性不足」[特派員+]


(前略)

9日、グローバルタイムズは「経験を共有すれば韓国の遺物確認エラーを防止できる」というタイトルの記事で、韓国文化財庁が最近、文化財登録を抹消した「銀製李花文花瓶」と慶尚南道金海の世界最大支石墓棄損事件を例に挙げ、韓国の専門性が足りないと主張した。

文化哀調は王室文化を垣間見ることができる資料とされていた国家登録文化財「銀製李花文花瓶」が実際には日本の時計店で作られたことが確認され、14年ぶりに文化財登録を抹消した。

文化財庁は「底面の『小林』の押印は日本の東京の小林時計店製品であることが確認され登録を抹消する」と説明した。小林時計店は19世紀半ばから1943年まで東京で営業した有名な時計店であり、美術製作所として知られている。

(中略)

文化財庁は2009年にこの遺物を登録文化財として掲載し「王室で使用する工芸品を製作するために設立された李王朝美術品製作所で1910年代に製作」したと説明している。

また、慶尚南道金海では上石(上にした大きな石)の重さが350トン、墓域施設の規模が1615㎡に達し、規模の面で世界最大と推定される支石墓遺跡を棄損する事態が起きた。

中国メディアはこの事件を取り上げ「韓国の関連当局が韓国の文化遺産を検証する上で専門的な専門性が不足していることを示している」と指摘し「歴史遺物の保全と関連して韓国は他国の経験から学ぶことができる」と明らかにした。そして中国が新石器から古代商の時代まで2000年続いた二里頭遺跡の復元を専門的に行い、ネパールの塔を改築するのに役立ったと述べた。

(後略)



世界日報「중국 관영 “한국, 유물 등록 및 관리에 전문성 부족” [특파원+](中国官営「韓国、遺物登録および管理に専門性不足」[特派員+])」より一部抜粋

底面に「小林」と刻まれていることの意味をスルーした状態での登録だったようです。
個人的考えですけど、製作された年代(1910年代)と前面の「李花文」に引きずられて「そうに違いない」が、「そうだ」になったのではないか?な気がします。その過程で底面の「小林」は「所有した日本人が刻んだ」と重要視しなかったのではないでしょうか?

もし、こうした先入観からの判断ミスだったのなら中国から学べるかどうかは疑問ですね。中国は文化財に関しては虚飾に頼る必要は無いですから。


ちなみに、記事の最後には「中国だって」と、春節期間中に中国の博物館で観覧客が殺到して展示物の青銅器が陳列台から落ちた件(幸い棄損は無かった)や、発掘現場で記者が窪みに転落して現場を棄損した話などにチクリと言及しています。
ただし、中国の事例はどっちも「専門家」のやらかしじゃありません。韓国の銀製李花文花瓶の判断は専門家ですし、支石墓遺跡の棄損は復元作業中の業者のやらかしです。遺跡・遺物の復元は通常工事ではありませんから、「専門性の欠如」が指摘されても仕方ないように思えます。これに中国の一般人や記者のやらかしを持ち出しても言い返したことにはならないような...。