集団の中で感染症に対する免疫を持つ人の割合が一定の水準を超えると、免疫保持者が「免疫の壁」となって新たな感染拡大が抑制されるようになります。
これを集団免疫と呼び、一般的に集団の60〜70%の人が免疫を持つ…つまり一度感染する必要があるとされます。
集団免疫を利用したコロナ対応は、欧州では一時期英国が乗り気だったようですが撤回しています。一方、欧州で感染拡大し始めた初期より積極的に取り組んでいたオランダとスウェーデンの中間発表が出始めています。
bloombergの報道によると、スウェーデンの公衆衛生局微生物部門の責任者カリン・テグマーク=ヴィーセルさんは最近のスウェーデンの感染者数推移を「フラットな曲線で安定している」と評価しているそうです。
DutchNewsの報道によると、オランダ政府はオランダ国内の感染率は1未満であり、流行が「管理下」にあるとしています。
更に、18歳から69歳までの約7,000人の血液サンプルを調べた結果、約3%の人がCovid-19に対して免疫を獲得した可能性が示唆されました。人口に換算すると約50万人です。
これだけ聞くと、順調なように聞こえますか?
ですが、ここに至る前にスウェーデンでは既に1,540人、オランダでは3,684人の死亡例が報告されています。(オランダでは老人ホームでの感染拡大により、2週間で死者数が5倍に急増)
スウェーデンの人口は約1,022万人、オランダは約1,738万人の国です。人口一万人あたりの死亡者数はスウェーデンが1.5人、オランダは2.1人です。
多いか少ないかは、どこに基準点を置くかで変わります。イタリア(23,660人)やスペイン(20,453人)、米国(40,565人)のような国と比べれば、数だけなら「少ない」と言えるのかもしれません。実際、報道でもデンマーク(355人)やノルウェー(165人)と比べると多いが、イタリア、スペインと比べれば少ない、という見方を示す記事を見かけることがあります。ですが、有意に少ないかと言えば、微妙ではないでしょうか?
それよりも確か事は、オランダの報道よればこれだけの犠牲の上に得られたのが 免疫獲得率わずか3% ということです。
集団免疫が機能するには60〜70%の人が免疫を持たなければいけません。単純計算であと20倍です。