ムン・ジェイン政権当時、統計不正操作疑惑の話

ムンさんが大統領職にあった2017年から2021年までの間に複数回にわたって統計が不正操作されていたという疑惑が提起されています。
監査院が発表した調査結果によると不動産価格、所得、雇用などの主要統計で少なくとも94回(該当期間中の統計発表は約230回)の操作が行われたと把握されており、当時の大統領室政策室長などに対して検察への捜査要請が出されました。
捜査機関より操作待ちなので「疑惑」としておきますが、メッセージアプリや携帯メールでの具体的なやり取りまで押さえているようです。

記事に書かれている通りであれば、関係機関は「協力しなければ予算を削る」と圧力を掛けられたとか。

 



東亜日報の記事からです。

「ムン政府、住宅価格統計94回操作」22人に捜査要請


ムン・ジェイン政府当時の住宅価格(不動産)、所得、雇用など主要国家統計を作成・活用する過程で大統領府と国土交通部が韓国不動産院、統計庁などを圧迫して数値を捜査するなど不正行為を犯したと監査院が15日明らかにした。

(中略)

監査院によるとチャン・ハソン元室長は2017年6月、国土部に住宅価格変動率(上昇率)を外部に公表する前にあらかじめ報告するよう指示した。作成中の統計を公表前に他機関に提供するのは統計法違反だ。大統領府と国土部の圧迫で政府公式統計機関である不動産院は、住宅価格変動率報告を従来の週1回から週3回に増やした。監査院は3日間調査した後に報告する「平日値」より7日間調査した後に直ちに報告する「速報値」、7日間調査した後に翌日公表する「確報値」が高く報告されれば青瓦台・国土部は「平日値」も実際より低く操作せよと指示したと明らかにした。

(中略)

監査院関係者は「特に不動産対策発表など特定時点にこのような操作が集中した」と強調した。実際、2019年6月に国土部のキム・ヒョンミ長官就任2周年を控えて国土部職員は不動産院に「このままいけば私たちのラインはすべて死ぬ。先週のようにマイナス変動率をお願いできないか」と話した。住宅価格変動率が上昇の兆しを見せると操作を要求したのだ。

(中略)

監督院はムン・ジェイン政府が所得主導成長政策の失敗を隠すsために関連する国家統計を歪曲操作したとし、2017年第2四半期に家計所得が2010年以後初めて0.6%減少したと調査されるや、当時の統計庁が推算方式を変えて家計所得が1%増加したように操作したと指摘した。

(中略)

監査院が15日に発表した住宅統計操作監査結果によると、ムン・ジェイン政府当時の住宅価格統計操作は組織的かつ持続的に行われたことが分かった。青瓦台が住宅価格統計をあらかじめ受けて国土部に指示すれば国土部は不動産院を圧迫し最終統計に青瓦台の意図が反映されるようにするやり方だ。これは監査院が当時、青瓦台と国土交通部、不動産院関係者のカカオトークと携帯メールなどを確認した結果だ。

ムン・ジェイン政府は住宅価格の急騰批判に「統計が誇張された」という立場を維持した。住宅価格急騰期の2020年7月、国会に出席したキム・ヒョンミ長官は「(ムン政権発足後3年間)マンション価格は14%上昇したと聞いている」と述べ議論を呼んだが、この統計が不動産院の統計だった。当時、民間統計であるKB売買価格指数上昇率は25.6%に達し、政府統計との乖離が激しいという指摘が高かったが、監査院の調査結果で、その背景には「統計操作」があったわけだ。

(中略)

実際、ムン・ジェイン政府時代(2017年5月~2022年4月)、KB不動産(59.1%)と不動産院(25.8%)のソウルマンション価格上昇率の格差は30%以上になる。直前の5年間(2012年5月~2017年4月)は両機関の統計格差が0.4%ポイントに止まったのとは対照的である。

(中略)

監査院の調査によると国土部はしばらく下落していたソウルのマンション価格が再び上昇気配を見せ始めた2019年6月末から圧迫強度を高めた。6月には「横ばいで行っては絶対にいけない」という指示が交わされ、7月には国土部は不動産院に「ちゃんと協力しなければ不動産院組織と予算を吹き飛ばす」という荒々しい言葉を吐き出した。8月には不動産院院長に「不動産院が国土部に積極的に協力せず、本業である住宅統計もまともに出来ない」として辞任を圧迫した。

(中略)

イ・チャンム漢陽大学都市工学科教授は「国家承認の統計を生産する機関は独立性が命だが信頼に大きな打撃が生じた」とし「統計が信頼を失えば政策の根幹が揺れるだけに大手術が必要」と述べた。



東亜日報「“文정부, 집값 통계 94차례 조작” 22명 수사 요청(「ムン政府、住宅価格統計94回操作」22人に捜査要請)」より一部抜粋

不動産院が「協力」したところで、実際の数字が下がるわけないですのに。何を言ってるんでしょうね。


ユン政権でも最近では金融絡みでよく「モニターを強化」という話が出ます。実際ちゃんと見てるんだと思います。でも見ているだけです。
なんというか...大雨のときに河川が増水して氾濫危険水位に近付いたときに「注意深く監視」ってあるじゃないですか?あれで実際氾濫危険水位に達したら、さっさと避難警報を出して周辺住民を逃がさなきゃダメでしょう?それをしないイメージです。ただ見ているだけ。
で、氾濫が起こらず事なきを得れば当時の水位を下方操作して何もなかったことに。氾濫しちゃって行政の不手際が責められたら責任者探しです。

管理というのは基準の範囲内に「あること」を確認し、範囲から逸脱していれば何らかの手を講じることを言うと思うのですけど、韓国(政府)のやる「管理」は基準の範囲内に「あるように見せる」ことを意味しているんでしょうね。だから基準の範囲外に出てしまったら基準自体を変えてしまうんです。


最初に不正統計に関する報道が出たのが15日。ムンさんは2日遅れの今日17日になってFacebook上に掲載した文章で反論しています。
こちらの記事によると今月14日に韓国労働社会研究所とかいう所が発表した「ムン・ジェイン政府雇用労働政策評価」との報告書を共有し「歴代のどの政府よりも雇用労働政策を重視した政府としてムン・ジェイン政府を好評している」としているようです。
記事はこれを「統計操作をしたという疑惑に正面から反論したものと解釈される」としています。

ふむ...公式統計が操作された疑惑の反論に公式統計を用いて政策評価した報告書を共有ですか…そうですか...それって意味あるん?