中国、マイクロンの「不足分穴埋め」を正式に韓国に依頼?な話

今月21日、ブルームバーグなどが報じたところによると、中国政府が「深刻なセキュリティ問題」を理由に米マイクロンの製品購入中止命令を出しました。
恐らく米国はこの動きを予見していたのでしょう、先月4月にはサムスン、SKに対してマイクロン制裁時に中国国内での不足分埋め合わせをしないよう要請していたことが分かっています。
ただ、韓国政府は「各企業が判断すること」として、政府としての立場をはっきり出していません。

そして本日、25~26日の日程で米国デトロイトで開催されたAPEC通商長官会議においての、韓国の通商交渉本部長のアンさんと中国の商務部長のワンさんとの会談内容が発表されたのですが、韓中で内容が食い違う(いつもの)事態が起こっています。
食い違っている部分がまさに「半導体サプライチェーン」絡みの内容です。
韓国の発表では「相互尊重を基盤に両国の経済協力関係を発展させていく」「中国内の韓国企業の事業環境作りに協力を要請」した、となっています。つまり「韓国の事情に配慮してちょーだい」ですね。
一方、中国の発表は「両国は半導体ネットワークとサプライチェーンの領域で対話と協力を強化することに同意した」としています。これは「マイクロンの穴埋めを韓国企業が担う」と言ったようなものではないでしょうか?

 



朝鮮日報の記事からです。

中国、韓国に「半導体サプライチェーン協力」要請…困った勧告


(前略)

27日、産業通商資源部によるとアン・ドクグン本部長は2日間、デトロイトで開かれたAPECアジア太平洋経済協力会議)通商長官会議に出席し、米国・中国・カナダ・チリなど主要APEC加盟国の通商長官らと二国間会談を行った。

産業部は「ワン・ウォンタオ中国商務部長との会談では相互尊重を基盤に両国経済協力関係を発展させていく方案について議論した」として「アン本部長が中国側に交易円滑化と核心原材料・部品需給安定化のための関心と支援を要請し、中国内の韓国投資企業の予測可能な事業環境を造成するための協力を要請した」と明らかにした。

しかし、中国が明らかにした内容は少し違った。27日、中国t商務部のウィチャット公式チャンネルは、韓中通商長官がデトロイトで会い「半導体産業ネットワークとサプライチェーン安定などについて議論した」と明らかにした。そして「双方は半導体産業ネットワークとサプライチェーン領域での対話と協力を強化することに同意した」と明らかにした。「中国が半導体サプライチェーン関連の対話と協力を要請したものと解釈される部分だ。

中国側の発表によれば、アン本部長は「ここ数年間、韓・中経済貿易関係の重要性が高まっている」として「両国間の緊密な協力関係はグローバルサプライチェーンの安定的で円滑な流れを保障するのに重要な役割を果たした」と話した。続いてアン本部長は「韓国は両国間の経済・貿易関係をさらに深化させ、域内および多国間の枠組みの下で両国間協力領域を拡張することを望む」と話した。

ワン・ウォンタオ商務部長は「両国首脳の戦略的指導の下、中韓経済・貿易関係が深化・発展した」とし「中国の水準高い対外開放は韓国を含む世界各国に新しい機会を提供するだろう」と話した。続けて「中国は韓国と共に二国間貿易および投資協力を深化することをはじめ産業ネットワークとサプライチェーン安定を守護し、二国および地域での協力と多国間次元の経済・貿易協力を新しい水準に引き上げることを願う」と話した。

先立って中国当局は21日「(マイクロン製品は)深刻なネットワークセキュリティ問題がある」として「重要情報インフラ運営者はマイクロン製品購買を中断しなければならない」として米半導体企業に初めて制裁を加えた。中国が自国の半導体技術力がまだ必要な水準に達していないにもかかわらず米国に強力制裁を加えたのは、サムスン電子とSKハイニックスのような韓国企業から調達が可能だと判断したという解釈が出てきた。

マイクロンはサムスン電子とSKハイニックスに次ぐ世界3位のメモリ業者で、昨年全体売上の中で中国比率が約11%だ。

米国は露骨に韓国に「マイクロンの空席を代替するな」と要求している。4月、米ホワイトハウスがユン・ソンニョル大統領の訪米を控えて「中国が予告した米半導体制裁が開始される場合、マイクロンの空席に代わるな」と要請したというFT報道が出てきた。さらに23日(現地時間)にはマイク・ギャラガー米下院米中戦略競争特別委員会委員長(共和党)が対中報復措置を促す内容の声明書で韓国を直接取り上げた。ギャラガー議員は韓国を「ここ数年、中国共産党の経済強圧を直接経験した韓国の同盟国」と称し「米商務省は(中国で活動する)外国メモリー半導体会社に付与された輸出許可がマイクロン空白を埋めるのに使用されないようにしなければならない」と指摘した。

韓国政府は韓国企業の中国半導体工場制裁緩和をめぐって米政府と交渉しており困難な状況に置かれている。業界関係者は「米国が法的規制を施行する状況ではないため、韓国が直ちに中国に半導体供給を絶つことはないだろう」とし「先端半導体ではなく一般汎用メモリー半導体範囲内でローキーで取引するのではないかと展望される」と話した。同関係者はまた「中国も自国の半導体メーカーを育成し、自給自足力を高めようとするだろう」と述べた。

(後略)



朝鮮日報「중국, 한국에 ‘반도체 공급망 협력’ 요청... 난처한 한국(中国、韓国に「半導体サプライチェーン協力」要請…困った勧告)」より一部抜粋

記事ではマイクロンを「3位」、SKを「2位」としていますが、これは昨年実績で今年の第1四半期実績では順位が入れ替わりました。
今年の第1四半期、マイクロンの売上は前期比3.8%減(28億2900万ドル)だったのに対し、SKの売上は前期比31.7%減(23億1200万ドル)となりました。SKは平均販売単価が15%以上下落したことが響いたようです。
市場シェアもマイクロンが28.2%、SKが23.9%と逆転しました。