韓電負債11兆ウォン増加、銀行融資も20%増え利子だけで2兆ウォン規模という話

昨年の今頃でしたか、レゴランド事態を皮切りに債券市場の流動性低下が問題視されるようになりました。
レゴランドは特定の事業目的の資金集めのために発行される手形であるプロジェクトファイナンス(PF)で進められた事業です。事業そのものを担保にお金を借りるのですが、レゴランドは誘致した地方自治体の「保証」が付いていました。しかし昨年、地方自治体の新知事がこの保証履行を一旦拒否(のちに履行)したことで債券市場の信頼性を揺るがしてしまい、それによって市場が冷え込んだと見られています。

そして飛び火(?)するような形で韓電の社債問題が持ち上がりました。前々から指摘されてはいたのですが、韓電は電気を売るたびに赤字を垂れ流し、それを社債で補うという万年赤字体制。これは韓国政府による「安い電気料金」政策の結果です。
つまり韓電社債は政府の保証付き社債である上に、定期的に一定量発行されることが分かっているものです。
市場に流動性があって活発に動いていれば良いのですが、そうでないときに発行されると全ての資金を吸い取ってしまいます。

これに本格的に対応するため韓電社債の発行数が制限されることになりました。そして足りない分は銀行貸出と電気料金の値上げで対応し、徐々に赤字体制を改善していく方針が立てられました。今年1月から実際に電気料金の値上げが始まってはいますが、様子は芳しくないようです。値上げしたのに、値上げ前より負債総額が増えたとのこと。

 



ソウル経済の記事からです。

韓電の負債、今年に入って11.3兆ウォン急増...銀行融資も20%増えた


(前略)

19日、韓電が公示した今年第3四半期の報告書によると、連結財務諸表上、9月末基準で韓電の負債総額は204兆1000億ウォンだった。昨年12月末の192兆8000億ウォンより5.9%(11兆3000億ウォン)、直前四半期末の6月末の201兆4000億ウォンより2兆7000億ウォン(1.3%)増加した。金融機関への融資や韓電債などを網羅した借入金の規模も2022年12月末の120兆6000億ウォンから2023年9月末には134兆ウォンへとさらに急増した。

(中略)

最も目を引く部分は韓電が銀行から借りる短期貸し出しを増やしているという点だ。別途の財務諸表上、韓電の銀行融資残高は2022年12月末に3兆ウォンから2023年9月末に3兆6000億ウォンへと20%増加した。

(後略)



ソウル経済「한전 부채 올들어 11.3조 급증…은행대출도 20% 늘었다(韓電の負債、今年に入って11.3兆ウォン急増...銀行融資も20%増えた)」より一部抜粋

レゴランド事態で債券市場が冷え込んアときに韓電社債を一部銀行融資に切り替えるよう金融委員長自ら要求したため銀行融資残高が増えているのは当然なんですが、問題は金利です。
最高で適用金利が6%になるものもあるのだそうで、現在利子だけで2兆1000億ウォン、月平均2333億ウォン、日平均約78億ウォンに達すると概算されています。