サムスンの現金資産、1年で3割減の話

先月末にサムスンの第3四半期連結決算が発表されました。営業利益が2兆4336億ウォンで昨年同期比‐77.57%です。
市場予測値(1兆8358億ウォン)を上回ったのと、メモリ事業の赤字幅が縮小したことを受け「第4四半期には半導体部門で本格的な業績改善が現れるものと見られる」と、楽観的な報道が多く出ています。

しかしその裏で、サムスンの手持ちの現金資産が1年で急速に目減りしていることが確認されています。これは主にシステム半導体向けの投資によるものです。
サムスンは2017年に、3年間で発生した余剰金の50%を株主に還元すると発表していました。実際に特別配当という形で2021年4月に1株当たり1578ウォン(合計10兆7800億ウォン)が株主に還元されています。
3年スパンですので、次は来年の年初に2021~2023年の3年分の余剰分が特別配当金に充てられるはずです。しかし、恐らくこれは霧散します。株主の理解を得られるでしょうか?

 



ニュース1の記事からです。

業績不振にも関わらず歴代級の投資...サムスン電子の純現金、1年間で33兆ウォン減少


(前略)

2日、業界によるとサムスン電子(005930)の純現金は昨年第3四半期末の116兆3600億ウォンから、今年第3四半期に83兆5000億ウォンへと1年間で33兆3100億ウォン(28.6%)減少した。

純現金は現金及び現金性資産と短期金融商品、短期償却後援金融資産、長期定期預金など現金資産から借入金を引いた指標だ。

同期間、現金資産も128兆8200億ウォンから93兆1000億ウォンへと35兆7200億ウォン急減した。

サムスン電子の純現金が急激に減ったのは実績悪化と攻撃的な施設投資がかみ合ったためと分析される。

(中略)

今年第1四半期から第3四半期までの累積投資額だけでも36兆7000億ウォンに達する。京畿道平沢市と米国テイラーに半導体ファブを建設中であり、未来成長分野に対する先行R&Dと施設投資も続けている。ライバル会社が業況鈍化で今年の設備投資を大幅に減らしているのとは正反対の行動だ。

実際、サムスン電子の今年第3四半期の投資活動によるキャッシュフローはマイナス12兆7500億ウォンだ。投資活動のキャッシュフローがマイナスなら、該当法人がそれだけ現金を投資活動のために使ったと見ることができる。

さらに、四半期ごとに行われる配当も現金の流出を煽った。サムスン電子は余剰キャッシュフローが悪化したにも関わらず、株主親和政策維持のために配当を維持している。第3四半期にも計2兆4600億ウォン規模の四半期配当を決定した。普通株と優待株ともに1株当たり361ウォンを支給する予定だ。

ただし、株主が期待していた来年初めの「特別配当」は難しいと見通される。

(中略)

ある会計士は「特別配当を実施するためには3年間(2021~2023年)の余剰現金が、年間定期配当金29兆4000億ウォン(9兆8000億ウォン×3)の2倍の58兆8000億ウォンを超えなければならない」とし「実績悪化により余剰キャッシュフローが発生せず、特別配当は事実上難しいだろう」と話した。



ニュース1「실적 부진에도 역대급 투자…삼성전자 순현금 1년새 33조 줄어(業績不振にも関わらず歴代級の投資...サムスン電子の純現金、1年間で33兆ウォン減少)」より一部抜粋

サムスンキャッシュフローがマイナスになったのは、2000年代に入ってからだと2000年と2008年の2回だけです。こうしたことから株主還元に強気に出られたんでしょう。