米国、懸念される海外企業の細部要綱を発表...CHIPS法と同じく資本比率25%以上で合弁会社はまずアウトという話

米国のインフレ削減法(IRA)の迂回路を潰すための、懸念される海外企業(FEOC:中国、ロシア、イラン、北朝鮮)を明確に区別する細部要綱が発表されました。該当企業の資本が25%以上(CHIPS法と同率)であった場合、合弁会社と見なされます。引っかかると米国の補助金・税控除の対象外となります。

最近、韓国のバッテリー・素材企業は相次いで中国との合弁会社を設立していましたが、そのほとんど全てがアウトです。

 



マネートゥデイの記事からです。

IRAにKバッテリー「予想できなかったことではない…危機はチャンス」


(前略)

3日、業界によるとLGエネルギーソリューション、SKオン、LG化学、ポスコフューチャーエム、エコプロなど国内バッテリー・素材企業は最近、相次いで中国バッテリー鉱物採掘・製錬業者とJV(合弁法人)を設立した。米政府が中国側の持ち分率が25%以上であれば外国憂慮企業(FEOC)と見なすと発表したことを受け、これらの企業は最大75%に達する莫大な持ち分を確保しなければならない状況になった。

バッテリー業界は半導体法(CHIPS Act)程度の対応策を準備してきたと口を揃える。米半導体法は、中国の持分が25%以上の企業と合弁事業を行う場合、補助金を支給していない。

(中略)

持分全量買収など最悪の状況まで考慮した。中国のファユコバルトと共にセマングム、モロッコなどで前駆体・陽極材合弁工場を推進中のLG化学は「もし中国会社の持分が完全に排除されなければならないという内容でFEOCが規定されれば、必要に応じてファユコバルト持分を全量買収する方案も考慮中」と明らかにした。

(中略)

ただ、実際に業界の金銭的負担は大きい。すでにバッテリー業界の計画された設備・研究開発投資規模が相当な上に、高金利状況が負担として作用しているためだ。ここに核心鉱物供給網代替のための追加費用も相当なものと予想される。業界関係者は「リチウムとニッケル、コバルト、黒鉛など電気自動車バッテリー核心素材の中国依存度が非常に高い」とし「生産過程で中国比率を下げるためには代替調達先を用意しなければならないが、結局費用負担が大きくなるだろう」と話した。

費用は避けられないが悲観する必要はない。不確実性が解消されただけに対応策さえうまく立てれば、北米市場で機会になるだろうという肯定の見方だ。また、中国産原材料や素材の使用が制限的にならざるを得ず、韓国で鉱物を生産する素材会社には好材料として作用するだろうという見方も出ている。韓国バッテリー産業協会は「供給先代替過程で一時費用が発生する可能性があるが、今回をサプライチェーン体質改善の機会として活用する場合、むしろ北米市場での立地をより一層強固にすることができるだろう」と評価した。

国内バッテリー業界は2年以内に独り立ちに成功しなければならない。 FEOCが生産したバッテリー部品を使用する場合、2024年から、核心鉱物を使用する場合、2025年から補助金を受けることができなくなる。バッテリー業界関係者は「バッテリー素材と部品は対中国依存度があまりにも高く短い時間で改善されにくく、直ちには負担として作用するものと見られる」としながらも「供給網多角化は必須不可欠なことだったので今回の発表を契機に自立に速度が付けば韓国バッテリー競争力を高めることができるだろう」と話した。



マネートゥデイ「美 IRA에 K배터리 "예상 못한 건 아냐…위기는 기회"(米IRAにKバッテリー「予想できなかったことではない…危機はチャンス」)」より一部抜粋

「ピンチはチャンス」なんて事はそうそうないです。大体が「ピンチはピンチ」です。

それはそうと、読んでて違和感を感じたのですが動くの遅くないですか?
不確実性が解消されたと言いますけれど、こうなることは分かっていたことでしょう。分からなかったのは中国企業の持ち分比率くらいのものです。
なのに、自立に向けて動き出すのが「今回の発表を契機に」というのは遅すぎませんか?すごく変な感じがします。
しかも、合弁会社を設立したのが「最近、相次いで」というのも変です。なぜ、わざわざこの微妙なタイミングに揃いもそろって中国企業と...?

また、持ち分を全量買収とかアッサリ言っていますが、そんな簡単な話ではないはずです。買収合意には株主総会の決議が必要です。

ただし、初めからそれらを織り込み済みなら話は別です。合弁会社設立時に、のちのち中国持ち分をFEOCに引っかからない比率に落とすことを事前合意していたとか。
そうであったなら「中国側の持ち分率が25%以上」との発表は「不確実性が解消された」「今回の発表を契機に」と言えるかもしれませんね。