「日本素材部品装備なしには半導体製造は不可能」...素部装分野の韓国対日貿易赤字は昨年249億3000万ドルに拡大している話

日本の半導体関連で中央日報が日曜版にいくつか記事を載せています。
要点として、

1.外交面では日本はEU半導体同盟を構築し、米国のチップ4同盟にも参加している。
2.政府補助金を通してTSMCサムスン電子の生産拠点・R&D拠点の誘致に積極的に動いている。
3.国内企業(ラピダス)の育成にも力を入れており、海外からの技術支援を受けて2nmチップの量産を目指している。
4.海外からの技術支援を受け入れることは、今までの閉鎖的な日本の半導体産業形態からは考えられない変化であり、力の入れようが表れている。
5.日本は半導体の素材・部品・装備の競争力を持っており、円安効果もあり半導体輸出競争力を高めている。

このような内容になっています。

 



中でも「素材・部品・装備」に関する箇所のみ、ちょっと気になったので中央日報の記事から抜粋します。

基礎が強い日本、チップ4同盟・超円安で半導体王国復活を夢見る


(前略)

第二に、半導体製造競争力は失っても依然として守っている半導体素材・部品・装備(素部装)競争力のためだ。米安保新技術センター(CSET)によると、日本のグローバル半導体素材市場シェアは56%で世界1位だ。グローバル半導体装備市場占有率前工程装備で29%、後工程装備で44%という高い数値を記録している。キム・イルヒョクKB証券研究員は「韓国・米国・台湾企業がいくら市場を支配していても技術高度化と費用節減のためには日本産素材部品装備が必要にならざるを得ない」として「代替が不可能なハイエンド素材部品装備技術まで考慮すれば日本素材部品装備なしには半導体製造は不可能だと見ても良い水準」と説明した。

(後略)



「기본 강한 일본, 칩4 동맹·수퍼 엔저로 반도체 왕국 부활 꿈(基礎が強い日本、チップ4同盟・超円安で半導体王国復活を夢見る)」より一部抜粋

後半は、こうした日本(と中国)の「追撃」を躱すために韓国がすべきことは「長期的な観点で高級人材養成とシステム半導体部門の集中育成」とまとめています。


で、日本の強みとされる「素材・部品・装備」...一時期韓国が毎週のように「国産化成功」と報じていた、いわゆる「ソブジャン(素部装)」ですが、この現況について朝鮮日報(日本語版)がチラっと報じていまして。ただ、なぜか該当記事の韓国語版は見当たりません。

 

 



朝鮮日報の記事からです。(リンク先は日本語記事です)

素材・部品・設備の自立宣言から4年、韓国の対日輸入額は大幅に増えていた


(前略)

輸出規制対象となった高純度フッ化水素ソルブレイン、ENFテクノロジーなど一部の韓国企業が国産化に成功した。レジストもサムスン電子、東進セミケムがEUV露光工程に使用できるレジストを開発した。しかし、国産化のレベルは依然として微々たるものだ。韓国産業通商資源部は昨年、国産化率は半導体設備で20%、素材で50%にとどまっているとした。2017年のそれぞれ18.2%、50.3%と大差なかった。

本紙がこのほど、最近4年間の貿易統計を分析した結果、昨年日本から輸入した素材・部品・設備は貿易紛争以前の18年よりもむしろ増加し、貿易収支は悪化している。18年に381億ドルだった日本からの素材・部品・設備の輸入額は、19年に日本が経済報復措置を取った後、329億ドルに停滞したが、翌年には340億ドルに増えた。昨年は395億ドルで過去最大を記録した。このため、素材・部品・設備分野での対日貿易赤字は19年の186億9000万ドルから昨年は249億3000万ドルに拡大した。

(中略)

輸出の多角化でコストも上昇した。レジストの場合、韓国企業は日本製の代わりにベルギーにある日系合弁法人を通じて調達を始めた。しかし、ベルギー製素材の輸入単価は日本製の5.4倍に達した。



朝鮮日報「素材・部品・設備の自立宣言から4年、韓国の対日輸入額は大幅に増えていた」より一部抜粋

一応、フッ化水素は日本からの輸入割合が7.7%まで下がっているそうです。代わりに中国からの輸入が80%に急増しているとか。
また、レジストを「ベルギーの日系合弁会社」からの輸入に切り替えているとはいえ、それは実質日本産でしょう。

まあ、百歩譲って「対日輸入を減らした」と捉えたとしても、あれだけ騒いでいた「国産化」はどこに行ったのでしょう?
それに、フッ化水素を中国産に切り替え、レジストをベルギーから代替輸入にしているのに素材・部品・設備分野での対日貿易赤字が膨らんでいるのはどういうことでしょう?どうもスッキリしません。