「未来パートナーシップ基金」発足の話

日本の経団連と韓国の全経連が「未来パートナーシップ基金」を発足させました。設立合意書にサインしたのは確か3月だったかと思います。そして本日、東京の経団連会館基金発足の記者会見を開きました。

例の徴用工関連の継続措置の一つで、賠償金の代理返済には使われませんが、両国の「友好事業」には使われます。規模は大体2億円。日本側が1億円、韓国側が10億ウォン(約1億円)出し合うことになっています。
代理返済には使われないものの、設立の経緯が徴用訴訟と関連がありますから三菱重工業や日本製鉄の参加/不参加に注目が集まっているようです。

 



マネートゥデイの記事からです。

[問答]韓日未来基金、「韓4大グループ、日被告企業参加は開かれている」


(前略)

ー 十倉会長に伺いたい。全経連が10億ウォン、経団連が1億円で始め関連事業が確定すれば関連企業に自発的な参加を要請するとおっしゃった。その後、財団に参加するという企業があるのか?特に資源・エネルギー安全保障・グリーン転換などは三菱重工業・日本製鉄にとっても重要な問題だと思うが、この2社の参加意思はあるのか?

▶(十倉会長回答)3月の内容はおっしゃる通り日本1億円、韓国10億ウォンを拠出してスタートするという内容だった。事業によって増加させることがが出来る。「小さく生んで大きく育てる」という考えなので、多くの企業を募集したいと思う。ただ、具体的なテーマが重要だ。テーマによって要請をすることになるが、要請する企業に対しては三菱重工業、日本製鉄を必ず入れなければならないとか、排除したりする考えはない。制限なく要請する考え。その事業に参加するかどうかは個別企業の判断だ。

(中略)

キム・ビョンジュン会長に質問する。岸田総理の訪韓について韓国では歓迎ムードではないようだ。今回の基金内容の具体化が韓国世論に影響力を持つと考えるか?基金についてどのような期待をお持ちか?

(中略)

▶(キム・ビョンジュン会長職務代行回答)ユン・ソンニョル大統領が来日し、岸田総理が韓国を訪問したことに対して韓国各地で冷淡な反応があるかもしれないが、それにも関わらず相互関係に対する認識を変えるのに大きく寄与したと思う。今日の朝刊にも70%以上が韓米日同盟の強化に賛成するという世論調査結果があった。友好的評価があると思う。しかし国民がどれだけ支持するか、反対するかを話す前に韓国政府、経済界が感じるのは韓日間の協力は非常に重要な課題だということだ。今、グローバル産業構造が急速に再編されており、保護貿易主義的な色々なことが随所で起きている。これに対応するために韓日がパートナーシップを形成し、共に対応し、共に競争力を確保しなければならないと思う。国民の反応は悪くないと思うが、それに関係なく両国協力をしなければならないと思う。

(中略)

▶(十倉会長の答弁)事業がいつ始まるかについては申し上げにくい部分がある。今コンセプトを作ている段階だ。議論は早速始めたい。

(中略)

ー 現在、全経連から脱退したサムスンなど、いわゆる4大グループが今回の基金に参加するのか?

▶(キム・ビョンジュン会長職務代行回答)実はこの事業は全経連が主導しているが、若い人材交流、産業協力に関する問題は全経連会員だけの問題ではないと思う。全国民、全産業体、全経済界と関わっているため、誰にでも開かれている。どの企業が自発的に参加するかは見守らなければならないが、韓日協力を通じて両国の産業、経済的競争力を高めることなら、全経連メンバーになるかどうかに関係なく参加しない理由はない。

(中略)

ー 十倉会長に質問。両企業(三菱重工業、日本製鉄)の参加可否について話さなかったが、韓国年はこの問題を考えざるを得ない。答えてもらえませんか?

▶(十倉会長の答弁)回答が繰り返しになって申し訳ないが、今回の基金経団連の会員企業だけのものではないと考える。その点でキム会長職務代行と同様の考えだ。



マネートゥデイ「[문답] 한일 미래기금, "韓4대 그룹, 日피고기업 참여 열려 있어"([問答]韓日未来基金、「韓4大グループ、日被告企業参加は開かれている」)」より一部抜粋

個人的には「勝手にやってろ」です。私ならこの基金に出資はしません。
なぜなら、訳からは省略しましたけどこの基金、色々事業を計画するみたいですが、その事業が「いつまでに何をする」という目標・期日を定めないんだそうです。韓国側の会長代行が言っています。
「事業を持続的に続けるため」とのことですけど、逆に言うと「成果を求めず予算を付ける」ということになります。人の金だから出来ることですね。これじゃあ、事業に出資ではなく、寄付ですらありません。

しかも「未来パートナーシップ基金」なんてお綺麗な名前が付いているので文句も言えないという。両国の未来的協力関係に出資するのであって、成果を求めての出資ではないんでしょう。それか、出資した日本企業からお金を巻き上げて韓国企業に配ろう、という目論見でしょうか?

事業内容はまだ何も決まっていないそうですが、韓国側は緊急性のある案件として「半導体協力を通じて両国が重要なサプライチェーンを構築することに力を入れること」を例に挙げています。事業に参加するかどうかは各企業の自己判断とは言え、技術流出には十分に気を付けて欲しいところです。