今年に入って68日間で、すでに昨年の半分近い貿易赤字が出ている話

今年に入って2か月半、日数にして68日間の韓国の貿易赤字が228億ドルで昨年(472億ドル)の約半分(48%)水準に達しているそうです。
石油製品-21.6%、鉄鋼-13.9%、コンピュータ関連-58.8%、家電製品-44.9%、船舶-36.9%と主要品目が軒並み減少しています。特に輸出の20%を占めるとされる主力である半導体は41.2%と、3ヵ月連続で前年同期比40%減が続いています。

 



ヘラルド経済の記事からです。

今年68日で貿易赤字228億ドル...早くも昨年の半分近く


(前略)

13日、関税庁によると3月1日~10日の輸出額(通関基準暫定値)は157億9100万ドルで昨年同期より16.2%減少した。操業日数を考慮した1日平均輸出額は27.4%ヘリ、減少幅がさらに大きかった。同期間の操業日数は7.5日で前年同期(6.5日)比で1日多かった。輸出は昨年10月から今月上旬までの6ヵ月間の連続減少傾向だ。

(中略)

主力品目10品目のうち乗用車(133.7%)を除いた残りの9品目が二桁減少し、輸出低迷の長期化を予告した。特に韓国全体輸出の20%ほどを占める半導体は41.2%減り、今年1~2月に続き3ヵ月連続40%以上減っている。

半導体の輸出は昨年8月から8ヵ月連続で減少している。月別に前年同期比減少幅を見ると、昨年8月に7.8%、9月に5.6%、10月に17.4%、11月に29.9%、12月に29.1%、今年1月に44.5%、2月に42.5%と徐々に大きくなっている。輸出比重60%ほどを占めるD-RAM、NANDフラッシュなどメモリ半導体が製品需要劣勢により価格が下落し、グローバル景気委縮などが複合的に作用した結果だ。

(中略)

国別では韓国全体輸出の25%ほどを占める中国への輸出が35.3%減少した。対中輸出の減少傾向は先月6月から今月上旬まで10ヵ月間続いている。これを受け対中貿易収支はマイナス14億3600万ドルを記録し6ヵ月連続赤字行進を続けている。

(中略)

今年1~10日の貿易収支は49億9500万ドルの赤字を記録した。先月同期(49億3300万ドルの赤字)より赤字規模が増えた。1年以上貿易赤字が続いたのは通貨危機の1995年1月~1997年5月以後初めてだ。今年に入って今月10日までの貿易赤字は227億7500万ドルで昨年1年間の472億ドルの48%に達する。



ヘラルド経済「올해 68일만에 무역적자 228억달러…벌써 작년의 절반 육박(今年68で貿易赤字228億ドル...早くも昨年の半分近く)」より一部抜粋

韓国政府は韓国の輸出不振を「グローバル景気低迷」の一言で片づけ、「今年下半期に回復」と基本的には分析しています。一部メディアが「本当にそれだけだろうか?」な声を上げることはあります。そうした記事は「(メモリ)半導体の韓国優位は終わった」とし、韓中貿易構造自体の変化を指摘していたりしますが、まだまだそうした意見は主流ではないように思います。

しかし、貿易赤字や対中輸出を離れて単に「半導体技術」関連の記事で見ると、韓国の技術面を懸念する記事はチラホラあります。主にはKチップス法などに代表される税制優遇措置だったり他国とのR&D費の比較などです。
その裏には先行技術への投資が滞ることでの技術面の遅れへの懸念があります。





 



ソウル経済の記事からです。

「今やDRAMも上に積む」サムスン・SKが注目する未来技術の正体は?[biz-プラス]


グローバルDRAM先頭走者サムスン電子(005930)とSKハイニクス(000660)が「ゲームチェンジャー」と呼ばれる3次元(3D)RAM商用化に速度を上げている。両社とも数年前から3DDRAM技術を開発してきたが侮れない技術限界で漠然とした未来技術の一つという認識が大きかった。しかし最近、両社の半導体技術役員が3DDRAM開発現況に相次いで言及し事業化の可能性が高くなったという分析が出ている。

ただし、DRAM業界3位のマイクロンはすでに2019年から3DDRAM研究に参入、両社より2~3倍も多い特許を確保した。国内企業が次世代市場の準備を積極的にしなければ現在の技術主導権があっという間に覆されかねないという懸念が出ている。

(中略)

3DDRAMは既存のパラダイムを破る新しい構造のメモリチップだ。既存のDRAM製品開発は回路線幅を減らし集積度を高めることに焦点を合わせたが、線幅が10nm(ナノメートル・10億分の1m)台に入りキャパシタの電流漏れと干渉など物理的限界が大きく増えた。これを防ぐために高誘電率(ハイK)物質、極紫外線(EUV)など新素材および装備が導入されたにも拘わらず、半導体業界では10ナノ以下の微細化には大きな困難が伴うものと見ている。

(中略)

サムスン電子とSKハイニクスは3DDRAM技術の商用化にさらに速度を上げる可能性がある。3DDRAMは既存のDRAM市場とは異なり独歩的な主導権を握った業者がない「無主空山」という点で早い量産技術開発が何より重要だ。

(後略)



ソウル経済「"이젠 D램도 위로 쌓는다" 삼성·SK가 주목하는 미래 기술 정체는?[biz-플러스](「今やDRAMも上に積む」サムスン・SKが注目する未来技術の正体は?[biz-プラス])」より一部抜粋

「無主空山」とは「持ち主のいない山」です。多分、日本語にこんな言葉は無いと思うのですが、ちょうどいい言い換えが思いつきませんでした。


半導体の製造工程は大きく分けて前工程と後工程の2つに分割できます。ウェハ上に回路パターンを作るのが前工程、ウェハをチップ化するのが後工程です。
微細化や高集積化など半導体製造の競争は前工程で行われるのが主です。上の記事で主題にしている3DDRAMも前工程の部分の話です。

でも実は、韓国(サムスン)は後工程で「TSMCに10年遅れている(参照)」という話もありまして...。あっちもこっちも対応が必要です、しかも早急に。
既存のメモリ半導体は近いうちに中国に追いつかれ「コスパ」で勝てないことは目に見えています。ここでもうひと踏ん張りして技術的優位を確保できるのか…本当に正念場かもしれません。