韓国財政収支、年間予想は58兆2千億ウォンの赤字...第1四半期ですでに54兆ウォンの赤字が出ている話

先月上旬の時点で、韓国では今年の税収不足を危惧する報道が出ていました。今年2月までの段階で既に前年と比べ15兆ウォンほど税収が減っており、このままのペースだと最終的に政府予想より20兆ウォンほど税収が足りなくなるのではないか、そうした内容でした。

韓国政府は今年の年間管理財政収支赤字を58兆2000億ウォンと見通していましたが、第1四半期(1~3月)だけで54兆ウォンの赤字が記録されたとのこと。

 



ヘラルド経済の記事からです。

第1四半期の税収は24兆減少、財政収支は54兆ウォンの赤字


(前略)

11日、企画財政部が発表した財政動向5月号によれば、今年1~3月の国税収入は87兆1000億ウォンで、昨年同期と比べて24兆ウォン減少した。3月基準で歴代最大幅減少したのだ。進度率の面でも状況が良くない。3月の国税収入予算と比べ進度率は21.7%だ。これは昨年3月の28.1%はもちろん、最近5年の平均3月の進度率26.4%を大きく下回った。

細かく見ると、所得税が3月までに7兆1000億ウォン減少した。不動産取引の減少と総合所得税の基底効果で譲渡所得税と総合所得税が減った。1月の住宅売買量は前年同期比38.2%減少した。譲渡所得税急減の背景だ。

法人税も状況が良くない。法人税は3月までに6兆8000億ウォン減少した。昨年の第4四半期以降、グローバル景気鈍化および輸出不振にともなう2022年企業営業利益減少、税収繰延基底効果などが重なった。

付加価値税収入は3月までに5兆6000億ウォン減少した。還付増加と2021年下半期の細々とした支援効果が影響を及ぼした。油類税の一時引き下げによる交通税減少分は6000億ウォンだ。ただ、政府は3月までの実質的な税収減少分を14兆3000億ウォンと推算した。2021年と2022年下半期の支援繰延税収減少などで発生した基底効果(9兆7000億ウォン)を除外しなければならないということだ。

(中略)

総支出は一部減少したが、国税収入が歴代最大に減り国の財政は赤字幅が大きくなった。第3四半期の統合財政収支は41兆4000億ウォンの赤字を記録した。社会保障基金収支の12兆6000億ウォンの黒字を除いた実質的な管理財政収支は54兆ウォンの歴代級赤字を記録した。これはコロナ19の初期である2020年の第1四半期に記録した歴代細田財政赤字(55兆3000億ウォン)に迫る規模だ。予算上展望した今年の年間管理財政収支赤字規模は58兆2000億ウォンだが、すでに第1四半期にこれをほとんど満たした。

(後略)



ヘラルド経済「1분기 세수 24조 감소, 재정수지 54조 역대급 적자(第1四半期の税収は24兆減少、財政収支は54兆ウォンの赤字)」より一部抜粋

企画財政部は税収が入ってくるタイミングは月ごとにタイムラグが発生するので、今の結果をもって管理財政収支が見通しを超えるかどうかを判断することは難しいとしています。確かにそうですけど、それでいいのか?な気もします。

韓国の国家債務はたった「数年」で劇的に増加しています。IMFのデータによると、政府総債務残高は2016年は717兆5000億ウォン、2017年が735兆2000億ウォンです。パク・クネ政権とムン・ジェイン政権の切り替わり時点ではそれほど差はありません。
その後、順調に増え2018年759兆7000億ウォン、2019年810兆7000億ウォン、2020年945兆1000億ウォン、2021年1063兆3994億ウォン、2022年1168兆4284億ウォン、2023年4月現在1238兆8641億ウォンです。5年で約1.6倍。

GDP比推移としては2016年に41.22%だったものが2017年には40.05%、2018年には40.02%とむしろ少し改善していました。その後一気に悪化し、2023年4月現在55.28%です。

総債務から保有している金融資産を差し引いた純債務残高で見るともっと状況は悪いです。
2016年、169兆4510億ウォンだったものが2023年4月現在は556兆6142億ウォンと、3.2倍に膨れ上がっています。

ユン政権は発足当初から健全財政化を目指すとしてきました。そのため国債発行の心理的ハードルが高いはずです。しかし就任から1年経ちましたが、税収不足により政府債務は減っていません。
結局...と、まとめてしまうと少し乱暴かもしれませんが、韓国政府も「不動産」が頼りという状況なのかな、という気がします。不動産価格が上がり取り引きが活発化すれば譲渡所得税が入ってきますからね。