うちには今年で16歳になるお婆ちゃんネコがおります。
先日、うっかり伸び過ぎた爪が肉球に刺さってしまっていたので慌てて動物病院に連れて行ってきました。
そこで痩せ過ぎであることを指摘されました。
気にはなっていたんですけどね…年取って食欲落ちているとは言え、歯は上部で固形物もしっかり食べているのに痩せていくので…。
先生は一見して甲状腺の異常を疑っておられたようで、院外検査の血液検査をお願いしてきました。
3日経って結果が出たのですが、やはり甲状腺機能亢進症とのことでした。
参考基準値が0.8-4.7なのに対して、うちの子の数値は15以上。 数値が15までしか測れないので実際の数値がいくつかはわからないとのこと。とにかく、かなり悪いことだけは確かです。
即日、処方された薬を飲ませて2週間後に再検査です。
その際に治療方針について先生ときちんと相談できるように病気について基本的なところを勉強しておこうと思います。
あまりにも無知なので代謝異常というくらいしか知識がないのです…。
甲状腺機能亢進症とは
人間にも同じ病気があります。
喉仏の横にある甲状腺から分泌される甲状腺ホルモンの過剰分泌によって頻脈や体重減少、疲れやすいといったような症状があらわれます。症状はかなり多岐にわたります。ネコに関して言えば、多飲多尿や体重減少などが気が付きやすい症状だと思います。
甲状腺ホルモンは本来、身体の新陳代謝をコントロールするホルモンですが、過剰分泌によって全身の酸素要求量が増大し、赤血球が増えたり心拡大が起こったりします。
何もしていなくても常に小走りしているような負荷が身体に掛かり続けるため、カロリー消費が激しく食べても痩せていくようになります。(代謝異常)
ネコの内分泌疾患で最も気をつけるべき病気
人間の場合、女性に多い病気で約20人に1人(5%)が発症すると言われています。
ネコの場合、イギリスで行われた調査によると調査対象95,629匹のうち2.4%、10歳以上のシニアネコに限れば8.7%が甲状腺機能亢進症だったという報告があります。
約12匹に1匹の割合で、人間の女性より発症率が高くなっています。
甲状腺ホルモンが過剰に分泌されると、アドレナリンやドーパミン、ノルアドレナリンなどの神経伝達物質の分泌も過剰になり、食欲が旺盛になったり、常に興奮状態になったりするので活発で元気に見えることから発見が遅れがちな病気です。
ですがその実、高血圧、頻脈、神経過敏の状態が続いていることになるので循環不全や呼吸不全を引き起こす危険があります。
更に重篤化すると甲状腺クリーゼという状態になり急死することもあります。
甲状腺クリーゼ
甲状腺機能亢進症などの甲状腺に関わる病気を持っている状態で、何かしらのストレスが加わると突然さまざまな臓器に障害が起き、生命に危険が及ぶ状態のことを甲状腺クリーゼと呼びます。
中枢神経障害や心不全、発熱、嘔吐などの消化器症状として現れます。
発症すると生命に関わります。
血液検査で診断
お世話になっている動物病院では、尿検査や簡単な血液検査は院内設備で行ってもらえるのですが、甲状腺ホルモンの検査は外注検査になりました。
とはいえ、病院で採血して依頼してもらえるので、こちらは検査結果が出るのを数日待つだけで済みます。
検査項目はサイロキシン(またはチロキシン、略記『T4』)で参考基準値が0.8-4.7μg/dLです。
金額は、あくまで参考額ですが外注血液検査費として¥5,500でした。
薬は現在、1錠を4つに砕いたものを朝晩1欠片ずつ飲ませています。それで2週間様子を見て再検査の結果が芳しくなければ、少し薬の量を増やすことになると思います。
薬代は2週間分で¥460でした。血液検査やら尿検査やら諸々で2万近く掛かっていたので覚悟していたので、かなり拍子抜けしました。いや、有り難いんですけどね。これからずっと必要になるものですから…。
我が家はペット保険には加入していないので全額自己負担になります。保険が適用できればもっと負担は軽くなるはずです。
もし、心配だけど金銭的な負担が気になって病院に連れていくかを迷っているというような場合は参考にしてください。
うちの子は大丈夫でしたが、甲状腺のあたりが腫れていたり、シコリのようになっていたりする場合があるそうです。
獣医さんが触診のために触ることがありますが、素人がグリグリ触るのは絶対にダメです。
刺激によって甲状腺ホルモンの分泌量が増えて症状が重くなる場合があります。
治療オプションは3つ
甲状腺機能亢進症と分かれば放っておけば生命に関わるので治療の必要があります。
治療方法は主に3つ。
- 服薬治療
- 外科治療
- 食事療法
1の服薬治療は薬により、甲状腺ホルモンの分泌を抑えるものです。根本治療ではないため、薬を飲み続けなければいけません。
2は外科手術で甲状腺を摘出してしまう方法です。甲状腺ホルモンの分泌源を取ってしまうので甲状腺機能亢進症に対する継続治療は必要なくなります。
ただし、合併症のリスクがあること、全身麻酔によるリスクがあること、何よりこの病気に掛かるのがシニアネコであることが多いことから手術による負担を考慮すると、慎重に考える必要があります。
3の食事療法はヨウ素制限食というもので、甲状腺機能亢進症に対応した特別食による治療です。
食事により摂取されたヨウ素は甲状腺ホルモンの合成のためだけに使われます。
そこで、甲状腺ホルモンの材料であるヨウ素を制限することで、甲状腺ホルモンが過剰に生成されるのを抑制する効果が期待できます。
内服薬のように確実な効果は期待できません。効果が現れるまでに1〜2ヶ月必要とされます。
我が家の方針
治療については2週間後の再検査の結果を見て、先生と相談させて頂こうと思っていますが、基本的な方向としては1の服薬治療でお願いしようと思っています。幸い薬を飲むのは上手なので。
16歳という年齢を考えれば手術はリスクも負担も高すぎます。
3の食事療法は、現状の高すぎるサイロキシンの数値を考えると食事療法だけで抑えるのには無理があります。それに食事に関してはちょっと頑固なところのある子なので適応できない可能性が高いです。