半導体依存の韓国経済構造が大企業と中・小企業の格差を広げているという話

韓国経済を支えているのは輸出です。輸出は主に半導体輸出によって成り立ってきました。(半導体を除けば、貿易収支は2018年から赤字)
そうしたことから韓国メディアを中心に「輸出が回復すれば韓国経済は安泰」ひいては「半導体さえ回復すれば大丈夫」といった論調が支配的になっています。

しかし、産業活動動向によると製造業のうち大手企業の生産指数が増加すればするほど中小企業の生産指数が低下するという逆行現象が確認されたとのことで、半導体に依存する韓国の経済構造が大企業と中小企業間の格差を広げていることがより鮮明となりました。

 



釜山日報の記事からです。

半導体依存」の韓国経済…大企業の生産が8%増えた時、中小企業は逆成長


(前略)

6日、統計庁·国家統計ポータル(KOSIS)と産業活動動向によると、企業規模別の製造業のうち大手企業の生産指数は111.1(2020年=100)で昨年同期比7.9%増となった。

(中略)

大企業生産の前年同期比増減率は2022年の第3四半期(-0.9%)から2022年の第4四半期(-7.8%)、昨年の第1四半期(-9.3%)・第2四半期(-6.1%)までマイナスを記録したが、第3四半期(7~9月)に増加に転換した。昨年第4四半期(7.3%)からは2ヵ月連続で7%台の上昇率を記録した。

一方、中小企業の生産指数は第1四半期に94.3(2020年=100)で、昨年第1四半期より2.0%減少した。

(中略)

中小企業の生産指数は2022年第4四半期(-3.5%)から4四半期連続で減少傾向だったが、昨年の第4四半期に0.1%増加にしばらく転じた後、第1四半期に再び減少した。

このように大・中小企業間の生産指数の方向が異なる主な原因は半導体業だ。韓国経済の支え格である半導体大企業が半導体業況によって全体大企業生産を左右しているためだ。自動車・造船業などと比較して半導体業は生産と雇用の波及効果が少ない特徴もある。

このような流れは半導体除外製造業生産指数を見ても現れる。

第1四半期の製造業生産指数は昨年同期と比べ6.1%増加したが、半導体を除けば1.2%減少したと集計された。

半導体を除いた製造業生産指数は2022年第4四半期(-2.9%)から6期連続で下落傾向を見せている。

輸出指標での半導体依存度も克明だ。

4月の輸出は前年同月比13.8%増の562億6000万ドルとなり、このうち半導体の輸出額は約100億ドルとなった。半導体輸出の割合は17.7%に達した。

(後略)



釜山日報「반도체 의존' 한국경제…대기업 생산 8% 늘 때 중기는 역성장(「半導体依存」の韓国経済…大企業の生産が8%増えた時、中小企業は逆成長)」より一部抜粋

記事は過度な半導体依存型の経済構造から抜け出すために産業構造の多角化が必要だという視点で書かれています。
一方で多くのメディアでは、未だに半導体企業への「補助金」にフォーカスした記事が目立ちます。

最近、バリューアッププログラムのガイドラインが発表されましたが、その中身のほとんどは企業による自律性の強調でした。企業が自律的に目標を設定し自律的に計画を立て自律的に実施する…目標が達成できなかった場合のペナルティ等は特にありません。
そのため一部からは、企業がそもそも「達成するつもりのない目標」をバリューアップ目的の為だけに打ち出すモラルハザードが懸念されています。

全体的なあり方が似ているなと感じるのは韓国当局側のスタンスです。
半導体産業に対しても製造業全体に対してもバリューアッププログラムに対しても、韓国当局側はほとんど何もしていません。ただ、「自分たちで頑張れ」というだけです。大々的に発表された半導体メガクラスター構想も、結局、民間投資ですし。

ただ椅子に座って報告聞き裁可を下す、それを発表する...これが自分たちの仕事で、成果を上げるのは下々の仕事…とでも思っているのでしょうか?

そういえばジャンボリーの時も責任者不在の状況が起こっていましたよね。
あと、医療大乱も。もしかしたら、「上が(勝手に)決めたことを(黙って)実行するのが下の役割」という考えが無意識化にあるからかもしれません。
記事の本筋とは大分ズレてしまいましたが、何となく感じた次第です。