福島処理水放流後のシミュレーションで韓国への影響は「微々」との研究結果の話

福島原発の処理水放流が今年3月から始まります。
そのためなのかどうなのか、今更(?)「トリチウムの拡散は時間の問題だけど影響は微々たるもの」的な研究チームの分析結果を続々と報じています。ここに来て「科学的には問題いなし」を強調しているようで、今まで散々大騒ぎしていたのはなんだったの?...という気がしなくもありません。

あと、記事の内容とは関係ないのですけど、ロッテHDがロッテリアを手放すそうです。今まではロッテが100%株式を持っていましたが、ゼンショーHD(「すき屋」とか「なか卯」、「はま寿司」...)に全数売却するそうで、譲渡日は4月1日と発表されています。韓国ロッテリアは関係なく日本ロッテリアだけでしょうけど、正直こっちのニュースの方が記事よりビックリしました。

 



朝鮮Bizの記事からです。記事中の「汚染水」表記は原文「오염수」の直訳ママです。

三重水素拡散「時間の問題」、濃度は「微々」...福島汚染水拡散、海外の研究結果も同様


国内の研究陣あ16日、日本政府の福島第1原発汚染水放流を控え放射性物質である三重水素トリチウム)の拡散シミュレーション結果を公開した。韓国海洋科学技術院(KIOST)と韓国原子力研究院(KAERI)の研究陣が同日公開したシミュレーション結果によると、三重水素は10年内に北太平洋全体に拡散するが、濃度は国内海域の10万分の1水準に留まる見通しだ。「拡散は時間の問題、しかし濃度は微々たるものだろう」と予測した既存研究と同じ結果だ。

(中略)

チャオ・パンリ中国国家海洋局第1海洋学研究所教授とチョン・ギョンテ・オーシャニック海洋環境研究所所長などは2021年5月、「三重水素濃度が立方メートル当たり0.001Bq(ベクレル)である福島汚染水は約5年後に韓国に到着する」という研究結果を発表した。

研究陣は日本が汚染水を放出する詳細な計画を発表する前に研究を実施した。したがって汚染水を薄めずに1200兆Bqの三重水をを含む130万トンの汚染水をそれぞれ1ヵ月、1年、5年、10年以内に放出する4つのシナリオを想定した。

研究陣は三重水素の移動と分散を推測する3次元全地球モデルでシミュレーションした結果、1ヵ月、1年間で汚染水を放出する場合、海流によって三重水素が移動し、最終的に北東太平洋に到達することが明らかになった。しかし5年、10年にわたって長期的に汚染水を放流する際は日本東部海岸地域だけで高濃度の放射性物質が観察される傾向を見せた。

日本の放流計画期間と同じ10年間、汚染水の希釈なしに三重水素汚染水を放流する場合には5年後に約0.001Bq/m³の汚染水がチェジュに到着した。この濃度は国内海洋に存在する三重水素濃度である172Bq/m³の10万分の1水準で非常に低い数値だ。

日本は中国国家海洋局が研究結果を発表した直後、福島原発発電所の約1キロ沖で10年間で計220兆Bqに達する三重水素を放流する計画だと明らかにした。放流期間が長くなるほど汚染水内の三重水素は崩壊して濃度が低くなる。したがって中国国家海洋局で使用した10年間の放出シナリオの場合には、10年間で初期値である1200兆Bqより4分の3程度低い900兆Bqを放出すると仮定した。日本の放出計画の4倍に達する濃度でシミュレーションを進めたわけだ。

フ・ジェンジョン中国清華大学海洋工学研究所教授の研究陣は2021年11月「汚染水放流後280日には韓国南海岸、400日後には韓国全体に三重水素が到達するだろう」として「1200日以内には北太平洋全域に拡散する」という研究結果を「国立科学レビュー」に発表した。希釈や浄化されていない7億3000万Bq/m³の三重水素を含む汚染水を500tずつ排出するシナリオを使用した結果であり、単純に計算すると10年間で1332兆Bqを放流した水準である。したがって220兆Bqを放流する日本の計画の約6倍に達する。

(中略)

二つの方法を利用して拡散速度を分析した結果、汚染水排出初期段階に放射性物質の分布が急激に増加し、120日以内に緯度30度、経度40度に達することが分かった。海流による放射性物質の拡散速度は経度方向より緯度方向から早く表れた。

1200日後、放射性物質北太平洋全体を覆い、東には北米海岸、南にはオーストラリアまで到達した。その後、放射性物質は赤道海流に乗って南太平洋に急速に広がった。2400日後にはインド洋、3600日後には太平洋全体を覆うことが分かった。

(中略)

韓国には1200日後、少なくとも0.29Bq/m³の三重水素が到達することが分かった。国内海域の濃度値172bq/m³の0.002倍水準で、やはり微々たる水準だった。

(後略)



朝鮮Biz「삼중수소 확산 ‘시간 문제’, 농도는 ‘미미’…후쿠시마 오염수 확산 해외 연구 결과도 같아(三重水素拡散「時間の問題」、濃度は「微々」...福島汚染水拡散、海外の研究結果も同様)」より一部抜粋

記事に載っているシミュレーション結果は日本の放流計画とは異なる条件のもので、より厳しい条件(放出量増)によるものです。ここ注意してください。

↓の画像は記事に添付されていたもので、「5年後に0.001Bq/m³が韓国に到着する」とした研究結果のものです。
詳細は書かれていませんが、モデルaの方が1ヵ月、1年間という短期間で放出した場合、モデルbの方が5年、10年と長期的に放出した場合と思われます。



最後にチラっと、「とは言え、三重水素放射性物質の濃度がどうなのか、現在では正確に予測できない。放流濃度によって拡散速度が変わることもあるだけにさらなる研究が必要」と締めています。
確かに一理あります。トリチウムは生物的半減期が短いので生物影響面は軽視されがちですが、「絶対」はあり得ませんから。
とは言え、それを言うなら状況は韓国も同じ。韓国の原発からもトリチウムを含む水は河川に放流されています。福島原発放流水だけでなく、ぜひ自国の「汚染水」についても追加研究の必要性を訴えていってください。