サムスンの株価が思わしくありません。
当ブログでもお伝えしましたが、モルガン・スタンレーがサムスンの目標株価を10万5000ウォンから7万6000ウォンへと引き下げて以降、一部の韓国メディアは「サムスン危機論」を、また別の韓国メディアは「反論記事」を出していました。あるメディアのインタビューに答えた専門家はメモリ半導体の冬が来るというモルガン・スタンレーの見通しに対して「HBMを知らないということ」と言っていました。これからHBM全盛期がくるのに、メモリ半導体の冬とは一体…?と言いたいようでした。
韓国=サムスン、(メモリ)半導体=サムスンと言っても過言ではないですから、万が一にもサムスンが傾くとなれば一大事です。
しかし主に外国人が売り、韓国内投資家(いわゆる「東学アリ」)が買うという流れは変わっていません。資金力が違いますから株価は反騰しません。今日10月3日は韓国は祝日のため市場は閉まっていますけれども、前日2日は場中に一時5万9900ウォンの安値を付ける場面もありました。このラインは2023年3月に付けた安値ライン付近のため、2023年3月以降の1年6ヵ月分の時価総額を吹っ飛ばしたことになります。その額およそ158兆ウォン。
その直前、豪最大の投資銀行マッコーリーもサムスンの目標株価を12万5千ウォンから6万4千ウォンに引き下げるレポートを出しました。おそらくこれが引き金になって一層の売り圧力を生んだものと思われます。(※韓国は現在「空売り」を規制していますので、これらは利益確定あるいは損切りによる撤退です)
個人的には、さすがにサムスンほどの巨体が簡単に倒れるとは思えません。身を削ってでも、手足を切り捨ててでも胴体と頭を生かすことに専念すれば何の問題もないかと。
ただ、ボンクラ(に見える)イ・ジェヨン氏に判断できるのか、そもそも状況が分かっているのか、そこら辺は不安材料ですかね。
で、そんな不安定(?)なサムスンですが、ファウンドリ事業で「2nm以下」に注力していく方針のようです。
先日は平沢の追加生産ラインへの装備搬入が延期されているという話でしたが、華城の工場には相次いで装備が搬入されているとのこと。
ソウル経済の記事からです。
サムスン・ファウンドリー「2ナノ以下」投資速度戦...装備相次いで搬入
(前略)
3日、業界によると最近サムスンのファウンドリー事業部は華城事業場にあるファウンドリーラインである「S3」に2ナノ生産ラインを構築するために各種装備を搬入している。12インチウェハー基準で月1万5000枚ほど生産が可能な従来の3ナノラインを2ナノ工程に転換する作業だ。2ナノ工程と関連して研究開発(R&D)ラインの他に量産投資が本格的に行われているというニュースが大衆に知らされたのは今回が初めてだ。
サムスン・ファウンドリーはまず、来年第1四半期までに月7000枚規模の2ナノラインを設置する予定だ。このラインでは、顧客会社の2ナノチップを生産できるかどうかについての評価を行う。
(中略)
S3の残りの3ナノラインは来年末までに全面2ナノラインに転換される計画だ。
来年第2四半期から平沢第2工場にある「S5」に1.4ナノラインを設置する計画も持っている。月2000~3000枚程度の比較的小さな規模の試験ラインで、未来技術確保のための先行投資と解説される。
サムスン・ファウンドリーの2ナノ以下投資は最悪の危機の中で進められているものであり、注目される。現在、会社は最先端工程の収率が低迷しているのに続き、顧客会社の確保まで困難を経験し二重苦に陥った。特に2022年、世界で初めてゲートオールアラウンド(GAA)構造を適用して話題を集めた3ナノ工程の生産性が量産に適用するほどの水準まで上がることができず問題が大きくなった。この事案はサムスン電子システムLSI事業部が次世代スマートフォン用チップである「エクシノス2500」が適時に生産されない状況につながり信頼性問題まで広がった。
最近経験している顧客会社の不足問題は投資縮小にもつながった。サムスンの経営陣は最新設備である平沢第4工場のファウンドリーラインをDRAM設備に転換するという決定を下した。メモリー市況の対応も重要な理由だがファウンドリーラインを増設するほどの顧客会社の注文がないためというのが大きく作用した。新しいファウンドリー設備である米テイラー工場も2024年末の稼動が目標だったが、装備導入時点を2026年以降に先送りしたという。4ナノラインのある平沢第3工場は注文量の減少で稼働率を下げた。
(中略)
サムスンがこのような危機でも2ナノ以下工程で投資意志を折らないのは一種の「勝負手」と見られる。6月の行事で提示した来年2ナノ量産ー2027年1.4ナノ量産ロードマップの通り技術を進展させ、ライバルTSMCを追いかける一抹の機会に反転を狙うという戦略であるわけだ。
業界のある関係者は「3ナノエクシノス遅延など各種悪材料が重なり、2ナノ工程確保はサムスン・ファウンドリーの絶体絶命の勝負所になった」として「今年と来年ファウンドリー事業部が全般的に保守的な設備投資基調を設定したが、未来工程のための備えは持続的に続くものと予想される」と説明した。
ソウル経済「[단독] 삼성 파운드리 '2나노 이하' 투자 속도전…장비 잇달아 반입(サムスン・ファウンドリー「2ナノ以下」投資速度戦...装備相次いで搬入)」より一部抜粋
TSMCとサムスンのシェアはここ数年の間、開きはすれど縮まりはしていません。
「戦略」とか「勝負所」とか書いていますが...要するに「他に手が無いだけ」ですよね...こういうの「博打」って言いません…?